色つき水晶とは? わかりやすく解説

色つき水晶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:58 UTC 版)

石英」の記事における「色つき水晶」の解説

水晶不純物混じり色のついたものを色つき水晶という。色つき水晶は準貴石として扱われる水晶発色原因は、主に不純物混入放射線による結晶格子欠陥よるもので、主要構成元素よるものではない。紫水晶黄水晶煙水晶黒水晶発色原因はいずれも、不純物欠陥電子(または正孔)が捕獲され特定のエネルギー準位をもつもの(色中心、カラーセンターという)で、紫水晶黄水晶鉄イオン煙水晶黒水晶はアルミニウムイオンが関連している。 紫水晶amethystアメシスト紫水晶むらさきすいしょう)は紫色に色づいた水晶紫色発色は、ケイ素置換した微量鉄イオン放射線を受けると電子飛ばされ電荷移動酸素原子鉄イオンとの間で起こり、三価の鉄イオンが四価の鉄イオンになり、これが形成した色中心(カラーセンター)が光のスペクトル黄色吸収するために、その補色である紫色通過する様になるのが原因とされる最近の研究ではアルミニウム関係しているとの説がある。尖っていて、細長く装飾品使われる場合研磨される場合が多い。加熱するレモン色黄色に変わりやすいが、稀にブラジル産の物で緑色になるものがありプラシオライトの名で呼ばれている。紫外線曝露する退色する(そのため、直射日光の当たる窓際に置くと次第に色が褪せてくる)。英語名 amethystギリシア語の amethustos(酔わせない)から派生したアメシストを持つと酔いを防ぐはたらきがあると信じられていたことによる黄水晶citrineシトリンもしくはcitrine quartz、シトリンクォーツ) 黄水晶(きすいしょう)は黄色に色づいた水晶黄色発色は、紫水晶450500加熱される鉄イオン安定しようとして電子取り込む電荷移動酸素原子鉄イオンとの間で起こり、四価から三価の鉄イオンになりこれにより色中心(カラーセンター)のエネルギー準位変化して紫色相当する光エネルギー吸収しやすくなって、光があたったときにその補色である黄色通過する様になるのが原因とされる天然黄水晶産出少なく市場出回っている黄水晶のほとんどは紫水晶熱処理して黄色にしたものである。このような人工的に加熱処理された黄水晶の色は、オレンジがかった鮮やかな黄色をしており、天然黄水晶は、やや茶色がかった地味な黄色くすんだ色合いの物や淡い色合いの物が多い。時には煙水晶加熱して出来るものもあるようで、これは加熱によってアルミニウムイオンの働き見えていた茶色系の色は消えてしまうが、同時に鉄イオン含まれていた場合黄色に色づいて見えるようになるようである。中にはやや緑がかった淡い黄色に変色するものもある。またウラル産のシトリン中にはアルミニウムリチウム含んだ無色水晶コバルト60γ線をあてて黄色くしたものがあるといわれている。これはγ線をあてることで、水晶内に色中心(カラーセンター)が形成されるのだという。マディラシトリンと称される深いオレンジ色相彩るシトリンは、さらに希産。また天然鮮やかな黄色(カナリーイエロー)のカナリーシトリンと呼ばれるシトリンごく稀にしか見られない黄水晶の薄い黄色トパーズに似るため、シトリン・トパーズとも言われ安価なトパーズ代用品として使われるまた、トパーズ偽って売られる場合もある。トパーズと共に11月の誕生石でもあり、石言葉は「社交性人間関係自信生きる意欲」など。 またこの鉄イオンによる色中心(カラーセンター)が原因ではなくヘマタイトゲーサイト微細な角閃石等が水晶中に入り込むことによって黄色く見え水晶もある。これらはシトリンとは発色原因異なるためシトリンとは呼べず、区別するため(yellow quartz、イエロークォーツ)とでも呼ぶべきものであろう紅水晶rose quartzローズクォーツ紅水晶(べにすいしょう)は薄いピンク色に色づいた水晶ローズクォーツピンク色は光に敏感退色しやすい。この色は、不純物として混入している微量チタンマンガン由来するとされる近年X線元素分析では、この色は光学顕微鏡観察可能なレベルのデュモルチエライトの繊維によるという結果出ている。しかしながら、デュモルチエライトは単独結晶としては滅多に産出しないもので、従って呈色リン酸塩アルミニウムによると考え意見もある。また、ローズクォーツ内部微細な金紅石ルチル)の針状結晶インクルージョンとして持つ場合があり、スター効果を示すものもある。産出のそのほとんどが塊状紅石英であるが、稀に六角柱状の自形結晶紅水晶産出することがあり、その産地世界でも数ヶ所でしか確認されていない完全結晶化したものが少ないのは、四価のチタンイオンがケイ素部分的に置換したことで、イオン半径大きなチタンイオンが妨害して完全な結晶形成することができないものと考えられている。また四価のチタンイオンは、青~緑色の光を吸収するため補色は薄い紅色になり、チタンの量が増えるほど赤み増していくが結晶は更に不完全となる。 煙水晶smoky quartzスモーキークォーツ煙水晶(けむりすいしょう)は茶色黒っぽい煙がかったような灰色に色づいた水晶発色する原因ははっきりとは分かっていないものの、ケイ素置換した微量のアルミニウムイオンが特に多量放射線を受けると三価のアルミニウムイオンが四価のアルミニウムイオンになり色中心(カラーセンター)となり、広範囲波長の光を吸収するため灰色見えるとされている。長期間にわたる放射線の影響で、受けた放射線の量が多いほど光の吸収部が増えていくことで淡灰色灰色黒色と色が濃くなる放射線照射をして色を付ける場合が多い。かつてはトパーズ一種考えられ、スモーキー・トパーズという名称で呼ばれていたこともある。 黒水晶morion、モーリオンないしはモリオン黒水晶(くろすいしょう)は不透明と言えるほどこげ茶から黒に色づいた水晶。色の濃い煙水晶との区別は、結晶構造破壊されたもの、表面透明感のないものなどと言われることもあるが、黒水晶と色が濃くなった煙水晶区別する明確な定義は存在しないアメシスト放射線照射をして色を付ける場合が多い。カンゴームという名で呼ばれることもある。 レモン水レモン水晶(レモンすいしょう)は硫黄により黄色に色づいた水晶結晶の間に硫黄入ったために黄色レモンイエロー)に色づいて見える。 緑水晶 緑水晶(みどりすいしょう)は微細な角閃石緑泥石フクサイトクロム白雲母)等が水晶中に含まれ全体緑色呈色して見え水晶稀にアメシスト加熱する緑色になるものがあり、プラシオライト(グリーンアメシスト)の名で呼ばれるが、地熱によって加熱され天然緑色のものも希に産出する。この天然のプラシオライトは、アメリカカリフォルニア州ネバダ州境界付近ブラジルパラー州マラバポーランドドルヌィ・シロンスク県カナダオンタリオ州サンダーベイ地区などで産出する緑色発色は、三価の鉄イオンの他に相当量二価鉄イオン含んでいた場合に、三価の鉄イオンによる補色黄色発色と、二価鉄イオン黄色の光を吸収し補色青色になるため、その黄色青色混ざって緑色発色するといわれている。 青水晶 青水晶(あおすいしょう)はインディゴライトやアエリナイト、クロシドライトデュモルチェライト等が水晶中に入り込むことによって青く見え水晶赤水晶 赤水晶(あかすいしょう)はヘマタイトゲーサイトレピドクロサイト等の酸化鉄鉱物水晶中に入り込むことによって赤く見え水晶鉄水晶(てつすいしょう)ともいう。また同じようゲーサイトレピドクロサイト繊細な針状結晶水晶内に満遍なく含み全体オレンジ色や赤ピンク色赤色に色づいているものはストロベリークォーツ(水晶 いちごずいしょう)という呼び名流通している。 リチウムクォーツ リチウムクォーツは、リチウム水晶中に包まれて、紫色紫色っぽい半透明ピンク(セピアピンク)に見え水晶。セピアクォーツとも呼ばれる。 ミルキークォーツ ミルキークォーツは結晶形成中に気体液体、またはその両方微細な流体包有物が、あるいは針状結晶ルチル水晶中に閉じ込められ白濁し見え水晶。その他、アルミニウム等の影響によるともいわれている。乳石英にゅうせきえい)、乳白水晶(にゅうはくすいしょう)、スノークォーツなどとも呼ばれマダガスカル産のものはジラソルという名で呼ばれている。 また色つき水晶には、水晶表面他の鉱物コーティングされていることによるものもあり、鉄分マグネシウム等の薄い膜が表面コーティングすることによって黄色く見えているもので、特にリモナイト等が付着してより鮮やかな黄色金色になっているものはゴールデンヒーラー との呼び名流通している。これ以外にも表面ヘマタイト等が付着して鮮やかなオレンジ色になっているものはタンジェリーナクォーツ(タンジェリンクォーツ)と呼ばれており、インドマニカラン産の水晶には、土壌含まれる赤褐色をした酸化鉄影響によりその鉄分表面付着してピンク色になっているピンククォーツと呼ばれているものもある。 紫水晶アメシスト)の群晶 紫水晶アメシスト)の群晶 ステップカットされた紫水晶アメシスト宝石として研磨した紫水晶アメシスト黄水晶シトリン原石 カットされ黄水晶シトリン紅水晶ローズクォーツ煙水晶スモーキークォーツ緑水晶原石) ミルキークオーツ

※この「色つき水晶」の解説は、「石英」の解説の一部です。
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