オリエントエクスプレスVIP(ハイグレード車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 10:00 UTC 版)
「ジパング (大阪府)」の記事における「オリエントエクスプレスVIP(ハイグレード車)」の解説
同社観光バスの最高級車で、定員は僅か23名。車内は総絨毯仕立てで、土足禁止とし、日野・ブルーリボンK-RU638AAがこの仕様で1984年に2台だけ導入された。後にも先にも大阪中央観光バスを代表するバスであり、日本の数ある観光バスの歴史においても、この車の右に並ぶ車は現在においても存在しない。車番123号車と124号車が存在し、特に124号車はほとんど運用に就くことはなく大事に車庫保管されていたようである。この124号車を造るためだけに、日野自動車は生産ラインのすべてを一度クリーニングし、他社からの受注をすべて後回しにして厳選された部品のみを使い、生産ラインの各職長の手のみによって124号車を造ったという。この間に他社からの受注された車は生産ラインに入ることはなく後回しにされ、124号車がロールアウトするまでの間は生産ラインは閑散としていたといわれる。このような生産方法は、ロイヤルエンジンのEF58形電気機関車60・61号機でも採用されず、当時の東芝と日立でも、量産型と並行して生産されていたくらいであった。VIPの名が表すように、その内装はあくまでも選ばれた顧客のみが利用することを許されたもので、宮内庁の依頼により天皇が利用したとしてもなんら違和感、失礼のないものであることを念頭に設計が行われた。一般顧客に対しては常に123号車を運用に供すために、同じ車でありながら差別化を図った。そのためにカーテン生地やシート生地も、123号車と124号車では違うものが採用されていた。また124号車に取り付けられたゴールドキング製のシャンデリアは、既製品を一度バラバラにして沢山のビーズの中から厳選された物だけで組み上げられ、桐の箱に納められて大阪に送られた。この時に納められた桐の箱は今でもジパングで保管されているという。このため、124号車は常に同社の看板車として各種カタログやパンフレットに採用され、平成5年に123号車や他のオリエントエクスプレスシリーズが除籍し払出された後も白ナンバー登録に切り替えられ、同社の管理職の個人名義扱いで大切に動態保存されていた。現在も個人所有で動態保存されている。なお124号車は前述のとおり、かなり運用実績がなく、そのためにタコグラフの故障による交換が成されていないことから、現在でも累計走行距離は10万キロに達していない。またこの時期にはRU638AAブルーリボンの後継車である、RU638BBグランデッカが既に生産開始されていたが、社長のこだわりにより、ベース車体にブルーリボンを採用した。123号車は日野の在庫車であったが、124号車のベース車体が見つからなかったために完全特注となったものである。
※この「オリエントエクスプレスVIP(ハイグレード車)」の解説は、「ジパング (大阪府)」の解説の一部です。
「オリエントエクスプレスVIP(ハイグレード車)」を含む「ジパング (大阪府)」の記事については、「ジパング (大阪府)」の概要を参照ください。
- オリエントエクスプレスVIPのページへのリンク