東松山上岡観音の絵馬市の習俗
名称: | 東松山上岡観音の絵馬市の習俗 |
ふりがな: | ひがしまつやまかみおかかんのんのえまいちのしゅうぞく |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | |
選択年月日: | 1998.12.01(平成10.12.01) |
都道府県(列記): | 埼玉県 |
市区町村(列記): | 東松山市大字上岡 |
代表都道府県: | 埼玉県 |
備考: | 所在地が同一都道府県内のもの(このデータは種別1から移行しています) |
解説文: | 上岡観音の絵馬市は、馬頭観音が祀られている妙安寺(曹洞宗)観音堂で二月十九日に行われる。観音堂に昇る階段の脇に絵馬の店が立ち、上岡観音絵馬講の人たちが小絵馬を売る。現在は妙安寺でも絵馬の店が立つ。絵馬市で購入した絵馬は、厩の入口に打ち付けて、牛馬の災難除けにする。 絵馬は、絵馬屋である熊谷市久下【くげ】の小板家が作っているものである。絵馬の大きさは、横幅の違いで六寸、八寸、尺、尺二寸の四種類に分かれ、六寸を小物、八寸と尺を中物、尺二寸を大板という。馬の絵柄の小絵馬にはタチ(立ち馬)とハネ(跳馬)の二種類があり、六寸と八寸は一頭立ちで、尺と尺二寸はツナ(繋ぎ馬)といって七頭立てである。馬にはそれぞれ七種類の毛並みの別があるという。また、農家での馬の飼育が減り、代わって牛の飼育が増えたために、牛を描いた絵馬もある。かつては、時代に合わせて、乳牛や豚、耕耘機などの絵柄の絵馬が売られていた時期もあった。 昭和三十年ころまでは絵馬の総売上数が千枚を超えていたが、現在は農家がほとんど馬を飼わなくなったため、絵馬の頒布数は激減している。しかし、今では関東地域の競馬場の厩舎や乗馬クラブの関係者が絵馬を買い求めるようになり、馬の守護神である上岡の馬頭観音の信仰を伝えている。 観音堂境内と妙安寺との間の広場には露天市が立ち、百軒近い露店商が集まる。食べ物や玩具などの店が多いが、金物・木工品・靴・竹細工などの生活用品や植木、花、それにダルマなどの縁起物を売る店もあり、農繁期前の市の姿をよく残している。 埼玉県内では熊谷市の龍泉寺など六か所の寺院で絵馬市が立っていたが、現在は上岡観音堂で行われるだけとなっている。農業の機械化や生活様式の変化により、上岡観音の絵馬市は変貌を余儀なくされ存亡の危機に立たされているが、関東地方の絵馬頒布の様相をよく伝えており、民間信仰にかかわる市立ての習俗として貴重である。 |
祭礼(信仰): | 日立風流物 最上地方の山の神の勧進 村山地方のオナカマ習俗 東松山上岡観音の絵馬市の習俗 栃窪の天念仏 武水別神社の頭人行事 武蔵府中の大鼓講の習俗 |
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