宮廷女官チャングムの誓い 宮廷女官チャングムの誓いの概要

宮廷女官チャングムの誓い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 18:26 UTC 版)

宮廷女官チャングムの誓い
ジャンル 歴史劇ドラマ[1]
企画 チョ・チュンヒョン
脚本 キム・ヨンヒョン
演出 イ・ビョンフン
出演者 イ・ヨンエ
チ・ジニ
イム・ホ
ホン・リナ
イム・ヒョンシク
ヤン・ミギョン
ハン・ジミン
パク・ウネ
製作
制作 MBC
放送
放送国・地域 韓国 日本 香港 中国 台湾  ベトナム タイ
放送期間2003年9月15日 - 2004年3月30日
放送時間毎週月・火曜日
回数54回+スペシャル2
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宮廷女官チャングムの誓い(大長今)
各種表記
ハングル 대장금
漢字 大長今
発音 テジャングム
英題 Dae Jang Geum
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ストーリー

朝鮮王朝第10代国王燕山君(ヨンサングン)の生母尹(ユン)氏毒殺に関与したとして誅殺された軍官(武官と訳されている。以下同じ)徐天壽(ソ・チョンス)と宮廷の混乱のなかで陰謀を知ってしまったために謀殺された宮女(女官と訳されている。以下同じ)朴明伊(パク・ミョンイ)との間に生まれた娘徐長今(ソ・ジャングム)が母の遺志(水剌間(スラッカン=王の御膳を作る厨房)の最高尚宮(チェゴサングン)になり、最高尚宮だけに伝えられる秘伝の書に母の無念をつづること)を叶えるため女官となるが、謀略により謀反に関与したという無実の罪を着せられ、奴婢(ぬひ、ノビ)の身分に落とされる。しかし医女となり宮廷に復帰、母の夢・最高尚宮を経て、ついには国王中宗の主治医になり、"大長今"(テジャングム)の称号を与えられるまでを描いたサクセスストーリーである。「悲しんではだめ、泣いてもだめ、簡単に諦めてもいけません」との母の教えを一生にわたって守り抜き、母の親友とは知らずにハン・ペギョンのもとで修業をし、尊敬・信頼関係で結ばれ、親友である李連生(イ・ヨンセン)との友情を育み、ライバルの崔今英(チェ・グミョン)との料理対決、閔政浩(ミン・ジョンホ)との恋愛を通し、数々の策謀に翻弄されつつも強く生き抜こうとするチャングムの姿を描きながら、華麗な朝鮮文化や宮廷料理の数々、当時の朝鮮の医術も紹介されている。ただ大きく見れば「勲旧派」としてのオ・ギョモ-チェ・ソングム-クミョン派 VS 「士林派」としてのミン・ジョンホ-ハン・ペギョン-チャングム派の壮絶な権力闘争ドラマとも言え、この権力闘争がある種の「魅力」ともなっている。

韓国での放送

当初は全50話で、水剌間時代は17 - 20話程度までの予定だったが、放送が始まると、連日50%を越える視聴率を獲得した。とりわけ、ハン尚宮(ハン・ペギョン)(韓白榮(한백영)・韓愛鐘(한애종))役のヤン・ミギョン(梁美京)に対する視聴者からの人気が予想以上に高まった。急遽、水剌間の時代を10話ほど延長し、話の展開が間に合わなくなり、全54話に延長された。

史実との違い

史実としては『朝鮮王朝実録』の『中宗実録(チュンジョンシルロク)』に大長今と呼ばれて重用され、王の主治医となった医女がいたことが書かれている。大長今に関する記述は中宗実録に10箇所あるが、王の主治医を務めたとされる記述は、中宗39年(1544年)10月の『予證女醫知之』(予の証は女医これを知る)という一行のみである。

放送大学教授対談で、高橋和夫の『宮廷女官チャングムの誓い』は「歴史にどの程度まで忠実なのでしょうか」という質問に対して、朝鮮史学者の吉田光男は、「結論から言いますとほぼ100%フィクション史実には基づいておりません」と回答している[2]

古田博司は、史実との違いを以下のように指摘している[3][4]

  1. 李氏朝鮮では、女子が宮中に出仕すると王様と疑似婚姻関係に入るので一生外に出ることができず、チャングム女史のように出たり入ったりはできない。
  2. 李氏朝鮮は中国日本江戸時代とは異なり、イノベーションに反対的であり,低レベルの実物経済で500年間も統治していた。1805年儒学者鄭東愈: 정동유)が著した『晝永編』には、「(我が国の拙きところ)なし、なし、なし」とある。実際、針は衣類に穴が開くくらいの粗雑なものでしかなく、中国から買っていた。車もそれ自体は西洋文化が流入するまでは当然普及していない。何故ならを曲げる技術がなく、李氏朝鮮にはもなく、液体を遠方に運ぶことすらできないほど停滞した時代であった。『宮廷女官チャングムの誓い』は色彩にあふれているが、ほんとうは顔料がないので民間に色はなく、上流階級だけは中国で交易する御用商人から色のある布を買っていた。中国でも日本江戸時代でも陶磁器に赤絵があるが、朝鮮には白磁しかなく、民衆の衣服が白なのも顔料が自給できないからである。柳宗悦がいう「朝鮮の白は悲哀の色」というのも、今では真っ赤なウソである[3][4]

本物の歪曲なら、実は朝鮮時代の宮廷料理師は男がメインだったし、女性は主に補助役だけをしたということだ。 これは男性シェフが圧倒的な現代も同様に、料理は多くの体力と力を要求する。

NHKの放送では中殿を「皇后」と訳していたが、宮脇淳子は、「皇后」とは「皇帝」の妃の称号であり、中国皇帝臣下である朝鮮国王の妃が「皇后」を名乗ることは歴史学的にあり得ない、と指摘している[5]。後述のノーカット字幕版が放送された際は「后」に訂正されていたが、一方で「皇太后」は変更がなかった。「言われたところだけ修正すればよい」という思想や,指摘事項をほかのことに活かせるかどうか検討すらしない姿勢が窺える。


  1. ^ 宮廷女官 チャングムの誓い (2003 - 2004)”. allcinema. 2017年10月14日閲覧。
  2. ^ 高橋和夫吉田光男西村成雄 (2009年12月). “「歴史の光に浮かび上がる 東アジアの過去・現在・未来」” (PDF). 放送大学通信 オン・エア (放送大学): p. 6. オリジナルの2013年5月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130515015048/http://www.ouj.ac.jp/hp/gaiyo/pdf/onair/onair96.pdf 
  3. ^ a b 古田博司 (2008年12月17日). “増殖する韓国の「自尊史観」”. 産経新聞. オリジナルの2013年3月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130311220937/http://www.sankei.co.jp/seiron/opi-sern/0812/1217opi-se1.html 
  4. ^ a b 八木秀次 (2009年7月). “李朝=インカ帝国説”. 正論 (産業経済新聞社): p. 44-45 
  5. ^ 宮脇淳子『韓流時代劇と朝鮮史の真実』扶桑社、2013年8月8日、107頁。ISBN 459406874X 
  6. ^ 第51話でカン・ドックの妻が、チャンドクの語る対処法を知っていれば疫病でふたりの息子を失わずに済んだと語っている。
  7. ^ 第46話のトックが書いた恋文で「チュヒャン」とあるが、これが本名かどうかも不明。秋香(チュヒャン)の元となった春香(チュニャン)は18世紀に朝鮮半島でパンソリの台本から生まれた物語『春香伝』により、理想の女性の代名詞で、妻を春香に見立ててラブレターを書いたというギャグ描写の可能性がある。イ・ビョンフン監督は2005年7月にNHKで放送された「チャングム大辞典」で「名前は付けなかった」と発言している。なお、韓国での呼び名、“羅州宅(ナジュテク)”は人物の名ではなく、羅州(ナジュ)から嫁いできた妻という意味。
  8. ^ 宮廷女官 チャングムの誓いDVD-BOX V バップ 2013.2.3 02:52 (UTC) 閲覧
  9. ^ 宮廷女官 チャングムの誓いDVD-BOX VI バップ 2013.2.3 02:52 (UTC) 閲覧
  10. ^ MBC 드라마 <대장금>, 일본 NHK 지상파 통해 방영(朝鮮語)(MBCニュースデスク、2005年10月8日)
  11. ^ FLASH EX35plus vol.1
  12. ^ “나는 대장금의 광팬이었다”...일본 고위 정치인 충격 고백 (朝鮮語) ヘラルド経済 2012.1.12付記事
  13. ^ “아베의 시대착오 용납 못한다” (朝鮮語) ハンギョレ 2006.9.13付記事
  14. ^ 日韓友好プロジェクト「熱韓」に、あのパチンコ登場 夕刊フジ 2009.7.1付記事
  15. ^ 何度でも見たい!「宮廷女官チャングムの誓い」をBSジャパンが1月7日より日本語字幕版で放送!冒頭20分無料視聴 navicon 2013.1.7付記事
  16. ^ a b 宮廷女官 チャングムの誓い 総集編 バップ屋 2013.1.27 05:43 (UTC) 閲覧
  17. ^ a b Ulara Nakagawa Korean Wave Ripple Effect (英語) ザ・ディプロマット 2010.10.26付記事
  18. ^ a b イ・ヨンエ 普段の姿は…「喜びが大きいほど苦しかった」 WOW!Korea 2008.9.24付記事
  19. ^ ヤングムは「チャングム」のペルシア語発音[18]
  20. ^ a b c d 『チャングムの誓い』、 新年から西欧・アフリカのお茶の間を占領 innolife.net 2008.1.22付記事
  21. ^ Lee Hyo-won Hallyu Reaches Other Side of the World (英語) コリア・タイムズ 2007.10.30付記事
  22. ^ チャングムの誓い | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
  23. ^ “菊川怜、「チャングムの誓い」で主演中 東京・日生劇場”. 朝日新聞. (2007年12月6日) 


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