京阪交野線 歴史

京阪交野線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 17:17 UTC 版)

歴史

生駒電気鉄道が生駒枚方電気鉄道として地方鉄道法に基づき1920年(大正9年)9月27日に免許を受けた枚方東口駅(現在の枚方市駅) - 生駒駅間を結ぶ鉄道計画が始まりで[5]、京阪電気鉄道や近鉄の前身大阪電気軌道が後援したものの、資金調達が進まず計画は停滞していた[5]。そこで現在の近鉄生駒線にあたる王寺駅 - 生駒駅間の鉄道を計画し、当時王寺駅 - 山下駅(現在の信貴山下駅)間と鋼索線を開業していた信貴生駒電気鉄道が、建設費の節減を図るとともに、王寺から枚方まで南北一貫すれば運輸上の利便も増して両社にとっても得策との判断から生駒電気鉄道を1924年(大正13年)7月6日に合併し[5]、その鉄道計画を継承した信貴生駒電鉄が枚方線として、1929年(昭和4年)7月10日に枚方東口駅 - 私市駅間を開業させた。

そのため当時の軌道条例で建設された京阪本線・宇治線とは異なり、既存の道路上を走る併用軌道区間を造る必要もないため[注釈 1][注釈 2]宮之阪駅 - 交野市駅間はほぼ一直線に建設された。また車両面でも、車両の小型化による運行経費削減を目的として京津線より車両(旧京津電気軌道16形)を借り受けたときは地方鉄道法に適合するよう車両を改造している(この車両は京阪900型を名乗っていた)。

開業時は全線単線で行き違いができる駅は村野と交野、その他の中間駅はすべて1面1線の無人駅であった。自前の変電所を持たず、京阪より電力の供給を受けていたり、運営を委託して車両も借り受けるなど京阪との結びつきは強かった。

1939年(昭和14年)3月1日に午後2時45分に大阪陸軍兵器支廠禁野倉庫第15番倉庫で弾体から信管を取り外し中に爆発。折からの強風にあおられ3時29分、砲弾・炸薬に引火誘爆、半径2kmに弾丸や破片が飛び散る大爆発で消火活動も行えない状態が3日間も続き、降り注いだ砲弾破片などで送電線・電車線・電気供給施設が破損。京阪線から電力供給を受けていた交野線も運行停止となった(京阪線は同月4日午後8時に運転再開するも、枚方駅の再開は同月6日までかかる[6]。交野線の運転再開日は不明)。同年5月に信貴生駒電鉄から交野電気鉄道として分離、終戦前の1945年(昭和20年)5月に京阪神急行電鉄に合併され、1949年(昭和24年)の京阪電気鉄道の分離に伴い同社の交野線となる。未開業の私市駅 - 生駒駅間は1942年(昭和17年)1月13日に免許が取り消された[7]

戦後、観光シーズンには京阪線との直通臨時列車として臨時急行「いわふね号」が設定されていた。1960年は5月8日から11月27日までの日曜と祝日に運転され、天満橋駅を午前8時54分と同9時35分に、私市発は午後4時16分に発車で運行していた。途中停車駅は京橋駅・枚方市駅であったが大和田駅で特急を待避するために、当時単線の交野線では村野駅・交野駅で通券の授受のために運転停車があった[8]

身体障害者対策として 1981年(昭和56年)に交野線のすべての駅のプラットホームに視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)が設置された[9]

年表

  • 1929年(昭和4年)7月10日 信貴生駒電鉄が枚方東口(現在の枚方市) - 私市間を開業。
  • 1930年(昭和5年)10月21日 河内森駅開業。
  • 1935年(昭和10年)12月2日 信貴電磐船駅開業。同日開業の片町線河内磐船駅との接続駅。
  • 1938年(昭和13年)11月1日 星ヶ丘駅開業。
  • 1939年(昭和14年)
  • 1940年(昭和15年)9月11日 中宮駅(現在の宮之阪駅)開業。
  • 1945年(昭和20年)
    • 5月1日 京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)が交野電気鉄道を合併。交電磐船駅を京阪神磐船駅に改称。
    • 9月15日 中宮駅、星ヶ丘駅、郡津駅、河内森駅休止。
  • 1946年(昭和21年)2月15日 中宮駅、星ヶ丘駅、郡津駅営業再開。
  • 1948年(昭和23年)5月1日 河内森駅営業再開。交野 - 河内森間の京阪神磐船駅廃止。
  • 1949年(昭和24年)
    • 10月1日 枚方東口駅を枚方市駅に改称。
    • 12月1日 京阪神急行電鉄から京阪電気鉄道が分離。
  • 1959年(昭和34年)12月30日 3両編成運転開始[11]
  • 1960年(昭和35年)2月23日 交野変電所(水銀整流器1000kW)が新設される[12]
  • 1961年(昭和36年)
  • 1968年(昭和43年)
    • 7月16日 ATS使用開始。
    • 12月1日 4両編成運転開始[14]
  • 1971年(昭和46年)
    • 6月6日 中宮信号所 - 村野間複線化。中宮信号所開設。
    • 6月20日 中宮駅を宮之阪駅に改称。
  • 1972年(昭和47年)4月2日 村野 - 交野間複線化。
  • 1974年(昭和49年)
    • 3月3日 宮之阪駅高架化。
    • 12月1日 宮之阪駅付近複線化。中宮信号所廃止。
  • 1975年(昭和50年)8月7日 集中豪雨よる土砂崩れ・冠水により私市駅-交野市駅間が不通(翌朝復旧)[15]
  • 1977年(昭和52年)11月1日 交野駅を交野市駅に改称。
  • 1981年(昭和56年)7月5日 2600系のさらなる増備により、交野線で初めて冷房車の運転を開始[16]
  • 1983年(昭和58年)12月4日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
  • 1987年(昭和62年)5月28日 交野市 - 森信号所間複線化。交野市 - 河内森間(河内森のやや交野市寄り)に森信号所開設。
  • 1991年(平成3年)6月1日 枚方市 - 宮之阪間単線で高架化[17]
  • 1992年(平成4年)
    • 9月12日 森信号所 - 私市間複線化[18]。森信号所廃止。
    • 11月28日 枚方市 - 宮之阪間複線高架化完成[19]。交野線の全線複線化が完成[19]
  • 1996年(平成8年)1月8日 5両編成運転を開始[20]
  • 2003年(平成15年)9月8日 定期列車としては初の京阪本線直通列車としてK特急「おりひめ」、準急「ひこぼし」運転開始。
  • 2004年(平成16年)8月1日 PiTaPa導入。
  • 2007年(平成19年)9月22日 ワンマン運転開始。
  • 2008年(平成20年)10月19日 中之島線開業に伴うダイヤ改正によりK特急「おりひめ」を通勤快急へ、準急「ひこぼし」を快速急行へそれぞれ列車種別を変更。中之島線との直通運転を開始。
  • 2012年(平成24年)4月19日 線内の各駅において早朝・深夜を中心に駅係員が無配置となる時間帯が設けられる。
  • 2013年(平成25年)3月16日 ダイヤ変更に伴い、通勤快急「おりひめ」・快速急行「ひこぼし」が前日限りで廃止され、京阪本線・中之島線直通列車が全廃。また、すべての定期列車が4両編成での運転となる。
  • 2018年(平成30年)8月25日 枚方市駅 - 私市駅間でK-ATSを使用開始[21]

注釈

  1. ^ 軌道条例や後身の軌道法では原則として道路上に軌道を敷設することが意図されている。
  2. ^ 『車両発達史シリーズ1 京阪電気鉄道』によると開業時京阪線の3分の1が併用軌道、宇治線も観月橋の側に110mの併用軌道区間が存在した。

出典

  1. ^ a b 鉄道ピクトリアル 臨時増刊号 京阪電気鉄道 2009年 08月号
  2. ^ 淀駅付近立体交差化事業の進捗に伴い3月16日(土)初発から京阪線のダイヤを一部変更します (PDF) - 京阪電気鉄道ニュースリリース、2013年1月17日
  3. ^ 「京阪13000系,交野線で営業運転開始」交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2012年6月10日
  4. ^ 清水祥史『京阪電車』 JTBパブリッシング、2017年、110、111頁
  5. ^ a b c 近畿日本鉄道『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.350
  6. ^ 出典・京阪電気鉄道開業100周年記念誌『京阪百年のあゆみ』(2011年3月24日刊)171頁「枚方陸軍火薬庫の爆発」
  7. ^ 「鉄道免許取消」『官報』1942年1月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 出典・『関西の鉄道』No.58 「京阪電気鉄道 特集 PartV」京阪線開業100周年、p.52
  9. ^ 出典・駅置き広報誌「くらしの中の京阪」1981年8月号より
  10. ^ 鉄道省監督局「地方鉄道、軌道事業の現況並に異動」『電気協会雑誌』第210号、日本電気協会、1939年6月、附録3頁。(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 出典・『関西の鉄道』別冊第1巻「京阪電気鉄道 戦後分離独立後の歩みPartⅠ」41頁より
  12. ^ 出典・京阪電気鉄道開業100周年記念誌『京阪百年のあゆみ』292頁「変電所の増強」より
  13. ^ 出典・「京阪電車開業100周年記念誌『京阪百年のあゆみ』(2011年3月24日京阪電鉄発行)」資料編の222頁の「年表」より
  14. ^ 出典・『関西の鉄道』別冊第1巻「京阪電気鉄道 戦後分離独立後の歩みPartⅠ」51頁より
  15. ^ 出典・「京阪電車開業100周年記念誌『京阪百年のあゆみ』(2011年3月24日京阪電鉄発行)」資料編の238頁の「年表」より
  16. ^ 出典・電気車研究会刊『鉄道ピクトリアル』No.427 1984年1月臨時増刊(特集:京阪電気鉄道)号68頁左下に掲載のモノクロ写真より。出典・日付は「京阪電車開業80周年記念誌『過去が咲いている今』(1990年7月1日京阪電鉄発行)」の年表より
  17. ^ “京阪電鉄がダイヤ改正 来月1日 交野線高架切替えで”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1991年5月24日) 
  18. ^ “交野線河内森 - 私市間の複線化 今日から使用開始 京阪電鉄”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年9月12日) 
  19. ^ a b “きょうから全線複線化 京阪電鉄交野線 枚方市 - 宮之阪間完成”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年11月28日) 
  20. ^ 「交野線を5両化」『交通新聞』交通新聞社、1995年12月12日、3面。
  21. ^ 出典・駅置き沿線情報誌『K PRESS』2018年9月号16面「くらしのなかの京阪」
  22. ^ 私市駅「おりひめ」「ひこぼし」の出逢い Archived 2009年6月27日, at the Wayback Machine. - 京阪公式サイト 2009年
  23. ^ 京阪線、大津線で七夕ムードを盛り上げます! (PDF) - 京阪公式サイト、2011年6月22日。
  24. ^ “関西鉄道各社、外国人受け入れ体制強化”. 京都新聞. (2014年4月5日). オリジナルの2014年4月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140413130328/http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140405000025 2023年11月12日閲覧。 
  25. ^ 出典・『K PRESS』2021年8月号16頁「くらしのなかの京阪」
  26. ^ 京阪、20駅を無人化 今期黒字目指し構造改革日刊工業新聞 2021年4月7日
  27. ^ 宮之阪駅など






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