外丹とは? わかりやすく解説

外丹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:32 UTC 版)

道教」の記事における「外丹」の解説

神仙への憧れ様々な伝説を生み、『列仙伝』や『神仙伝』といった仙人伝承生まれた仙人になるための修行理論方法葛洪の『抱朴子』に整理されている。葛洪は、人は学んで仙人になることができると主張し、そのための方法として行気(呼吸法)や導引、守一(身体の「一」を守り育てること)などを挙げる葛洪が特に重視するのは「還丹」(硫化水素からなる鉱物熟して作ったもの)と「金液」(金を液状したもの)の服用である。このように金石草木調合して不老不死の薬物を錬成することを「外丹」(練丹術金丹)と呼ぶ。葛洪は、神仙になる方法知りながらも経済的理由必要な金属鉱物入手できないため実践至らないとも述べている。 実際には、水銀化合物を含む丹薬毒薬であり、唐代には丹薬服用による中毒死に至った皇帝何人も出た煉丹術研究丹砂や鉛といった鉱物対す科学的知識多く蓄積し唐代道士煉丹過程事故起こしたことがきっかけとなって火薬の発明至ったまた、道士中毒死を防ぐために医学について研究したため、漢方医学発展促し煉丹術成果医学吸収され外科薬物として用いられている。 宋代以後は、金丹といった「外物」(自己の身体の外にある物質)の力を借りるではなく修練によって自己の体内に丹を作り出すという「内丹」の法が盛んになることとなり、外丹は下火になった

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外丹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 02:26 UTC 版)

錬丹術」の記事における「外丹」の解説

外丹術金石草木服用する「服食」と呼ばれる古代神仙方術のひとつの発展形である。『神農本草経』は中国最古医薬とされる本来の目的仙薬求めることにあった初期草木中心仙薬であったが、次第鉱物から人工的に合成したものを不老不死丹薬として重視するようになり「外丹術」が発展していった。煉丹主な方法には、原料鉱物を釜の中で加熱する「火法」と鉱物水溶液懸濁液にする「法」とがある。典型的な金丹製造法は「丹砂」(硫化水銀)、「汞」(水銀)、「鉛」などの薬物調合して鼎炉にて火にかけて焼煉するものである煉丹術ないしその萌芽漢代登場し、『抱朴子』(zh)を著した西晋東晋葛洪らによって金丹道として確立し、他の神仙方術とともにいつしか道教一部みなされるようになった卑金属貴金属変える力を持つ不老不死霊薬エリクサー賢者の石)」の製造などを目的とする西洋錬金術とは共通する部分も多いが、西洋錬金術どちらかというと金を作ることを主目的としていたのに対し煉丹術は昇仙と不老不死主目的とする点が異なる。 『抱朴子内篇の「金丹篇」は、黄金火中にて何度錬り鍛えて消えず土中にても腐食することなく、その不朽をもって人を不老不死にすることができると述べている(黃金入火 百煉不消 埋之 畢天不朽 服此二物人身體 故能令人不老不死)。通常の金は「生金」と呼ばれ有毒とされた。煉丹術作られる金は「金」と称される黄色合金で、鉛の化合物とも合金とも言われる卑金属から金銀のような合金)を製する技術は「黄白術」と称される。『抱朴子内篇の「黄白篇」に説かれているものがそれである。金(または金)を液体化した「金液」は金丹並び称され仙薬である。金を溶かすには水銀アマルガム参照)か、もしくは青酸を含む覆盆子トックリイチゴ)の未成熟果実用いられたと考えられている。 辰砂から作られ服用して不死求めるという発想生まれた背景には、辰砂鮮やかな赤褐色を示すため、その色が血液につながるという思想があったものと思われる葛洪は『抱朴子』「金丹篇」で、丹砂加熱する硫化水銀還元され水銀生じ水銀硫黄反応させるとまた丹砂還るという循環的過程永遠性見出し、これを不老不死と結びつけている。なお、水銀丹砂還る葛洪述べているのは、丹砂似た色を呈する酸化水銀(II)への変化とも言われる酸化水銀(II)は、水銀空気中で沸点近くまで熱することにより得られ、これをさらに高い温度まで加熱する水銀酸素分解する古人にはこの過程が、丹砂水銀へ、水銀丹砂へと何度でも変化し元に戻るかのように観察されたと考えられる後漢の人とも三国呉の人とも言われる伯陽中国語版)の『周易参同契』は、汞(水銀)と鉛の配合煉丹基本とした。この外丹書は易理を用い陰陽五行複合的シンボリズムに基づくさまざまな隠語煉丹材料過程表現している。「鉛汞」といえば煉丹術代名詞となり、鉛汞を表す青龍白虎といった術語は後の内丹術引き継がれた。『周易参同契』は五代北宋の頃から内丹道の古典みなされるようになり、内丹観点から解釈した注釈書いくつも作られた。幸田露伴エッセイ「仙書参同契」も、同書内丹の書とする注釈書沿った理解立脚しており、現代の研究者が本来の外丹書として論じようになったのは比較近年のことである。 金丹には水銀化合物砒素化合物含まれ、強い毒性があったと考えられる煉丹家たちはそれを火毒と呼んで恐れた煉丹術流行により水銀水銀化合物服用して逆に命を縮める人が後を絶たなかった。少なくとも6人の唐の皇帝水銀中毒死亡したことが清代趙翼の著『二十二史箚記』巻19新旧唐書 唐諸帝多餌丹薬述べられている。不老不死望んでいた秦の始皇帝もそれによって死期早めたという説もある。こうしたこともあってか、宋代には鉱物性丹薬作る外丹術衰退し唐代より次第重んじられるようになった内丹術主流となった明代には人の排泄物経血より不老長生製する人元の丹法が外丹の一種として流行した

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