アイーダ・トランペット
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アイーダ・トランペット(Aida trumpet)は、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ『アイーダ』のなかで「凱旋行進曲」を吹くためのファンファーレ・トランペットのことである。
解説
ピストンバルブが1本又は3本ついたまっすぐな形である。調はH管とA♭管の2種類が同時に使われる[1]。
普通のトランペットは扱いやすく演奏しやすいように管を曲げてコンパクトにしているが、 このトランペットは主管がまっすぐである。
脚注
- ^ “トランペットのマメ知識:「凱旋のマーチ」のためのアイーダトランペット - 楽器解体全書 - ヤマハ株式会社”. www.yamaha.com. 2021年7月24日閲覧。
アイーダ・トランペット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:24 UTC 版)
ヴェルディは音楽的に「エジプト的なもの」を取り入れようと考えていた。彼はまず楽器史関連書籍にあった「エジプトの笛」なる記述に関心を寄せ、現物を確認しようとフィレンツェの博物館にまで赴いている。この時はその笛が、ヨーロッパで当時普通に使われていた羊飼いの呼笛と大差ないものであることに落胆しただけだった。 ヴェルディは作曲にあたってデュ・ロクルを通してマリエット・ベイに古代エジプト文化等について尋ね、またリコルディ社にも詳しい調査を依頼するなど、様々な方法を駆使してエジプト文化についてかなり綿密な時代考証を重ね、それら知識を咀嚼した上で作曲を進めた。 その後(1870年7月頃)ヴェルディは、凱旋の場で「エジプト風」のトランペットを導入し、行進曲を添えることを考えた。モデルとなったのはルーヴル美術館に収蔵された唯一の現物、並びに様々の壁画に描かれた長管の楽器であったと考えられる。特注されたこれら「アイーダ・トランペット」は管長約1.2mの長大なものであり、舞台で6本揃えば異国情緒を演出するには十分な偉容である。スカラ座でのイタリア初演後数年間は、これらトランペット6本1組は『アイーダ』総譜と共にリコルディ社から各劇場に公演の都度貸与され、それを使用することが公演の付帯条件とされていた。このように見せ場も設けながらヴェルディは彼独自のエジプト音楽を作りあげ、傑作へと昇華させた。 異国情緒、綿密な時代考証といった「こだわり」はパリの「グランド・オペラ」様式の延長線上に『アイーダ』があることを示している。しかし、ヴェルディの没後1922年になってツタンカーメン王の墓から発見されたトランペット状の管楽器は、管長50cm内外の比較的短いものばかりであり、ヴェルディらの考証作業も(考古学的観点からは)不十分だった、ということになる。
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