解糖系とは? わかりやすく解説

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かいとう‐けい〔カイタウ‐〕【解糖系】

読み方:かいとうけい

生物体内にある糖の代謝経路グルコースピルビン酸や乳酸などに分解し細胞エネルギー源となるATP産生する段階化学反応で、細胞質進行する

[補説] 酸素がある好気的条件下では、解糖系で生成されピルビン酸ミトコンドリア運ばれクエン酸回路に入る。酸素がない嫌気的条件下では、ピルビン酸が乳酸にまで分解される嫌気的解糖によって生成された乳酸は肝臓送られグルコース変換される激し運動によって嫌気的解糖亢進し、筋肉中に乳酸が過剰に蓄積すると、pH低下し疲労やこりを引き起こす


解糖系

英訳・(英)同義/類義語:glycolytic pathway, glycolysis

細胞内で、糖、特にグルコース分解機構の総称
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化学反応や酵素反応生体経路など:  親水基  解毒作用  解糖  解糖系  触媒  触媒作用  負のフィードバック

解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/11 16:13 UTC 版)

解糖系: Glycolysis)とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、グルコースに含まれる高い結合エネルギーを生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされている。嫌気状態(けんきじょうたい、無酸素状態のこと)でも起こりうる代謝系の代表的なものである一方で、得られる還元力やピルビン酸が電子伝達系クエン酸回路に受け渡されることで好気呼吸の一部としても機能する。


  1. ^ 渡邉 誠也,牧野 圭祐 (2007). “微生物の糖代謝経路に見られる新規な進化学的関係”. 生化学 79: 11. 
  2. ^ a b c H. Robert Horton 他 著『ホートン生化学(第3版)』鈴木紘一・笠井献一・宗川吉汪 監訳、東京化学同人、2003年9月、p.253-262、ISBN 4-8079-0575-9
  3. ^ a b c d e f g h David L. Nelson, Michael M. Cox 共著 『レーニンジャーの新生化学[上]‐第4版‐』 山科郁男 監修、川嵜敏祐ほか 編、廣川書店、2006年10月、p.742-761、ISBN 978-4-567-24402-2
  4. ^ John E. McMurry, Tadhg P. Begley 共著 『マクマリー 生化学反応機構 ‐ケミカルバイオロジー理解のために‐』 長野哲雄 監訳、東京化学同人、2007年9月、p.160、ISBN 978-4-8079-0648-2
  5. ^ ピルビン酸キナーゼの作用により、まずエノール型のピルビン酸が生成されるが、細胞内では速やかにケト型に異性化される。
  6. ^ クエン酸回路(TCA回路) 講義資料
  7. ^ 八田秀雄「新たな乳酸の見方」『学術の動向』、Vol. 11 (2006) No. 10. doi:10.5363/tits.11.10_47
  8. ^ 南都伸介監修『閉塞性動脈硬化症(PAD)診療の実践』南江堂、2009年。p4。[1]
  9. ^ Peter Richard (October 2003). “The rhythm of yeast”. FEMS Microbiology Reviews 27 (4): 547-557. doi:10.1016/S0168-6445(03)00065-2. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1016/S0168-6445(03)00065-2/abstract 2012年5月18日閲覧。. 


「解糖系」の続きの解説一覧

解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:41 UTC 版)

電子伝達系」の記事における「解糖系」の解説

好気性細菌時代には備えていたと考えられる解糖系は、宿主である細胞備えているために失われている。解糖細胞側で行なわれる

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 05:24 UTC 版)

ホスホエノールピルビン酸」の記事における「解糖系」の解説

PEPは、2-ホスホグリセリン酸にエノラーゼ作用することにより生成するピルビン酸キナーゼによるPEPからピルビン酸への代謝では、基質レベルのリン酸化により1モルATP生成するATP細胞中での主要なエネルギー通貨となる。ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸変化する反応不可逆反応である。このためピルビン酸から解糖系の逆反応直接糖新生を行うことはできない。 2-ホスホグリセリン酸 ⟵ → {\displaystyle {\overrightarrow {\longleftarrow }}} ホスホエノールピルビン酸ピルビン酸

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/25 06:35 UTC 版)

「1,3-ビスホスホグリセリン酸」の記事における「解糖系」の解説

グリセルアルデヒド-3-リン酸 ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {<=>}}} 1,3-ビスホスホグリセリン酸 ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {<=>}}} 3-ホスホグリセリン酸 前述したように、1,3-BPGは解糖系の中間体である。グリセルアルデヒド-3-リン酸アルデヒド基酸化によって生成する。これによりアルデヒド基カルボン酸になり、強いアシル-リン酸結合生成する。これは解糖系でNAD+NADH変化させる唯一の反応である。1,3-BPGの生成触媒する酵素は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼである。 1,3-BPGの持つ高エネルギーアシル-リン酸結合ATP生成助け呼吸重要な役割を果たす次の反応によるATP分子は、呼吸反応最初に生成される物質である。 1,3-ビスホスホグリセリン酸 + ADP ↽ − − ⇀ {\displaystyle {\ce {+ ADP <=>}}} 3-ホスホグリセリン酸 + ATP 1,3-BPGからATP無機リン酸転移してATP生成する反応は、ΔGが小さいために可逆反応である。これはアシル-リン酸結合1つ切られる同時に別の1つ生成するためである。この反応自然に起こらず触媒を必要とする。この触媒は、ホスホグリセリン酸キナーゼによって行われるホスホグリセリン酸キナーゼは、ヘキソキナーゼ同様に反応中に基質によるコンフォメーション変化が起こる。 解糖系で1分子グルコースから2分子の1,3-BPGが生成するため、1,3-BPGは解糖系全体10分子生成されるATPのうち、2分子作り出している。解糖系では初期不可逆反応で2分子ATP消費するこのため解糖系は不可逆過程で、正味2分子ATPと2分子NADH生成する。2分子NADHは約3分子ATP生成しうる。

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:46 UTC 版)

「乳酸」の記事における「解糖系」の解説

L-乳酸は解糖系の生成物のひとつである。急激な運動を行うと筋肉細胞内エネルギー源として糖が分解されピルビン酸経て乳酸が蓄積する

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:46 UTC 版)

ピルビン酸キナーゼ」の記事における「解糖系」の解説

解糖系では、ピルビン酸キナーゼ2段階の反応触媒する。まず、PEPADPリン酸基転移しATPピルビン酸エノラート形成される続いてピルビン酸エノラートプロトン付加され細胞が必要とする機能的なピルビン酸形成されるピルビン酸キナーゼ基質単純な糖リン酸、そして反応産物ATPであるため、ピルビン酸キナーゼ解糖サイクル進化基礎となった酵素である可能性があり、地球上全ての生命みられる最も古い酵素1つである可能性がある。ホスホエノールピルビン酸非生物過程によって存在していた可能性があり、また原始的なトリオース解糖系経路において高収率産生されることが示されている。 酵母細胞では、酵母ピルビン酸キナーゼ(YPK)とPEPアロステリックエフェクターであるFBPとの相互作用は、Mg2+の存在下で強化されることが示されている。そのため、Mg2+はピルビン酸キナーゼによるPEPからピルビン酸への触媒重要な補因子であると結論付けられる。さらに、Mn2+はYPKに対して同様かつより強い効果を持つことが示されている。ピルビン酸キナーゼ金属結合部位への金属イオン結合は、この反応加速させるピルビン酸キナーゼによって触媒される反応は、解糖系の最終段階である。この反応はこの経路3つの律速段階のうちの1つである。律速段階はある経路の中でより遅く、そして調節を受ける段階であり、そのためこの段階によってその経路全体速度決定される。解糖系の律速段階ATP加水分解またはADPリン酸化いずれか共役しており、そのためこの経路エネルギー的に有利かつ細胞内本質的に不可逆なものとなっている。ピルビン酸は他の代謝経路重要な中間体となるビルディングブロックでもあるため、この最終段階は高度な調節を受け、かつ不可逆なものとなっている。産生されピルビン酸は、好気条件下でさらなるATP産生のためにTCA回路に入るか、または嫌気条件下で乳酸またはエタノール変換される

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/04/01 06:06 UTC 版)

炭水化物異化」の記事における「解糖系」の解説

6炭素からなるグルコース分子は3炭素ピルビン酸分子2つ分解され、2分子ATPと2分子NADH生産する

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/06/21 15:12 UTC 版)

フルクトース-6-リン酸」の記事における「解糖系」の解説

F6Pは解糖系に登場しグルコース-6-リン酸異性化によって作られる。これは後にフルクトース-1,6-ビスリン酸変換される

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/16 19:17 UTC 版)

ジヒドロキシアセトンリン酸」の記事における「解糖系」の解説

ジヒドロキシアセトンリン酸は、グリセルアルデヒド-3-リン酸とともに、解糖系でフルクトース-1,6-ビスリン酸分解され生成する2つ化合物のうちの1つである。グリセルアルデヒド-3-リン酸とは、素早く可逆的に異性化反応起こすフルクトース-1,6-ビスリン酸 ⇄ グリセルアルデヒド-3-リン酸 + ジヒドロキシアセトンリン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 ⇄ グリセルアルデヒド-3-リン酸

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/18 15:48 UTC 版)

フルクトース-1,6-ビスリン酸」の記事における「解糖系」の解説

フルクトース-1,6-ビスリン酸は解糖系の中に登場しフルクトース-6-リン酸リン酸化により生成する続いてこの分子は、グリセルアルデヒド-3-リン酸ジヒドロキシアセトンリン酸分解される。またこの分子はピルビン酸キナーゼアロステリック活性化因子である。

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解糖系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/19 01:09 UTC 版)

グルコースリン酸イソメラーゼ」の記事における「解糖系」の解説

解糖系の1つめのステップではグルコースリン酸化がおこる。 2つめのステップでは、グルコース-6-リン酸イソメラーゼによりグルコース-6-リン酸フルクトース-6-リン酸変換される。この反応もMg2+を必要とする。この反応自由エネルギー変化小さいためどちらの方向にも進みうるが、フルクトース-6-リン酸次のステップでどんどん不可逆的消費されているので逆反応はおこりづらい。 グルコース 6-リン酸のαアノマー、つまりα-D-グルコピラノース-6-リン酸グルコース-6-リン酸イソメラーゼ優先的に結合して環を開けた後、アルドースからケトースへと転換する詳細は「解糖系」を参照

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