「買わない」のではなく「買えない」といった所得の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 22:08 UTC 版)
「若者の車離れ」の記事における「「買わない」のではなく「買えない」といった所得の問題」の解説
所得が原因とする説 - 1990年代後半から顕著になった若年層の雇用不安(就職氷河期)、終身雇用の崩壊による非正規労働者の増大などにより、雇用不安が慢性化した。年度によっては緩和された年もあったが、その影響で正社員の給与も低下したうえ、非正規は低賃金労働が推進されたため低所得者も増加。その結果、個人の可処分所得が減少傾向となると同時に若年層の個人消費が大きく低迷し、数十万円単位の高額消費が厳しくなった。また、就職や職務上の関係で運転免許証を取得できても、東京の最低賃金は1990年で548円、2000年で703円、2010年で821円、2018年で985円、2019年で1013円と雇用情勢および収入の不安定化や消費税増税などの生活費の相対的な増加も加味すると十分に賃金が上がっているとは言えず、単純に自動車を購入する余裕がない(買うという選択肢が存在しない)というのが現状である。 維持費の問題 - 高額な車両価格もあるが、仮に車両本体価格と購入時に要する維持費を一括で支払えたとしても、毎月(ないし毎年)の定期的な支払いが必要な維持費(自動車税・重量税・取得税などの税金・自動車賠償責任保険を含めた自動車保険・車検費用・ガソリン(米国と比較すれば割高であるが、欧州と比較すると安価になっている)など燃料代・駐車場賃借料金など)などの自動車を所有・利用するにあたり発生する、年数十万円単位の各種維持費の観点から断念することも少なくない。また、日本における自動車の維持費は諸外国に比べても極めて高額であり(特に税制に関しては、欧米でCセグメント車が所有できる程度の税負担だと日本では軽自動車しか維持できないという指摘もある)、特に税制面での高額な負担が問題視されている。 古谷経衡は「若者が車から離れているように見える理由の大半は、単に経済的な理由である」「デフレーションを放置し経済失策を続ける日本国政府の責任であり、自動車メーカー側に落ち度は無い」と指摘している。 中野剛志は「若者の自動車離れがよく話題となるが、それは若者が内向きになって車で遠出しなくなったというより、(寧ろ)単純にデフレでローンを組んで自動車を買うことができなくなった(信販会社が非正規労働者に融資しなくなった)だけである」と指摘している。
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