エレクトロン (ISS)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/20 15:31 UTC 版)

エレクトロン(Elektron)は、国際宇宙ステーション (ISS) で使われているロシア製の酸素発生装置である。エレクトロンは電気分解で酸素を生成する。この製法では、ステーション内で他から回収した水分子を電気分解して酸素と水素に分離する。酸素は船室内に放出され、水素は船外に廃棄される。
国際宇宙ステーションの3基のエレクトロン酸素発生装置は不具合が起こりがちで、酸素ボンベや固体燃料酸素発生装置(Solid Fuel Oxygen Generation : SFOG)キャニスターなどの予備装置を使わなければならなくなることがある。各キャニスターは、1人が1日に必要な酸素を供給できる。
ロシアのエレクトロン酸素システムを補って、最終的には6人の乗組員を支えるために、NASAはSTS-121のディスカバリーで同様のアメリカ製のシステムを届けた。これは2007年から運用が開始されることになっている[1]。
エレクトロンの故障
- 2004年9月8日 : エレクトロン・ユニットが原因不明の障害で停止。2週間の修理の後にユニットを再起動したものの、すぐに停止してしまった。結局ユニットで発生したガスの泡が原因であることが突き止められたが、プログレス補給船が10月に到着するまでエレクトロンは機能しないままであった[2]。
- 2005年1月1日 : エレクトロン・ユニットが故障し、代わりに直前に到着したプログレス補給船の酸素供給を利用した[3]。
- 2006年9月18日 : 調子の悪いエレクトロン・ユニットから発生した煙により、NASAのフライトエンジニアが「宇宙船緊急事態」を宣言。焦げ臭いにおいから、別のエレクトロンの火災が疑われたが、そのユニットは「非常に熱い」だけであった。無臭で腐食性がある水酸化カリウムが漏れ出し、ISSクルーはやむを得ず手袋とフェイス・マスクを装着した。ゴム製の密封シールが過熱したために、異臭が発生したものと推測されている。事件が起きたのは、スペースシャトル・アトランティスが分離した直後、補給ミッション(宇宙旅行者のアニューシャ・アンサリが搭乗)が到着する直前である[4]。2006年10月のプログレス補給船で新しい弁とケーブルが届けられ、2006年11月にようやくエレクトロンは復旧した[5]。
出典
- ^ International Space Station Status Report: SS07-01
- ^ Wired News: Space O2 Generator Fails Again, Sep, 20, 2004
- ^ Space.com: Repaired Oxygen Generator Fails Again Aboard ISS, 4 January 2005
- ^ Spaceflight Now: Oxygen generator problem triggers station alarm, September 18, 2006
- ^ International Space Station Status Report #48, November 3, 2006
外部リンク
- JamesOberg.com -- エレクトロンの概要 (英語)
- SM Life Support Book (PDF) -- SpaceRef.com ISS docs より (英語)
- エレクトロン(酸素発生装置)
「エレクトロン (ISS)」の例文・使い方・用例・文例
- エレクトロン合金というマグネシウムを90%以上含む軽合金
- 自由エレクトロンレーザーという指向性エネルギー兵器
- この映画は,地球の上空約400キロの軌道を時速2万8000キロで回りながらの国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てについての3D映画だ。
- 野口さんは国際宇宙ステーション(ISS)の全地球測位システム(GPS)のアンテナを交換した。
- これらの品目は,国際宇宙ステーション(ISS)に持ち込める飲食物のリストに追加される予定だ。
- 今回の任務における作業の1つは,日本の実験棟「きぼう」の船内保管室(保管モジュール)を運び,国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けることだった。
- 2008年3月の自身2度目となる宇宙任務では,日本の実験棟「きぼう」の船内保管室を国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けた。
- 彼は国際宇宙ステーション(ISS)に133日間滞在した。
- 彼は,HTVが再使用可能になり,地球と国際宇宙ステーション(ISS)の間で宇宙飛行士を輸送できるようになってほしいと話した。
- 国際宇宙ステーション(ISS)への彼の最初のミッションは2005年だった。
- 宇宙飛行士の野口聡(そう)一(いち)さんが先日,国際宇宙ステーション(ISS)内で地球にいる生徒のための科学実験を行った。
- シャトルは4月7日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。
- その記者会見で,山崎さん(39)は国際宇宙ステーション(ISS)での自身の活動について語った。
- 宇宙での任務中,野口さんは国際宇宙ステーション(ISS)で161日間過ごした。
- 宇宙飛行士の若(わか)田(た)光(こう)一(いち)さん(47)が国際宇宙ステーション(ISS)の船長に日本人として初めて就任する予定だ。
- 1月28日,こうのとり2号機は国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングした。
- 16日間のミッションにおけるエンデバーのおもな任務の1つはアルファ磁気スペクトロメータ2(AMS-02)を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶことだ。
- ソユーズ宇宙船は6月10日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。
- 5月31日,無人宇宙カプセル「ドラゴン」が,国際宇宙ステーション(ISS)への貨物輸送任務を成功のうちに完了し,地球に帰還した。
- 星(ほし)出(で)彰(あき)彦(ひこ)さん(43)と他の2人の宇宙飛行士を乗せたロシアのソユーズ宇宙船が7月15日,カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて打ち上げられた。
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