インフレ‐ターゲット
インフレターゲット(いんふれたーげっと)
インフレターゲットは、inflation target の略だ。「インフレ目標」と訳される。中央銀行があらかじめ物価目標を定め、これを達成するような金融政策を行う、ことを言う。
景気が良いと物価は上昇する。このことを経済では「インフレ」という。好景気が続いている欧米では、ややインフレ傾向だ。そこで、イギリスやカナダなど8カ国は、インフレの過度な上昇を抑えるため、インフレターゲットを採用している。あらかじめ決めた範囲に物価上昇を抑えると言うものだ。
さて、インフレの反対に「デフレ」があり、物価が安くなることを指す。価格破壊などで電気製品は5年前よりも安くなった。このような状況が「デフレ」だ。一般に、景気の良いときにはインフレが生じ、景気の悪いときにはデフレが生じる。好況時には物価が上がり、不況時には物価が下がる。
日本の金融政策では、インフレターゲットが検討されている。主導しているのは自民党金融調査会などだ。日本では景気が悪く、デフレ傾向だ。そこであらかじめ物価目標を定め、過度なデフレに陥るのを防ごうとしている。ただ、実際ところ、インフレターゲットは、多くの国でインフレ抑制を目的に採用されている。インフレ抑制の理論をデフレ対策に応用するのは難しいという向きもある。
(2000.09.14更新)
インフレ・ターゲット(いんふれ・たーげっと)(inflation target)
あらかじめインフレ率に目標値を設定しておき、その目標を達成するように紙幣の発行を増やすなどの金融政策を日本銀行(日銀)が実施すること。通貨価値の下落によって物価の上昇を見込む。
デフレに歯止めのかからない日本経済は、物価の下落と同時に、人件費(給料)の削減や雇用の見直しを招き、ますます経済的不安を抱えるというデフレ・スパイラルの状態にある。このような経済の谷底から抜け出す金融政策として、インフレ・ターゲットが提唱されている。
特に、不良債権の処理によって経営不振の企業が淘汰されると、さらにレ不況を深刻化させるのではないかと心配されている。不良債権処理を加速させたい小泉内閣にとって、デフレ圧力の緩和につながるインフレ・ターゲットは、構造改革の断行を下支えするひとつの選択肢だ。
ただ、インフレ・ターゲットはイギリスやカナダなど物価の高騰を抑える手段として実施された例があるに過ぎず、デフレを食い止める金融政策として有効かどうかの判断は分かれる。これまで金融の量的緩和を通じて通貨を潤沢に供給してきた日銀も、インフレ・ターゲットに踏み切ることには消極的だ。
(2002.10.09更新)
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