インプラント療法と歯内療法の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:10 UTC 版)
「根管治療」の記事における「インプラント療法と歯内療法の比較」の解説
歯内療法とインプラント療法を比較した研究は、初期治療に関しても初期の歯内治療失敗を経た再治療に関してもかなり大量にある。歯内療法は歯根膜線維を破壊させずに行うことができ、患者が不適切に咀嚼したり顎関節を損傷するのを防ぐ重要な反射である、咬合フィードバック(occlusal feedback)に必要な固有受容を手助けする。当初の非外科的な歯内療法と単歯インプラントの比較では、どちらも似たような成功率となっていた。痛みと不快感がある点で両施術は似ているものの、顕著な相違としてインプラントを持つ患者は抜歯中に「人生最悪の痛み」を報告している。歯内療法での最悪の痛みは最初の麻酔薬注射で報告された。インプラントを受けている一部の患者は施術後の鈍痛を訴える一方で、歯内療法を受けている患者はその領域の「知覚過敏」を訴える。別の研究では、歯内療法の患者は治療翌日に最大の痛みを報告するのに対し、抜歯およびインプラント患者は手術後の週末に最大の痛みを報告することが判明した。 感染の重症度にもよるが、インプラントは歯の移植からクラウン装着までに通常3-6ヶ月の期間がかかる。性別に関して、女性は歯内療法後の心理的障害および歯のインプラント後の身体的障害を報告する割合が高い傾向があるが、男性はこれに関して統計的に有意な差が見られなかった。インプラントと比較して、歯内治療を受けた歯では咀嚼が著しく強くなる。単一歯のインプラントおよび歯内の顕微鏡手術後の初期成功率は、手術後2-4年間にわたって同程度だが、この期間を過ぎた後の歯内顕微鏡手術の成功率はインプラントと比べて減っている。 ある程度、施術の固有差もあって成功の基準は比較限定が難しいが、歯内療法の成功はX線写真にて根尖周囲の潰瘍がないこと、または画像にて歯根に目に見える空洞がないことだと定義される。他方、インプラントの成功はオッセオインテグレーション、あるいは隣接する上顎骨または下顎骨へのインプラント融着だと定義される。歯内治療を受けた歯は最終修復後のフォローアップ治療の必要性が大幅に少なくなるが、インプラントは治療を終えるためにより多くの装着品やメンテナンスを必要とする。社会経済的には、白人や裕福な患者はインプラント治療を選択する傾向があり、アフリカ系アメリカ人やさほど裕福でない患者は歯内療法をより好む傾向がある。
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