イスラム教の公式教義におけるムハンマド
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「ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ」の記事における「イスラム教の公式教義におけるムハンマド」の解説
イスラム教の教義においては、ムハンマドは唯一神(アッラーフ)からイスラム共同体に対して遣わされた「神の使徒」とされ、最後にして最大の預言者と位置づけられている。「ムハンマドは神の使徒である」という宣誓は、シャハーダ(信仰告白)として、信徒の義務に位置付けられる。 ムハンマド自身は、自らを「預言者の封印」と称したが、それがどのような文脈で語られているかは、たびたび見逃されている。特にイスラム教徒は、その意味内容を拡大解釈する傾向がある。クルアーン「部族連合」(クルアーン33:40)において、この「預言者の封印」という言葉が登場するが、この箇所は、一般信者と預言者ムハンマドとを区別することがその主旨であり、他の預言者たちよりムハンマドが優れているということは一切言われていない。 このように「最後の預言者」は、もともと「最大の預言者」とは全く別の概念であった。これが現在のように「最後にして最大」と一体化するには、歴史の中ではかなりの変遷がみられる。クルアーン「砂丘」(クルアーン46:8(9))では、大天使ガブリエルが、「古今未曾有の使徒」であることをムハンマドに否定させている。さらに第二聖典ハディースにおいても、「旧約の預言者であるモーセやヨナよりも、私のことを優れた預言者であると言ってはならない」というムハンマド自身による戒めが何箇所かある。形式的にはこれは現在のイスラムの信仰告白にも残されている。イスラム教徒へ改宗する際の信仰告白は「ムハンマドは預言者」であり、ムハンマドの預言者としてのスケールは告白しない。 第二聖典ハディースでは、ムハンマドの権威と偉大さを強調する文章が少なくない。「預言者ムハンマドは完全であり、最大の預言者である」との考えがされるようになっていった。 スンナ派では、彼に使わされた啓示を集成したクルアーンによってのみ、人々は正しい神の教えを知ることができると考える。最良の預言者であるムハンマドの言行(スンナ)には神の意志が反映されているから、その伝承の記録(ハディース)も神の意思を窺い知る手がかりとして用いることができるとされる。
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