「時間」という言葉・概念の基本的な意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 10:12 UTC 版)
「時間」の記事における「「時間」という言葉・概念の基本的な意味」の解説
「時間 (単位)」および「時間 (クルアーン)」も参照 「時間」という言葉は、以下のような意味で使われている。広辞苑で挙げられている順に解説すると次のようになる。 時の流れの2点間の長さ。時の長さ (あくまで俗用。下で解説)時刻を指す用法 空間と共に、認識のまたは物体界の成立のための最も基本的で基礎的な形式をなすものであり、いっさいの出来事がそこで生起する枠のように考えられているもの。 1. の意味の時間、すなわち時の長さというのは「この仕事は時間がかかる」とか「待ち合わせ時刻まで喫茶店で時間をつぶす」とかのように用いられている概念である。長さの意味での時間を数で示す表現を日本語および英語で挙げてみると例えば「5時間 (five hours)」「2日(2日間、two days)」「4ヶ月 (four months)」などがある。 2.の用法、時間という言葉を時刻という意味で用いてしまう用法は、広辞苑や日本語大辞典の解説によるとあくまで俗語である。岩波『国語辞典』でも日常語としている。つまり「時間」を時刻の意味で使ってしまう用法は正しい用法ではない。なお時刻は、ある一瞬を指す概念である。例えば「本日14時20分」などである。時刻については別記事「時刻」が立てられているのでそちらで詳説する。 3. の意味の時間、すなわち哲学的概念としての時間は、まず第一に人間の認識の成立のための最も基本的で基礎的な形式という位置づけである。カントなどの指摘に基き現在まで用いられ日々用いられるようになっている意味である。広辞苑では3.の「時間」は、1.と 2.の両方を併せたような概念、とも解説されている。 当記事では3. や 1.を中心として解説する。2については基本は別記事「時刻」で扱うが、(広辞苑でも解説されているように)3.の意味の時間は1.と2.を併せたような概念なので、2.の意味についても適宜言及する。 3.について 時間というのはあまりに基礎的で、あまりにとらえがたく、人は比喩を用いて“流れ”と表現する。人間にとって理解しやすい川の流れなどに喩えている。人間というのはとらえどころのない対象については比喩を用いて表現し、それを理解のきっかけとして用いようとする。ただし、比喩というのは、異なるものどうしを結びつけて用いるものなのであり、つまり実は本当は、「時間」は「流れ」ではない。時間は本当は"流れ"ではないからこそ、比喩として成立している。時間を「流れ」に譬える比喩としてはたとえば、「過去から未来に絶えず移り流れる」とか「過去・現在・未来と連続して流れ移ってゆく」とか「過去・現在・未来と連続して永久に流れてゆくもの」とか、「過去から未来へと限りなく流れすぎて」とかがある。時間を「流れ」として比喩的にとらえることに関しては、「過去から未来へと流れている」とする時間観と、「未来から過去へ流れている」とする時間観がある。時間というのは人間にとっては比喩で表現して理解のとりかかりにしようとするくらいがせいぜいであり、正攻法で知的に考察しようとすればするほど困難に突き当たり理解しがたいものなので、時間について考察したアウグスティヌスは「私はそれについて尋ねられない時、時間が何かを知っている。尋ねられる時、知らない」と述べた。
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