おじょか古墳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 23:15 UTC 版)
おじょか古墳(おじょかこふん、王女丘古墳/志島11号墳)は、三重県志摩市阿児町志島にある古墳。三重県指定史跡に指定され、出土埴製枕は三重県指定有形文化財に指定されている。昭和30年代に石室が開けられて副葬品が取り出されたほか、1967年(昭和42年)に発掘調査が実施されている。 墳丘周辺はこれまでの宅地開発で削平を受けており、墳形は明らかでない。墳丘表面では埴輪・須恵器が検出されている。主体部の埋葬施設は横穴式石室で、西南西方向に開口する。石室全長6メートル・最大幅2メートルを測る。緑色千枚岩の板石積みによって構築され、羨道部は「ハ」字形に広がるとともに、玄室は開口部から奥壁に広がる羽子板形を呈する。こうした石室の特徴は北部九州地方の石室(類例は関行丸古墳(佐賀県))に類似する点で注目される。また玄室内には朱が塗られている。 石室内からの出土品としては、装身具類(方格T字鏡・珠文鏡・玉類・櫛)・鉄製品類(斧・鎌・刀子・直刀・剣・槍・鉾・鏃・鋲留短甲)・漆塗網代状木製品(胡簶の一部か)がある。また天井石直上の墳丘盛土内からは鉄刀が出土したほか、調査前の出土品として埴製枕・鉄刀類がある。これらのうち特に埴製枕は、被葬者の頭を乗せる土製の枕で、高さ約28.5センチメートル・幅約32.6センチメートルを測る。円筒形脚台部(円筒埴輪形状)の上に頭を乗せる座部を乗せ、その背後に直弧文・鰭飾りを施した衝立部を付し、表面には赤色顔料が塗られる。古墳出土の埴製枕は、本古墳のほか燈籠山古墳・五条猫塚古墳(奈良県)・産土山古墳(京都府)で知られるのみで貴重であるとともに、本古墳例はそれらと比較して装飾豊かな点で注目される。 築造時期は古墳時代中期の5世紀中葉(または5世紀後半)頃と推定される。 石室 埴製枕(三重県指定文化財)志摩市歴史民俗資料館展示(他画像も同様)。 埴製枕 背面 装身具類 鉄製品類 上村古墳出土品
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