アメリカ大都市の死と生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/08 05:12 UTC 版)
「ジェイン・ジェイコブズ」の記事における「アメリカ大都市の死と生」の解説
ジェイコブスはアメリカの大都市が自動車中心になり、人間不在の状況になっていることに疑問を持ち、1961年に近代都市計画を批判する著書『アメリカ大都市の死と生』(The Death and Life of Great American Cities)を刊行して、反響を呼んだ。 ジェイコブスの挙げる例によると、ボストン市内にイタリア移民が多く住む地区(都市計画家から見れば再開発の対象となる地区)があるが、ここではほとんど犯罪が起こっていない、一方ボストンの郊外でも犯罪が多発している地区がある。ジェイコブスは、安全な街路の条件として、常に多数の目(ストリートウォッチャー)が存在していることなどを指摘している。 都市が多様性を持つための条件(The conditions for city diversity)として、ジェイコブスは次の4つを指摘した。 都市の街路や地区で,溢れんばかりの多様性を生成するためには,4つの条件が必要不可欠である。 1. 地区,そして,地区内部の可能な限り多くの場所において,主要な用途が2つ以上,望ましくは3つ以上存在しなければならない。そして,人々が異なる時間帯に外に出たり,異なる目的である場所にとどまったりすると同時に,人々が多くの施設を共通に利用できることを保証していなければならない。 2. 街区のほとんどが,短くなければならない。つまり,街路が頻繁に利用され,角を曲がる機会が頻繁に生じていなければならない。 3. 地区は,年代や状態の異なる様々な建物が混ざり合っていなければならない。古い建物が適切な割合で存在することで,建物がもたらす経済的な収益が多様でなければならない。この混ざり合いは,非常にきめ細かくなされていなければならない。 4. 目的がなんであるにせよ,人々が十分に高密度に集積していなければならない。これには,居住のために人々が高密度に集積していることも含まれる。(中略) この4つの条件は,どれかひとつが欠けても有効に機能しない。都市的多様性が生成するためには,4つの条件すべてが必要である。 — 著:ジェイン・ジェイコブズ、訳:中村仁 "The Death and Life of Great American Cities"(Random House, 1961, and Vintage, 1992, pp.150-151) 多様性は魅力的で活力のある都市の条件であるが、従来の都市計画ではまったく顧みられなかったとして、ル・コルビュジエの輝く都市など、機能優先の近代都市計画の理念を批判した。
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