「位下」としての高麗王家とは? わかりやすく解説

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「位下(投下)」としての高麗王家

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 14:47 UTC 版)

投下 (モンゴル帝国)」の記事における「「位下(投下)」としての高麗王家」の解説

モンゴル帝国支配下高麗王国クビライ家の公主代々受け入れる「駙馬(キュレゲン)」として独自の王家存続許された、特殊な立ち位置王国であったことで知られている。このような高麗王国高麗王家あり方は、大元ウルスからは「投下領」と「投下領主」として捉えられていたことが近年の研究により明らかになっている。高麗王家クビライ家の公主要るだけでなく、王府開設し自身のケシクテイ(親衛隊)を整備するなど、他のモンゴル諸王と同じ形式整えていた。また、ケシクテイ(親衛隊)などモンゴル風の官職就いた者たちは高麗国内で「アイマク愛馬)の成衆」とも呼ばれており、高麗王家支配下人民投下一部みなされていたことを示唆するこのような高麗王家立ち位置について、『牧庵集』巻3所収の「高麗瀋王詩序」は以下のように表現している。 訳文:王は異姓であり皇族とは差達がある。しかし宗王が大国封じられたとしても、名目だけの封邑たてまつる等しい。なぜならばいまだかつて祖が子と宗廟別にしたことはないからである。人民天子が官更に統治させ、その政庁には監郡と府属を置くことができるが、みな要請して朝廷からこれ任命する。そうであれば刑罰執行軍事行動は、どうしてあえて律をこえようか。民は五家ごとに縫を課税することわずかに一斤とし、しかも指令下してほしいままにその地より徴発することを許さず、みなこれを天子府庫運び年末に頒給する。そのしくみもまた細密である。どういうわけか高麗王家はそうではない。宗廟の祭記があり、その祖先祀っている。百官配備され、その職を統べている。賞罰命令はその国で独自におこなわれ税収はすべて三韓境内占用され、天子府庫には入らない原文王異姓之手天宗有間也。然宗王難受封大国、同升虚邑。何也未嘗祖別子手廟。人民天子使吏治之、其府難得置監郡与府属、皆請而命諸朝。而刑人殺人。動兵、何敢越律。其民五家賦禄、為斤統一、猶不聴下令徴発其地、皆輸之天府歳終頒之。其網亦密。遇高麗氏則不然。有宗廟蒸嘗、以奉其先也。有百官布列、以率其職也。其刑賞号令専行其国、征賦則尽是三韓之境惟所用之、不入天府。 — 『牧庵集』巻3「高麗瀋王詩序」 「高麗瀋王詩序」は、「投下領にはカアン天子)が官吏派遣し諸王が置く監郡・代官(ダルガ)もカアン承認を得なければならない」、「投下領主司法軍事制限を受ける」、「投下領から得られる税収の内、五戸絲(アガル・タマル)が投下領主取り分となる」といった投下領の一般的なあり方高麗国異なると述べながら、一方で高麗国と他の投下領を同列見なすという認識示される実際にモンゴル支配下高麗では大元ウルスによって設置され万戸府(トゥメン)が独自に徴兵した民から高麗王家徴税することを拒むなど、高麗王権高麗国内に排他的な占有権有していたわけではなかったことが知られているが、これもカアン諸王権益複雑に交錯する他の投下領と類似する点である。 また、モンゴル時代遼東半島には多数高麗人移住し高麗人コロニー形成していたことが知られているが、このような高麗国外の高麗人」を高麗国王は大都まで向かうサウリジャムチ/駅伝一種)として大元ウルス承認の下微発していた。国外高麗人公的に徴発するというのは奇異にも思えるが、これも「高麗国外の高麗人」を「高麗王家投下」として徴発していたと捉えれば、他のモンゴル諸王投下領のあり方合致する。なお、高麗王家には14世紀以後「瀋王」という王号新たに与えられ、やがて「瀋王」と「高麗王」は政治的に対立するうになるが、「瀋王」は「瀋陽路に住まう高麗人」を投下領として与えられていたと考えられている。 ただし、このようにモンゴル投下領主としての形式有する一方で高麗王家が独自の統治体系を保持していたのも事実であり、安易に高麗王家投下領主同一視してならないという批判もある。見方変えれば、高麗王家は「投下領主としての形式整えることで独自の統治体系を保持し得たともいえ、森平雅彦このような高麗王国ありかたを「高麗王家もまたかかる国家構造(諸投下複合体としてのモンゴル帝国)の内部存立の場をもち、これを構成する一分権勢力として存在した」と評している。

※この「「位下(投下)」としての高麗王家」の解説は、「投下 (モンゴル帝国)」の解説の一部です。
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