オスカー13号(AMSAT-OSCAR-13/PHASE-III-C)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/11 10:00 UTC 版)
「PHASE-III衛星」の記事における「オスカー13号(AMSAT-OSCAR-13/PHASE-III-C)」の解説
AO-10の打ち上げに先立つ1982年始め、ESAからアリアン4型の最初の試験飛行でピギーバック打ち上げの可能性が示唆された。AMSAT-DLではより大型の衛星も検討しつつ、最終的にはAO-10の改良型として製作することを1984年に決定し製作を開始した。AO-10で不調だったLモードトランスポンダーについては全面的に再設計したほか、アップリンクとして2mも受け入れるJ/L併用モードを新設、さらに430MHzから2.4GHzに変換するSモードトランスポンダーを搭載することになった。また、デジタル通信用としてRUDAKを搭載、AX.25パケット通信で使えるよう計画された。 打ち上げはアリアンV-18号機の失敗などにより当初予定より遅れ、1988年6月15日にクールー宇宙センターから打ち上げられた。今回は分離に伴うトラブルもなく、6月22日と7月6日には軌道変換にも成功し、自力で予定通りの軌道に変換投入することに成功した初めてのアマチュア衛星となった。 7月22日にはBモード、24日にはJLモードのトランスポンダの使用が一般に公開され運用が開始された。さらに9月17日からSモードトランスポンダが開放された。しかし、RUDAKは不調であった。 AO-13はそれまでのアマチュア衛星のなかでもっとも成功したものであった。1990年、AO-13の軌道は摂動により近地点高度が単調減少することが明らかになったが、商用衛星のようなスラスタを持たないためこれを食い止めることはできなかった。1996年には近地点が150km程まで低下し、同年12月5日に大気圏に突入して消滅した。 8年半の運用を通じて世界のアマチュア無線家に広く使われ、PHASE-IIIタイプの衛星の有効性が認められた。 衛星の諸元 基本的にはオスカー10号を踏襲して様々な改良を加えて設計されている。 打ち上げ日時:1988年6月15日11:19UTC 射場:フランス領ギアナ・クールー宇宙センター ロケット:アリアンV-22(アリアン4型の試験飛行第1号機で構成は44LP) 主ペイロード:METEOSAT-P2(気象衛星)、PANAMSAT(通信衛星) 予定軌道:近地点高度1500km、遠地点高度36000km、軌道傾斜角57度 最終軌道:近地点高度2545km、遠地点高度36264km、軌道傾斜角57.85度(最終軌道変換直後) アポジモーター:MBB社製液体モーター(UDMH+N2O4) 大きさ:三角星型で直径1.6m×高さ0.4m。質量142kg トランスポンダ:以下の3組のリニアトランスポンダ+RUDAKBモード:70cm→2m、帯域150kHz、50Wビーコン:145.812MHz(GB)/145.985MHz(EB) J/Lモード:2m/23cm→70cm、帯域50kHz/290kHz、35Wビーコン:436.651MHz(GB) Sモード:70cm→13cm、帯域36kHzビーコン:2400.325MHz(GB) RUDAK:Lモードで動作するデジタルトランスポンダ(AX.25プロトコル)1259.710MHz(2400bps BPSK)→435.677MHz(400bps BPSK/1200bps NRZI) GB=General Beacon(CW/RTTY/PSK)、EB=Engineering Beacon(PSK) アンテナ:以下の四組2m帯:3x2素子位相給電ビームアンテナ(ゲイン6dBi)およびモノポール 70cm帯:3x位相給電ダイポール(ゲイン9.5dBi) 23cm帯:ヘリックス(ゲイン12.2dBi) 13cm帯:ヘリックス(ゲイン13dBi)
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