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オキエソ

(オキエソ属 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 06:46 UTC 版)

オキエソ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ヒメ目 Aulopiformes
: エソ科 Synodontidae
: オキエソ属 Trachinocephalus
: オキエソ T. trachinus
学名
Trachinocephalus trachinus
(Temminck & Schlegel, 1846)
シノニム
  • Saurus trachinus Temmick and Schlegel, 1846
英名
Painted Grinner

オキエソ(沖鱛、学名:Trachinocephalus trachinus )は、エソ科に分類される魚類の一種。インド太平洋の温暖な浅海に生息する肉食魚である。大きな口と長い体が特徴で、食用にもなる。

分類と名称

以前は本種のみでオキエソ属を構成すると考えられ、学名も T.myops とされていた。しかしミトコンドリアDNAの解析の結果、Trachinocephalus myops大西洋にのみ分布しており、インド太平洋の個体群は従来シノニムとされていた T. trachinus であることが明らかになった[2]

地方名としてエソ(各地・混称)、アマエソ、シマエソ(和歌山)、トラギス(千葉)などの地方名がある[3]トラギスは別種の標準和名でもあるので注意を要する。

分布と生息地

東アフリカ紅海ペルシャ湾インドインドネシアフィリピン日本オーストラリア北部、ハワイ諸島まで、インド洋から西太平洋にかけて広く分布する[2]。日本では岩手県以南の太平洋岸、新潟県以南の日本海岸、東シナ海南西諸島小笠原諸島で見られる[3]

沿岸から水深200mまで生息するが、通常は比較的浅い場所で見られる。砂地泥地岩礁に生息する。河口でもよく見られる[4]。稚魚は海岸付近の藻場でも見られる。

形態

最大全長は40cmほど。吻は極端に短く、大きな目が頭部の前面につく。口は大きく、顎には細かく鋭いが並ぶ。体型はエソ科に典型的な前後に細長い円筒形だが、マエソなどに比べると頭身が短くずんぐりしている。体の模様は黄色水色の縦縞模様で、体の片側の黄色線は3-4本ある。不明瞭な暗色横斑が混じるものもいる。腹鰭軟条の外側が短く内側が長いことと、尻鰭の基底が長いことで他のエソ科魚類と区別できる[3][5]

生態

夜行性で海底付近を活発に泳ぎ、魚類や甲殻類を捕食する。幼魚の頃は獲物に甲殻類が多いが、成魚は魚類とワタリガニを捕食する傾向が強い[6]。昼は砂に浅く潜って休む。その際眼だけを出しており、刺激を受けると砂から飛び出すが、またすぐに戻る[4]。産卵期は9-10月で、直径1.1-1.2mmの分離浮性卵を産む。

利用

底引き網などで漁獲されるが、キスマゴチスズキマダイ等を狙った釣りの外道としても揚がる。他のエソ類と同様に小骨が多く、そのままで利用されることは少ない。主に魚肉練り製品の材料に利用される[3]

出典

  1. ^ Borsa, P.; Russell, B. (2020). Trachinocephalus trachinus. IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T123355563A123355576. doi:10.2305/IUCN.UK.2020-2.RLTS.T123355563A123355576.en. https://www.iucnredlist.org/species/123355563/123355576 2025年5月5日閲覧。. 
  2. ^ a b Polanco F., A.; Acero P., A.; Betancur-R., R. (2016). “No longer a circumtropical species: revision of the lizardfishes in the Trachinocephalus myops species complex, with description of a new species from the Marquesas Islands”. Journal of Fish Biology 89 (2): 1302–1323. doi:10.1111/jfb.13038. ISSN 1095-8649. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.13038. 
  3. ^ a b c d オキエソ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2025年5月5日閲覧。
  4. ^ a b Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2025). "Trachinocephalus trachinus" in FishBase. May 2025 version.
  5. ^ 畑晴陵 (オキエソ部分執筆) 著、小枝圭太、山田守彦、本村浩之 編『黒潮あたる鹿児島の海 内之浦漁港に水揚げされる魚たち』鹿児島大学総合研究博物館、2018年3月1日、93頁https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/publications/pdf_images/2018_03_Uchinoura_lowres.pdf 
  6. ^ 渋野拓郎; 重田利拓; 阿部寧 (1996). “口永良部島におけるトラギス科・エソ科魚類の食性”. 生物生産学研究 : 広島大学生物生産学部紀要 (広島大学生物生産学部) 35 (2): 105-111. https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030551979.pdf. 

参考文献

関連項目




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