釜石鉱山鉄道 釜石鉱山鉄道の概要

釜石鉱山鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 16:09 UTC 版)

釜石鉱山鉄道
鉄の歴史館にある機関車
鉄の歴史館にある機関車
路線総延長16.0 km
軌間762 mm
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
釜石
国鉄山田線
0.0 釜石製鉄
2.4 小佐野
小佐野
? 松倉
松倉
6.9 大畑
9.0 洞泉
洞泉
11.6 大松
? 唄貝
陸中大橋
16.0 大橋
荷物運搬用索道
国鉄:釜石線

日本で3番目の鉄道として開業したものの僅か3年で廃止され、その後馬車鉄道として復活し、後に蒸気運転に切り替えられ、何度も経営母体が変わってその過程で旅客を扱うようになり、さらには並行して国有鉄道釜石線が開業してその旅客扱いが廃止されるなど、複雑な経緯をたどっている。

路線データ

1934年昭和9年)当時

起点の鈴子(釜石)より先の製鉄所内にも線路がはりめぐされ、さらに釜石港桟橋に向かう線路が敷設され、製品の出荷や石炭(北海道炭)、くず鉄雑貨など船荷の輸送に使用された。その総延長は57.0 km、分岐器数は520箇所、ダイヤモンドクロッシングは23箇所であった[1]

沿革

工部省釜石鉄道

  • 1880年明治13年)
    • 2月17日 工部省釜石鉄道として、釜石桟橋 - 大橋間18kmの本線と小佐野 - 小川山(わらびの)間4.9kmの支線、さらに工場への支線を含めた総延長26.3kmの鉱山専用鉄道試運転開始。
      ただし、この時点で本線はまだ終点の大橋には達しておらず、支線も全線竣工は1881年(明治14年)9月であった。
    • 9月7日 製鉄所・鉄道仮開業式(主賓の皇族が来釜しなかったため。式典自体は予定通り実施された)。
      新橋駅 - 横浜駅(現、桜木町駅)間鉄道、京都駅 - 神戸駅間鉄道に続く、日本で3番目に開業した鉄道である。軌間は838mm(2フィート9インチ)の特殊なものであったが、レールは16kg平底と丈夫なものを使用した。機関車は、英国シャープ・スチュアート社から輸入したサドルタンク式の3両を使用した。
  • 1882年(明治15年)
    • 3月1日 製鉄所燃料用の炭焼竈の大半が失火により焼失して製鉄所が休止。それに伴い、遊休施設となった釜石鉄道は一般開放され旅客運輸を開始[2]
    • 12月13日 大橋からの列車が雪のため停止ができずに唄貝に留置していた車両に衝突。死傷者を出す事故となった[3]
    • 12月 官営製鉄所の操業停止と鉱山閉山により、鉄道全廃。
      燃料となる木炭が不足したことと、代替燃料となるコークス使用の目処が立たなかったことが原因という。機関車2両と軌条は、大阪の阪堺鉄道(現、南海電気鉄道)へ売却された。このため、同鉄道も当初は838mm軌間となった。残りの1両はブレーキ故障による衝突事故のため運転台が大破していたため阪堺鉄道では引き取らず、のちに九州の三池港務所にわたり応急修理して使用された。

釜石鉱山馬車鉄道

  • 1884年(明治17年) 政府御用商人の田中長兵衛と、その娘婿であった横山久太郎が鉱山再興に着手。
  • 1887年(明治20年) この前年、日本国内初の高炉による連続出銑に成功したのを踏まえ、7月に釜石鉱山田中製鉄所が設立される。
  • 1894年(明治27年) 製鉄所と大橋の鉱山を結ぶ釜石鉱山馬車鉄道が、釜石町 - 甲子村間に軌間762mmで開業(5月23日特許11月28日開業許可)[4][5]

蒸気鉄道化以後

旅客列車運行概要

1920年12月末

  • 混合列車2往復、貨物列車4往復[9]

1922年2月改正当時

  • 運行本数:鈴子 - 大橋間2往復
  • 所要時間:55-58分

1941年11月15日改正当時

  • 運行本数:釜石製鉄 - 大橋間5往復半
  • 所要時間:55-61分

  1. ^ 清野正衛「釜石製鉄所における構内輸送」『鉄鋼界』昭和35年6月号、73頁
  2. ^ 「陸中国釜石大橋間鉱山用鉄道落成に付人民へ乗車を許す件」『官令全誌 : 傍訓字解. 第1号』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ 「釜石鉱山分局鉄道汽車衝突即死負傷人等ノ件」『 公文録・明治十五年・第百七十八巻・明治十五年十一月~十二月・工部省』(国立公文書館デジタルアーカイブ で画像閲覧可)
  4. ^ 「馬車鉄道布設特許」『官報』1894年6月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「馬車鉄道開業許可」『官報』1894年12月4日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1911年11月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ a b c d 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1911年11月13日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「鉄道運輸営業廃止」『官報』1944年11月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 鉄道及軌道類別表第2編」 アジア歴史資料センター Ref.C07060355000 78-79頁
  10. ^ No.45「同上駅名変更ノ件」『日鉄鉱業(元釜石鉱山)(三)・自昭和二年至昭和六年』356頁
  11. ^ 『時間表』昭和15年10月号(時刻表復刻版)
  12. ^ 「地方鉄道停留場設置」『官報』1922年4月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. ^ 「地方鉄道停車場設置」『官報』1920年7月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  14. ^ No.1「洞泉停車場位置並工事方法変更ノ件」『日鉄鉱業(元釜石鉱山)(三)・自昭和二年至昭和六年』
  15. ^ 「私設鉄道停車場使用開始」『官報』1912年1月13日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  16. ^ 馬場正夫「釜石製鉄所専用線を訪ねて」『鉄道ピクトリアル』No.170
  17. ^ 今尾 (2008) および鉄道省 (1937)
  18. ^ No.15「信号新設ノ件」『第一門・監督・三、地方鉄道・イ、免許・日鉄鉱業(元釜石鉄道)・昭和十六年~昭和十七年』


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