オートファジーにおける役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/18 17:06 UTC 版)
「SNAREタンパク質」の記事における「オートファジーにおける役割」の解説
マクロオートファジーはオートファゴソームと呼ばれる二重膜結合性の細胞小器官の形成を伴う異化過程であり、リソソームとの融合によって細胞内の構成要素を分解する。オートファジーの間、細胞質の一部は隔離膜(phagophore)と呼ばれるお椀型の二重膜構造に内包され、最終的には完全に組み立てられたオートファゴソームの内容物となる。オートファゴソームの生合成は、隔離膜の形成開始と成長とを必要とする。かつてはこの過程は脂質が新規に付加されて起こると考えられていたが、近年得られた証拠は隔離膜の成長に寄与する脂質が小胞体、ゴルジ体、細胞膜、ミトコンドリアを含むさまざまな膜要素に由来することを示唆している。SNAREは隔離膜の形成開始と拡大、そしてオートファジーの後期の段階であるオートファゴソームとリソソームの融合の媒介に重要な役割を果たす。 哺乳類の隔離膜の形成開始機構は不明であるが、SNAREはAtg16L、v-SNAREタンパク質VAMP7(英語版)、そしてそのパートナーであるシンタキシン7(英語版)、シンタキシン8(英語版)、VTI1B(英語版)などのt-SNAREを含む、小型のクラスリン被覆小胞どうしの同型融合による隔離膜の形成への関与が示唆されている。酵母では、t-SNAREであるSec9pとSso2pがエキソサイトーシスには必要であり、オートファゴソームの生合成に必要なAtg9陽性小胞の細管小胞性(tubulovesiclar)の出芽を促進する。これらのSNAREのいずれかをノックアウトすると、融合しない小さなAtg9陽性小胞が蓄積し、オートファゴソーム前駆構造体の形成が妨げられる。 隔離膜の組み立てに加えて、SNAREはオートファゴソームとリソソームの融合の媒介にも重要である、哺乳類では、VAMP7、VAMP8(英語版)、VTI1Bがオートファゴソームとリソソームの融合には必要である。リソソーム蓄積症ではこの過程に異常がみられ、コレステロールがリソソームに蓄積し、SNAREは膜のコレステロールに富む領域に隔離されてリサイクリングが阻害される。近年、VAMP8とSNAP29(英語版)と相互作用し、リソソームとの融合に必要なオートファゴソーム関連SNAREとしてシンタキシン17(英語版)が同定された。シンタキシン17はオートファゴソームの外膜に局在しているが、隔離膜や他のオートファゴソーム前駆体には見られず、これらの未成熟な構造体とリソソームとの融合が防がれている。酵母では、オートファゴソームと液胞(酵母ではリソソームに相当する)の融合には、シンタキシンのホモログVam3、SNAP25のホモログVam7、Ras様GTPアーゼYpt7、そしてNSFのオルソログSec18といった、SNAREとその関連タンパク質が必要とされる。
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