注射剤
注射薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 16:45 UTC 版)
前述のように世代による分類は十分に薬物の特性を反映していない。例えばセフタジジム(CAZ、商品名モダシン)はグラム陰性桿菌である緑膿菌に対して非常に効果的でありグラム陽性菌にはほとんど効かないという第三世代に特徴的な特性を持つが、同じく第三世代に分類されるセフトリアキソン(CTRX、商品名ロセフィン)は緑膿菌には効果がなくグラム陽性菌に非常によく効き、市中肺炎の第一選択となる。このように世代分類のみに頼ると抗菌薬選択のミスを犯す可能性がある。しかしセファロスポリンは種類が多すぎるためある程度の分類が必要である、そのため臨床現場ではセファロスポリン全体の適応疾患を考え、次のような使い分けをすることが多い。 黄色ブドウ球菌、レンサ球菌に用いるセファロスポリン 黄色ブドウ球菌、レンサ球菌に用いるセファロスポリンとしてはセファゾリン(CEZ、商品名セファメジンα)が知られている。蜂窩織炎、丹毒といった軟部組織感染症や術前の創部感染予防に用いることが多い。日本には黄色ブドウ球菌に効果があるペニシリンが販売されていないため、黄色ブドウ球菌に対して切り札である。重症時は一日6gの大量投与を行う。髄液移行性が悪いため、黄色ブドウ球菌による髄膜炎には適応がない。 市中肺炎や尿路感染症に用いるセファロスポリン 市中肺炎や淋菌など尿路感染症に用いるセファロスポリンとしてはセフォチアム(CTM、商品名パンスポリン)やセフトリアキソン(CTRX、商品名ロセフィン)、セフォタキシム(CTX、商品名セフォタックス)、また経口剤ではセフロキシム(CXM-AX、商品名オラセフ)がある。セフトリアキソン(CTRX、商品名ロセフィン)は一日一回投与で血中濃度を維持でき、また肝臓代謝であるので腎機能に関係なく使用することができるので貴重な薬である。なお淋菌による尿道炎の場合はクラミジア感染が合併することが多いのでマクロライド系であるアジスロマイシン(AZM、商品名ジスロマック)を併用した方が良いとされている。 腸内細菌、嫌気性菌に用いるセファロスポリン 腸内細菌、嫌気性菌に用いるセファロスポリンとしてはセファマイシンといわれる物質があげられる。セフメタゾール(CMZ、商品名セフメタゾン)やセフブペラゾン(CBPZ、商品名トミポラン)である。これらの抗菌薬はβラクタマーゼに極めて安定だがグラム陽性菌にはほとんど効かないと言われている(適応はある)。なお全てのセファロスポリンに言えることだが、腸球菌や髄膜炎で有名なリステリアには全く効果がない。 緑膿菌に用いるセファロスポリン 緑膿菌に効果が高いものとしてはセフェピム(CFPM、商品名マキシピーム)やセフタジジム(CAZ、商品名モダシン)があげられる。セフェピムの方がグラム陽性菌への抗菌力もあり、髄液移行性がよく髄膜炎にも適応があるという点で優れている。緑膿菌を最も警戒する状況は好中球減少時の発熱や院内感染の重症例である。このような場合、想定する起因菌は黄色ブドウ球菌、皮膚ブドウ球菌、緑膿菌などだが、グラム陰性桿菌の方が敗血症をおこすので致命的となるのでまずはセフェピムやセフタジジムを用いることが多い。セフタジジムではブドウ球菌をカバーできないが、こちらをカバーするのは緑膿菌が否定できてからでも遅くはない。
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注射薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/09 00:47 UTC 版)
急性冠症候群の治療でよく使われるものである。ニトログリセリンとしてはミオコール、硝酸イソソルビドとしてはニトロール、ニコランジルとしてはシグマートがよく用いられる。これらは血圧によって使い分けられることが多い。ミオコールは1バイアルに50mg/100ml含まれている。維持量が0.5~2.0μg/Kg/minであるために体重50Kgならば3ml/hrで開始すると0.5γとなる。その後増量は頭痛が起こらない限りいくらでも行うことができる。この特性から収縮期血圧が180mmHg程度ある場合は降圧をかねて行うことが多い。そこまでの高血圧が認められない場合はニトロールを用いる。ニトロールは0.05%と0.1%の製剤が知られている。原液で0.05%ならば6~8ml/hrで0.1%ならば3~4ml/hrで開始することが多い(1~1.3γに相当)。この4倍量程度まで増量は可能である。血圧が低めの場合、ニコランジルを用いる。シグマートの注射薬は1アンプルで12mg含まれているので4アンプルを5%ブドウ糖で48mlとし点滴する。2~6mL/hrで投与することが多い。他の硝酸薬と一部作用機序が異なり、降圧効果が極めて乏しいことから他の硝酸薬と併用することも多い。血圧の低下が低心拍出量によるものである場合はカテコラミン併用で硝酸薬を用いる場合もある。
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注射薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 18:18 UTC 版)
生物学的製剤は中等症から重症までの乾癬の中心的な治療薬となりつつあり、それまでの治療よりも有効性が高く臓器障害が少ないということが理由として挙げられる。乾癬に対する生物学的製剤として、ヒトTNFα、IL-12/23 p40、IL-17A、IL-17受容体A、IL-23 p19に対するモノクローナル抗体製剤が認可されている。 日本では皮膚科学会に所属する皮膚科医は、皮膚科学会のガイドラインにより、限られた生物学的製剤承認施設以外では生物学的製剤を使用出来ない。2021年2月24日現在の承認施設は655施設。偏在が著しく秋田県、佐賀県には、それぞれ1ヶ所のみである。尚、同じ病院でもリウマチ・膠原病科医・整形外科医など皮膚科学会に属さない医師は、皮膚科学会の承認施設であるか否かに関わらず使用出来る。 2010年1月、日本において、抗TNF-α抗体であるインフリキシマブ(レミケード)とアダリムマブ(ヒュミラ)が乾癬の保険適応に追加されたのを皮切りに、以下の薬剤が認可されている。乾癬では、TNF-αによる刺激によって、皮膚のターンオーバーが亢進しており、TNFαを標的としてを阻害することで症状を鎮静化させる。ウステキヌマブでは、サイトカインのIL-12(インターロイキン-12)とIL-23(インターロイキン-23)の働きを弱めることで、症状を改善する。 2010年 インフリキシマブ(商品名レミケード)キメラ型抗TNFα モノクローナル抗体 2010年 アダリムマブ(商品名ヒュミラ)完全ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体 2011年 ウステキヌマブ(商品名ステラーラ)完全ヒト型抗IL-12/23p40モノクローナル抗体 2014年 セクキヌマブ(商品名コセンティクス) 完全ヒト型抗IL-17Aモノクローナル抗体 2016年 イキセキズマブ(英語版)(商品名トルツ)抗IL-17A 2016年 ブロダルマブ(英語版)(商品名ルミセフ) 抗IL-17受容体A 2018年 グセルクマブ(商品名トレムフィア)IL-23 p19 2019年 セルトリズマブ ペゴル(商品名シムジア)PEG化ヒト化TNFα阻害Fab断片(抗TNFα抗体のFc部分が無い、Fab部分のみの製剤) 他の治療で十分に治療できない場合に考慮され、費用は年間約200万円近く、高額療養の制度が適応されることは多い。 生物学的製剤の使い分けは、一般的に症例の(1)病型、(2)通院頻度、(3)治療効果、(4)心血管系のリスクの有無、(5)経済性、(6)体重、(7)年齢、 などの事項について、個々の特性を理解し薬剤を選択する。 また感染症への抵抗力がなくなる副作用が生じることがあり、感染症に注意し、感染症を発症した際にはその治療が優先される。
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注射薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 08:52 UTC 版)
2019年現在、日本で認可された注射薬としてはメルスモンとラエンネックがある。原料のヒトの胎盤から製造され微黄色透明である。 適応症はそれぞれ以下である。 メルスモン MELSMON - 更年期障害、乳汁分泌障害 ラエンネック LAENNEC - 慢性肝疾患における肝機能の改善 メルスモンの原料には、臍帯及び羊膜は含まれず、ラエンネックには含まれている。メルスモンとラエンネックは、原料としてヒトの胎盤が使用され共に提携先の日本の病院から感染症がないと判断された母体の胎盤が提供され原料として使用されている。
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