有責性
有責性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:30 UTC 版)
違法性の判断ののち責任の判断が行われる。たとえ、構成要件に該当し違法な行為であっても、それが自由(行為者の自発的)な意思による場合に初めて非難が可能となるのであり、したがって他の行為を採ることを規範的に期待しえない場合には非難が出来ず、これを治療や教育の対象とすることは別段、処罰の対象とすることは相当でないからとされる(道義的責任論)。この部分は前2段の判定により、犯罪のパターンに該当し違法な行為であると認められた場合に、その責任を当該犯人に問うことが妥当かどうか、という点を問題とするものである。 例えば、違法性阻却事由該当事実を誤想した場合には故意責任は問えないとされる(厳格責任説を除く)。また、行為者が刑事未成年者であったり重度の精神障害を患ったりしている場合には、その者の行為は処罰の対象とならない。明文のない責任要素ないし責任阻却事由も認められる。 精神障害者が犯罪を行い、心神喪失が認められて処罰の対象とならない場合の処遇は、保安処分を、同じく心神喪失が認められて重大な犯罪(殺人、重大な傷害、強盗、強姦、放火)の場合で処罰の対象とならないときの処遇はそれにあわせて心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律を参照。 なお、客観的処罰条件や一身的処罰阻却事由といった処罰条件という概念があるが、これらは犯罪の成立を前提に処罰が可能かどうかという問題に過ぎないとされる。もっとも、これらを構成要件要素に組み込む見解も有力である。親告罪における告訴などは刑事手続上の訴訟条件であって、刑事実体法の問題としては扱われていない。
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