『燃える!お兄さん』職業差別事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:11 UTC 版)
「週刊少年ジャンプ」の記事における「『燃える!お兄さん』職業差別事件」の解説
1990年第45号の「燃える!お兄さん」(佐藤正)が問題となった事件。 主人公国宝憲一の担任教諭、早見姿郎が仕事上の失敗から担任を外されて用務員をすることになり、また、校長も「用務員‘‘でも”やってくれ」と用務員の職務を教員の職務よりも低くみなし侮蔑するような発言も見られる。早見自身も「なんで俺が用務員‘‘なんか”」という発言をしている。用務員になった早見に対して憲一が「先生ではなく用務員になったのだから何をしても構わない」という理屈の元に、「ただの働くおっさん」「先生じゃなきゃタダの人だからなにをいってもかまわない」「バカ職員」などと侮辱し、早見にやりたい放題するという内容だった(その後、早見がさらに過激な方法で反撃し、最後は憲一がこき使われるオチとなる)。 この号が発売された直後、用務員が加入する労働組合(主に自治労)や読者から「用務員を馬鹿にしている」などの抗議が殺到した。自治労大阪府本部が「学校用務員に対し、本コミックは全編において用務員の仕事と存在を否定しており、全国の用務員及びその家族に侮辱を与えている」と抗議し、 この作品に対する社の見解の提示 当該号の回収 誌上での謝罪及び全国紙五紙への謝罪広告の掲載 連載の中止 社の人権・差別問題への認識、取り組みについて明らかにする の5項目を要求。自治労本部、大阪府本部の現場指導者8名、出版社側5名で確認会の場が設けられ、比較的冷静に会は進行するも途中、日教組が抗議に加わり、さらに東京法務局人権擁護部からの事情聴取、マスコミの取材攻勢が続いたため、事態を重く見た本誌編集部側は幾度かの協議の結果、 正式文書による謝罪 謝罪文の本誌掲載と回収の呼びかけ 連載は続行するが当該作品は単行本に収めない 全国紙一紙の自社広告の一部を使って「お詫び」の掲載 社内研修会の開催 関西での懇親会開催 の6点を出版社側が提示して合意に至る。 掲載号を集英社に郵送すると、引き換えとして本誌のマークが入ったシャープペンシルが貰えた。回収を行った処置費用は約1億円、回収した部数は約8万部で、本社ビルの地下2階、3階が当該号で埋め尽くされた。 なお、その後作中では早見はしばらく登場しなくなり、後に他の学校の教諭として再登場し、用務員への職種変更はなかったものとされた。その事情は作中の登場人物によって「謎の転勤」と説明された。
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