『万国公法』がもたらした外交概念
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「万国公法」の記事における「『万国公法』がもたらした外交概念」の解説
中国や周辺諸国は、それまでなかった外交概念を『万国公法』から学んだ。現在日本や中国などのアジア諸国において用いられている外交概念は、この翻訳書とともにもたらされたものである。そして以下に挙げる外交概念は単なる書物に書かれた知識というだけでなく、近代国際法が認める「文明国」かどうかを見定める具体的な要件・目安ともなっており、その外交概念を共有しない国家は近代国際法が適用されない、もしくは制限を受けるものと解された。 国家主権とその相互尊重『万国公法』はまず国家には主権というもの備わっていること、主権とは国家という体裁に必要不可欠な要件であることを強調し、書の前半は主権に関する部分に最も紙幅を費やしている。国際法における主権とは、対外的に独立し、対内的には至高の権力を有し、それ以外からの干渉を排することができることを指す。具体的には領土・人民・財産に対する支配権や立法・行政・司法の諸権を有することであるが、どこまでそれら諸権が及び、あるいは及ばないかという境界線が明確となっている。 国家間の平等往来原則条約体制に参加した諸国家が他国と往来する時、その国の大小に関係なく平等に交際しなくてはならない。たとえば公使を派遣する場合、一方のみが派遣するのでなく相互に公使を派遣しあうのが通例とされる。あるいは条約締結の際記載される言語や署名も平等であることが求められる。また外国における公使は、容易に逮捕されないなど外交特権をもつことを相互承認し、公使の身分保障を約束されていた。 国際法・条約の遵守国家間の往来・交際は締結した条約に基づくものであるが、それを遵守し続ける意志と能力がなければ締結の意味がない。したがって条約や国際公約を遵守しない(あるいはできない)ということは、「文明国」としては不適切であると見なされる。たとえばその国にいる外国人をいかなる時も保護できるかどうかは、国家の統治能力と外国への配慮という点で「文明国」かどうかの判断の材料とされた。
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