「ヤンガーサン」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 22:50 UTC 版)
イギリス貴族の次男以下は「ヤンガーサン(younger son)」と通称される。爵位を継承できるのは長男だけなので、ヤンガーサンは兄が男子なく死んで爵位を継承するか、自身が新規に爵位を与えられない限り平民である。また財産面でもイギリス貴族は厳格な長子相続制をとっており、貴族の土地は相続時の契約で分割不可能であるため、ヤンガーサンに分け前はない。徹底した長子相続制は貴族の土地の細分化を防ぐ意味があった。 ヤンガーサンは名誉称号以外は一般の紳士とほぼ変わりない存在であるため、商工業の事業に従事するなどして生計を立てた。そのような立場のためにヤンガーサンは社交界においても貴婦人から避けられる存在で、結婚が難しかったという。それだけにヤンガーサンたちは身を立てようと勉学に励み、政治家、軍人、法律家、学者、植民地行政官などになる者も多く、18世紀から19世紀の大英帝国の繁栄を支えたといわれる。 公爵家と侯爵家のヤンガーサンは「卿(Lord)」の儀礼称号をファーストネームに対して使用できる(あくまで儀礼称号にすぎず、身分は平民である)。伯爵家のヤンガーサンと子爵・男爵の息子(長男含む)は「オナラブル(閣下)」の敬称で呼ばれる。また貴族の娘は、伯爵以上の貴族の娘が「嬢(Lady)」、子爵以下の貴族の娘が「オナラブル」の敬称で呼ばれる。
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