クレイジーコング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:30 UTC 版)
アーケード版『ドンキーコング』の、一応許諾品(ただし、コピー基板の事後承諾後、国内での販売の権利しかない)であるクローンで、前期バージョンが元になっている。東京都府中市に存在したゲームメーカー、ショウエイの子会社ファルコンが販売していたが、当のファルコンにはゲームを解析する技術が無かったらしく開発は他社が行なったといわれている。一説には当時ファルコンと密接な関係があったUPLが開発を担当したという説もあったが、当時のUPL社員だった西澤龍一(後のウエストンビットエンタテインメント 代表)によると他社による開発は認めているものの、UPLの開発説を否定している。 ただ、先に述べた事後承諾を受けたのはファルコンではなく、ファルコンから独立したスタッフが設立したキョウエイというメーカーで、一部『クレイジーコング』のインストラクションカードにはちゃんと“KYOEI”と記されている。しかし任天堂からの事後承諾を受けたのと相前後して、キョウエイが同社の営業権をファルコンに譲渡。その後ファルコンが事後承諾の事実を利用し、許諾台数の数倍という数の基板を製造、販売し、更に日本だけでなく国外へも輸出するという事態となってしまった。 日本物産の『クレイジー・クライマー』の基板を流用しているため、オリジナルとは違う部分が多い。たとえばマリオがジャンプする時の音が「ホヤッ」というかけ声になっており、これはその『クレイジー・クライマー』でゴリラが攻撃するときの声である。 また、純然たるデッドコピー品といえる「コピー基板のコピー基板」も数多く存在し、『クレイジーコング』の場合はタイトルもそのままでファルコンの社名を消してコピーしたものが出回った。さらに『モンキードンキー』『ビッグコング』などさまざまなコピー品があるが、どれも『ドンキーコング』ではなくあくまで『クレイジーコング』のコピーである。 いずれも大量に出回ったため、これをオリジナルと思った人、またこれしか見たことのない人も多かったため、コピー基板のタイトルの中でもかなりの知名度を誇っている。オリジナルの『ドンキーコング』の基板と違い、ハーネスの配線が複雑では無かったので、汎用筐体で稼動させるには非常に好都合だったらしく、特に駄菓子屋や場末のゲームセンターでは重宝されていた(ただし、玩具店には任天堂レジャーシステムによるリースで純正品が設置されていることがほとんどだった)。 また、同年には『クレイジーコングPARTII』が登場している。ゲーム内容としては大きな変化は無いが、ステージがやや改造された他、アトラクトデモで前作で捕まったコングが檻から脱走するというオリジナルのシーンが追加されている。これにはオリジナルのドンキーコングの製作者、宮本茂は「やられたと思った」とコメントした。 後にファルコンは任天堂から民事訴訟を起こされ、続く『クレイジーコングJr.』(『ドンキーコングJR.』の無断コピー)事件では刑事告訴され、社長が逮捕された。これは日本で初めてのテレビゲームの無断コピーによる逮捕である。また、アメリカでもコピー業者の摘発の例があり、任天堂は海賊版撲滅に乗り出しこれがスーパーファミコンのパスワードシステムを用いたプロテクトの開発に繋がっていく。 また、本作品は登場時から大ヒットした作品だった事から、上記の類似品を含めた海賊版(コピー基板)も多数出回っていた。基板も純正基板と同じく配線が複雑なコネクタータイプの忠実な物も存在していた。
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