かいとう‐けい〔カイタウ‐〕【解糖系】
解糖系
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/11 16:13 UTC 版)
解糖系(英: Glycolysis)とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、グルコースに含まれる高い結合エネルギーを生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされている。嫌気状態(けんきじょうたい、無酸素状態のこと)でも起こりうる代謝系の代表的なものである一方で、得られる還元力やピルビン酸が電子伝達系やクエン酸回路に受け渡されることで好気呼吸の一部としても機能する。
- ^ 渡邉 誠也,牧野 圭祐 (2007). “微生物の糖代謝経路に見られる新規な進化学的関係”. 生化学 79: 11.
- ^ a b c H. Robert Horton 他 著『ホートン生化学(第3版)』鈴木紘一・笠井献一・宗川吉汪 監訳、東京化学同人、2003年9月、p.253-262、ISBN 4-8079-0575-9
- ^ a b c d e f g h David L. Nelson, Michael M. Cox 共著 『レーニンジャーの新生化学[上]‐第4版‐』 山科郁男 監修、川嵜敏祐ほか 編、廣川書店、2006年10月、p.742-761、ISBN 978-4-567-24402-2
- ^ John E. McMurry, Tadhg P. Begley 共著 『マクマリー 生化学反応機構 ‐ケミカルバイオロジー理解のために‐』 長野哲雄 監訳、東京化学同人、2007年9月、p.160、ISBN 978-4-8079-0648-2
- ^ ピルビン酸キナーゼの作用により、まずエノール型のピルビン酸が生成されるが、細胞内では速やかにケト型に異性化される。
- ^ クエン酸回路(TCA回路) 講義資料
- ^ 八田秀雄「新たな乳酸の見方」『学術の動向』、Vol. 11 (2006) No. 10. doi:10.5363/tits.11.10_47
- ^ 南都伸介監修『閉塞性動脈硬化症(PAD)診療の実践』南江堂、2009年。p4。[1]
- ^ Peter Richard (October 2003). “The rhythm of yeast”. FEMS Microbiology Reviews 27 (4): 547-557. doi:10.1016/S0168-6445(03)00065-2 2012年5月18日閲覧。.
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:41 UTC 版)
好気性細菌時代には備えていたと考えられる解糖系は、宿主である細胞が備えているために失われている。解糖は細胞側で行なわれる。
※この「解糖系」の解説は、「電子伝達系」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「電子伝達系」の記事については、「電子伝達系」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 05:24 UTC 版)
「ホスホエノールピルビン酸」の記事における「解糖系」の解説
PEPは、2-ホスホグリセリン酸にエノラーゼが作用することにより生成する。ピルビン酸キナーゼによるPEPからピルビン酸への代謝では、基質レベルのリン酸化により1モルのATPを生成する。ATPは細胞中での主要なエネルギー通貨となる。ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸に変化する反応は不可逆反応である。このため、ピルビン酸から解糖系の逆反応で直接糖新生を行うことはできない。 2-ホスホグリセリン酸 ⟵ → {\displaystyle {\overrightarrow {\longleftarrow }}} ホスホエノールピルビン酸 → ピルビン酸
※この「解糖系」の解説は、「ホスホエノールピルビン酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「ホスホエノールピルビン酸」の記事については、「ホスホエノールピルビン酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/25 06:35 UTC 版)
「1,3-ビスホスホグリセリン酸」の記事における「解糖系」の解説
グリセルアルデヒド-3-リン酸 ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {<=>}}} 1,3-ビスホスホグリセリン酸 ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {<=>}}} 3-ホスホグリセリン酸 前述したように、1,3-BPGは解糖系の中間体である。グリセルアルデヒド-3-リン酸のアルデヒド基の酸化によって生成する。これによりアルデヒド基はカルボン酸になり、強いアシル-リン酸基結合が生成する。これは解糖系でNAD+をNADHに変化させる唯一の反応である。1,3-BPGの生成を触媒する酵素は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼである。 1,3-BPGの持つ高エネルギーのアシル-リン酸基結合はATPの生成を助け、呼吸で重要な役割を果たす。次の反応によるATP分子は、呼吸の反応で最初に生成される物質である。 1,3-ビスホスホグリセリン酸 + ADP ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {+ ADP <=>}}} 3-ホスホグリセリン酸 + ATP 1,3-BPGからATPに無機リン酸を転移してATPを生成する反応は、ΔGが小さいために可逆反応である。これはアシル-リン酸基結合の1つが切られると同時に別の1つが生成するためである。この反応は自然には起こらず、触媒を必要とする。この触媒は、ホスホグリセリン酸キナーゼによって行われる。ホスホグリセリン酸キナーゼは、ヘキソキナーゼと同様に、反応中に基質によるコンフォメーションの変化が起こる。 解糖系で1分子のグルコースから2分子の1,3-BPGが生成するため、1,3-BPGは解糖系全体で10分子生成されるATPのうち、2分子を作り出している。解糖系では初期の不可逆反応で2分子のATPを消費する。このため解糖系は不可逆過程で、正味2分子のATPと2分子のNADHが生成する。2分子のNADHは約3分子のATPを生成しうる。
※この「解糖系」の解説は、「1,3-ビスホスホグリセリン酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「1,3-ビスホスホグリセリン酸」の記事については、「1,3-ビスホスホグリセリン酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:46 UTC 版)
L-乳酸は解糖系の生成物のひとつである。急激な運動を行うと筋肉の細胞内でエネルギー源として糖が分解されピルビン酸を経て乳酸が蓄積する。
※この「解糖系」の解説は、「乳酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「乳酸」の記事については、「乳酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:46 UTC 版)
解糖系では、ピルビン酸キナーゼは2段階の反応を触媒する。まず、PEPはADPへリン酸基を転移し、ATPとピルビン酸のエノラートが形成される。続いて、ピルビン酸のエノラートにプロトンが付加され、細胞が必要とする機能的なピルビン酸が形成される。ピルビン酸キナーゼの基質は単純な糖リン酸、そして反応産物はATPであるため、ピルビン酸キナーゼは解糖サイクルの進化の基礎となった酵素である可能性があり、地球上の全ての生命でみられる最も古い酵素の1つである可能性がある。ホスホエノールピルビン酸は非生物的過程によって存在していた可能性があり、また原始的なトリオース解糖系経路において高収率で産生されることが示されている。 酵母細胞では、酵母ピルビン酸キナーゼ(YPK)とPEPやアロステリックエフェクターであるFBPとの相互作用は、Mg2+の存在下で強化されることが示されている。そのため、Mg2+はピルビン酸キナーゼによるPEPからピルビン酸への触媒の重要な補因子であると結論付けられる。さらに、Mn2+はYPKに対して同様かつより強い効果を持つことが示されている。ピルビン酸キナーゼの金属結合部位への金属イオンの結合は、この反応を加速させる。 ピルビン酸キナーゼによって触媒される反応は、解糖系の最終段階である。この反応はこの経路の3つの律速段階のうちの1つである。律速段階はある経路の中でより遅く、そして調節を受ける段階であり、そのためこの段階によってその経路全体の速度が決定される。解糖系の律速段階はATPの加水分解またはADPのリン酸化のいずれかと共役しており、そのためこの経路はエネルギー的に有利かつ細胞内で本質的に不可逆なものとなっている。ピルビン酸は他の代謝経路の重要な中間体となるビルディングブロックでもあるため、この最終段階は高度な調節を受け、かつ不可逆なものとなっている。産生されたピルビン酸は、好気条件下でさらなるATP産生のためにTCA回路に入るか、または嫌気条件下で乳酸またはエタノールへ変換される。
※この「解糖系」の解説は、「ピルビン酸キナーゼ」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「ピルビン酸キナーゼ」の記事については、「ピルビン酸キナーゼ」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/04/01 06:06 UTC 版)
6炭素からなるグルコース分子は3炭素のピルビン酸分子2つに分解され、2分子のATPと2分子のNADHを生産する。
※この「解糖系」の解説は、「炭水化物異化」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「炭水化物異化」の記事については、「炭水化物異化」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/06/21 15:12 UTC 版)
「フルクトース-6-リン酸」の記事における「解糖系」の解説
F6Pは解糖系に登場し、グルコース-6-リン酸の異性化によって作られる。これは後にフルクトース-1,6-ビスリン酸に変換される。
※この「解糖系」の解説は、「フルクトース-6-リン酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「フルクトース-6-リン酸」の記事については、「フルクトース-6-リン酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/16 19:17 UTC 版)
「ジヒドロキシアセトンリン酸」の記事における「解糖系」の解説
ジヒドロキシアセトンリン酸は、グリセルアルデヒド-3-リン酸とともに、解糖系でフルクトース-1,6-ビスリン酸が分解されて生成する2つの化合物のうちの1つである。グリセルアルデヒド-3-リン酸とは、素早く、可逆的に異性化反応を起こす。 フルクトース-1,6-ビスリン酸 ⇄ グリセルアルデヒド-3-リン酸 + ジヒドロキシアセトンリン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 ⇄ グリセルアルデヒド-3-リン酸
※この「解糖系」の解説は、「ジヒドロキシアセトンリン酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「ジヒドロキシアセトンリン酸」の記事については、「ジヒドロキシアセトンリン酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/18 15:48 UTC 版)
「フルクトース-1,6-ビスリン酸」の記事における「解糖系」の解説
フルクトース-1,6-ビスリン酸は解糖系の中に登場し、フルクトース-6-リン酸のリン酸化により生成する。続いてこの分子は、グリセルアルデヒド-3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸に分解される。またこの分子はピルビン酸キナーゼのアロステリック活性化因子である。
※この「解糖系」の解説は、「フルクトース-1,6-ビスリン酸」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「フルクトース-1,6-ビスリン酸」の記事については、「フルクトース-1,6-ビスリン酸」の概要を参照ください。
解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/19 01:09 UTC 版)
「グルコースリン酸イソメラーゼ」の記事における「解糖系」の解説
解糖系の1つめのステップではグルコースのリン酸化がおこる。 2つめのステップでは、グルコース-6-リン酸イソメラーゼによりグルコース-6-リン酸がフルクトース-6-リン酸に変換される。この反応もMg2+を必要とする。この反応は自由エネルギー変化が小さいためどちらの方向にも進みうるが、フルクトース-6-リン酸は次のステップでどんどん不可逆的に消費されているので逆反応はおこりづらい。 グルコース 6-リン酸のαアノマー、つまりα-D-グルコピラノース-6-リン酸にグルコース-6-リン酸イソメラーゼは優先的に結合して環を開けた後、アルドースからケトースへと転換する。 詳細は「解糖系」を参照
※この「解糖系」の解説は、「グルコースリン酸イソメラーゼ」の解説の一部です。
「解糖系」を含む「グルコースリン酸イソメラーゼ」の記事については、「グルコースリン酸イソメラーゼ」の概要を参照ください。
- 解糖系のページへのリンク