アウグスティヌスの普遍史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
古代的な普遍史は、アウグスティヌス(354年 - 430年)の著作『神の国』にて完成された。彼は、歴史とは原罪を背負い死を免れなくなった人類が、神の導きに従いつつ正しい発展を遂げ、改めて永遠の平和が実現した「神の国」に生きるまでの道筋という意味づけを行った。これは「救済史観」と呼ばれる。 この救済史観についてアウグスティヌスは、アベルとその子孫に始まる神の愛に基づく「神の国」と、弟を殺したカインに始まる欲や傲慢などに支配される自己愛に基づく「地上の国」の二つの原理が混在しせめぎ合いながら過去の歴史は刻まれたという論を展開した。そして段階を踏みながら人類は発展し、最終的に救済がもたらされると説明した。この発展段階は、神が6日で天地を創造した聖書記述になぞらえた6期の発展段階が置かれ、7期目が安息の期、そして第8期には永遠なる「神の国」成就を当てた。 区分期始まりの出来事 終わりの出来事天地創造第1期 幼年期 アダム生誕 - 大洪水 1日目 第2期 少年期 大洪水 - アブラハム 2日目 第3期 成年期 アブラハム - ダビデ 3日目 第4期 ダビデ - バビロン捕囚 4日目 第5期 バビロン捕囚 - キリスト生誕 5日目 第6期 老年期 キリスト生誕 - 最後の審判 6日目 第7期 安息日 7日目 第8期 永遠の第8日 このような時代的骨格を据え、アウグスティヌスは諸民族の歴史を聖書記述の枠組みの中に嵌め込み、普遍史体系を成立させた。その考えはエウセビオスの思想を継承している。大洪水以前は巨人も存在する世界だったが彼らは滅び、その後各民族に連なる歴史が始まった。ギリシア史はシュキオン王から始まり、プロメーテウスやヘーラクレースなど神話上の存在までが実在した人物として描かれている。
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