イスラム教における扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 08:03 UTC 版)
「en:Islamic view of Moses」も参照 『クルアーン』(コーラン)ではアラビア語でムーサー (موسى Mūsā) と呼ばれる。イスラム教の聖典『クルアーン』では、モーセすなわちムーサーは過去の預言者のひとりにして、ユダヤ教徒の共同体に神(アッラーフ)から使わされた使徒として登場する。ムーサーは『クルアーン』においてムハンマドを除く諸預言者の中では最も偉大[要出典]な預言者であるとみなされており、ムスリム(イスラム教徒)はムーサーを「神と語る者(カリームッラーフ)」と尊称する。 ムーサーの名は『クルアーン』中において非常に多くの個所で言及され、特に、第28章「物語」は全編がムーサーの物語になっている。『クルアーン』によれば、ムーサーはエジプトで生まれ育ち、のちに「聖なる谷」で神の声を聞いて預言者となった。また、兄ハールーン(アロン)もムーサーを補佐するための預言者とされる。ムーサーとハールーンはエジプトのファラオに唯一なる神を信仰するよう求め、神の偉大さを伝えるために杖を蛇に変えるなどの奇蹟を示すが、ファラオに拒絶されたためにイスラエルの民を連れてエジプトを離れた。出エジプト物語は『聖書』と基本的に同じであり、シナイ山(アラビア語ではムーサー山と呼ばれる)で、ユダヤ教徒に対して与えられた啓典であるトーラー(律法)を神から授かったという。 クルアーンのムーサーの物語では、ユダヤ教徒たちがムーサーの言うことを聞かず、時に偶像をあがめたことについて非常に詳細に言及されており、このようなクルアーンの、正しい神に選ばれた使徒ムーサーに従わないユダヤ教徒に対する批判的な言及が、歴史的なムスリムによるユダヤ教徒に対する差別心、敵意の原因のひとつとなったと指摘されることも多い。 ムーサーはイスラム教においてノア(ヌーフ)、アブラハム(イブラーヒーム)イエス(イーサー)、ムハンマドと共に五大預言者のうちの一人とされる。また、ムーサーという名はムスリムに好まれる男性名のひとつとなっている。 イスラム伝承ではムーサーはイスラエル民族の救世主としての役割のみならず、さまざまな知的追求も行う人として描かれており、クルアーンにはユダヤ・キリスト教には無い話。知識を求めるムーサーが、従者を連れ賢者に会いに行き、教えを請う物語などもある。エジプト脱出から死去までの時間に開きが大きいのも、その間に知的追求への旅など、イスラエル民族に対する救世主的行為以外にも携わっていたからだと考えられている。
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