なつかしい

デジタル大辞泉

なつかし・い【懐かしい】

読み方：なつかしい

［形］［文］なつか・し［シク］《動詞「なつ（懐）く」の形容詞化》

１ 心がひかれて離れがたい。

㋐魅力的である。すぐそばに身を置きたい。

「三蔵は少し葉蔭になっている他の（牡丹ノ）一輪を—・く見る」〈虚子・俳諧師〉

「霞立つ長き春日をかざせれどいや—・しき梅の花かも」〈万・八四六〉

㋑好感がもてて近付きになりたい。親しくしたい。

「目鼻立の好い男は、…、利いた風で—・くない」〈鴎外・雁〉

２ かつて慣れ親しんだ人や事物を思い出して、昔にもどったようで楽しい。「30年振りに—・い顔ぶれがそろった」「遠い昔が—・く思い出される」

３ 引き寄せたいほどかわいい。いとおしい。

「気配、姿、みめありさま、かうばしく—・しき事限りなし」〈宇治拾遺・六〉

４ 衣服などがなじんで着ごこちがよい。

「—・しき程の直衣に」〈源・夕霧〉

[派生] なつかしがる［動五］なつかしげ［形動］なつかしさ［名］

Wiktionary日本語版（日本語カテゴリ）

なつかしい

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 05:50 UTC 版)

語源

古典日本語「なつかし」 < 「なつく」

形容詞

なつかしい【懐かしい】

1. 対象に魅力と愛着を感じるさま。
   • 春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花（古今和歌集春下・122よみ人しらず。春雨に映える色も飽きないが、その上かおりまでも魅力のある山吹の花）
2. 以前の事を思い出して心が惹かれる気持ちである。
   • ふるさとの訛（なまり）なつかし/停車場（ていしやば）の人ごみの中に/そを聴（き）きにゆく（石川啄木『一握の砂』1910年ごろ）
3. 久し振りに見たり会ったりして時間の経過を忘れた気持ちになり嬉しく思うさま。

発音^(?)

東京アクセント

な↗つかし↘ー

京阪アクセント

なつか↘しー

関連語

• なつかしむ

翻訳

• 英語:dear, beloved, cherished, sweet; missed, longed for, yearned after
• 中国語:怀念/懷念

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「なつかしい」の例文・使い方・用例・文例

• 彼はなつかしい歌を弾き始めました。
• 私は彼の授業がなつかしい。
• 私たちの家は快適ですが、やっぱり前の家がなつかしい。
• 子供時代の思い出が今も彼女にはたまらなくなつかしい。
• 久々に聞いたこの曲。なつかしい。
• この町は私達にとってなつかしい町だ。
• なつかしい思い出に乾杯しよう.
• 古きよき時代, なつかしい昔.
• (あの)なつかしい[いやな]昔のころ.
• なつかしい昔の習わし.
• 私はあのなつかしい昔を思い出し始めた.
• なつかしいさま
• 慕わしく,なつかしいさま
• 見終わった後には，気持ちのよい，なつかしい気分になるだろう。
• なつかしいメロディーが世代を越えて人気だったようだ。