アナログ電話回線用のモデム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:29 UTC 版)
「モデム」の記事における「アナログ電話回線用のモデム」の解説
アナログ電話回線つまり人と人が音声で会話をするために使っている通話回線を用いてコンピュータ等でデータの送受信を行うための装置である。このタイプのモデムは、平易に言うと、デジタル信号をいわゆる「音」に変換し、またその音を元のデジタル信号に戻す装置である。送信側と受信側がそれぞれモデムを設置することで、音声通話用回線でもデジタル通信を行えるようになる。 このタイプのモデムは (300 - 3400Hz)という周波数帯域を利用し通信する。つまり音声可聴帯域周波数よりはかなり狭い帯域を使用する。(※)。 (※)可聴周波数帯域は、健康な若い人の場合、およそ20Hz から 20000Hzと言われている。公衆交換電話網の通信の品質(周波数特性)は、音声のコミュニケーションが一応できればよい、伝わる音はあまり高品質でなくてもよい、という考えで決定された経緯があり、その結果公衆交換電話網では周波数が高い音は伝わらない。公衆交換電話網が伝える周波数帯域は、健康で若い人の可聴周波数帯域よりもずっと狭い。それにあわせてモデムが使用する周波数帯域も狭められている。 このタイプのモデムの通信速度は300bpsから56Kbpsである。 指定した電話番号を発呼してデータ通信を開始したり、外部からの着呼に応答して自動的にデータ通信を開始したりといった機能も備えていることが多い。 モデムをつかって電話回線経由で遠隔地のコンピュータ・LAN・インターネットなどに接続することをダイヤルアップ接続といい、パソコン通信や、2000年代前半ころまでの個人のインターネット利用では主要な手段として利用された。 FAX機(ファクシミリ機器)と通信できるモデムをFAXモデムという。コンピュータとFAXモデムを組み合わせ電話回線につなぐと、コンピュータ上のソフトウェアを使い自動的に大量の宛先にFAX送信をしたり、自動的にFAXを次々と受信し全部データ化する、などということもでき、FAX利用が盛んだった時代には利用された。 なおアナログ音声回線には公衆交換電話網以外にも、専用線、私設線(利用者が施設内・建物内・敷地などに敷設した電話線)、無線電話などがある。モデムとこうしたアナログ回線を利用して、たとえばPOS装置のデータ集計、自動販売機のリモート情報収集、屋外の道路信号機や標識類とのデータ通信、コンピュータとコンピュータの1対1の接続などといったことができる。電話回線さえつなげばデータ通信が可能になる。機器をサイバー攻撃が行われがちなインターネットから完全に遮断して、セキュリティを確保した状態でデータ通信を行うことができる、完全にプライベートな回線でデータ通信できる、など現在でも意味ある利用法は多々ある。
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