アウグスティヌスの自然法論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 15:51 UTC 版)
「自然法論」の記事における「アウグスティヌスの自然法論」の解説
アウグスティヌスは、自然法論の枠組みの中に、ギリシャおよびローマの哲学者たちが知らなかった神定法という概念を導入した。もっとも、アウグスティヌスの自然法論は、ひとつの著作の中で体系的に展開されておらず、異なる年代に書かれた複数の著作の中にちりばめられている。このため、アウグスティヌスが自身の自然法論をひとつの整合的な体系として提示しているとは言い難いが、およそ次のように図式化できる。 永久法=神定法人間の心に書き込まれ、理性によって発見される永久法の一部としての自然法市民のために制定される一時的な法=人定法 まず、法の時間的な継続性という観点から見れば、法は、永遠不変の永久法と、有限可変の一時的な法とに区別される。永久法とは、神の理性あるいは神の意思であり、自然な秩序に従うことを命じ、それを乱すことを禁じるものである。この永久法のうち、人間の心の中に書き込まれたものが、自然法である。 次に、法の制定者という観点から見れば、法は、神定法と人定法とに区別される。一時的な法は、永久法に則らねばならないが、永久法違反の行為を全て現世において罰する必要はない。これは、一時的な法によって見逃された行為の有責性が、神の処罰によって担保されているからである。これらの区別は、観点が異なるだけで、永久法と神定法、一時的な法と人定法とは一致する。
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