ドラマに関するエピソード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 06:07 UTC 版)
「下北サンデーズ」の記事における「ドラマに関するエピソード」の解説
テレビドラマ化が正式に決定したのは、石田が原作の最終回を執筆している最中。 下北沢を舞台にした小劇場界をテーマにしているだけあって、実際に下北沢に縁のある実在の演劇人や劇団員が多数出演しており、本多劇場グループ代表の本多一夫も出演している。なお原作では架空の劇場名が付されていたが、ドラマ化の際には全て実際の劇場名に改められた。 下北サンデーズのキャストで劇団出身者は座長役の佐々木蔵之介のみであり、その佐々木にしても関西の劇団惑星ピスタチオ出身で下北沢には縁がない(江本亜希子役の山口紗弥加も舞台経験は豊富だが、自身が特定の劇団に所属した事はない)。 合言葉は、「梅ヶ丘、豪徳寺、土曜の次はサンデーズ!」 第3話で「2.2ちゃんねる」という電子掲示板が登場し、「地味な下北サンデーズのキュートな黒子ちゃんを応援するスレッド3」が出てくる。更に第6話で同スレッドは10まで進んでおり、第7話では「【黒子ちゃん改め】里中ゆいかを実況するスレッド」に移行。この盛り上がりが作中の「ぴっちりブルマコンテスト」でゆいかが準優勝する原動力となったと思われる。 作中の炎劇戦線トラッシュ・ガービッジは実在の演劇ユニットTRASHMASTERSが元ネタ。このユニットは中津留章仁が主宰するlast creators productionを母体としており、TRASHMASTERSから中津留章仁・ひわだこういち・カゴシマジロー・吹上タツヒロの4人が出演した。またマーキー役の龍坐もlast creators production所属。残る小林一英は劇団動物電気所属で、粕谷吉洋はフリー。クレジットは以上の6人だが、第2話の紹介場面には7人、その後も7-8人で演じている場合が多い。 作中の劇団犬☆魂は実在の劇団猫☆魂(西永貴文主宰)が元ネタで、猫☆魂から西永貴文・井澤崇行・秋枝直樹・佐々木光弘の4人が出演した。他はたくませいこが吉本興業所属、及川水生来は劇団動物電気所属で、中島徹は劇団メタリック農家所属。クレジットは以上の7人だが、第2話の紹介場面にはなんと10人おり、その後も5-8人と人数が大きく変動していた。 劇団稽古指導の入月美樹は劇団月歌舎の座長で、第8話で看護婦役を演じている(第8話のみ劇団稽古指導のクレジットなし)。また妹で漫画家の入月裕美子がサンデーズのマスコット「サンデ軍曹」をデザインし、第7話に登場した男性スタンドイン(オカマの設定)が弟の入月謙一である。更に第1話でラーメン屋(眠眠亭)にポスター張りをお願いに来た劇団ロリコン伯爵(これも実在の劇団ロリータ男爵が元ネタ)の二人は月歌舎公演のレギュラー出演者である久保田寛子(劇団IQ5000所属、第7話にも女性スタンドインとして出演)と伊藤大輔で、第2・3話で千葉大の講師役を演じた小野塚老も月歌舎公演の常連、第7話の女性スタンドインとして月歌舎メンバー松原亜希も出演している。 ゆいかが最初にサンデーズの公演を見た時に貰ったパンフレットに付いていたチラシは、実在の劇団を元にした物となっていた。既出の炎劇戦線トラッシュ・ガービッジや犬☆魂以外に、Cotton100%(ナイロン100℃)、拙者テリーヌ(拙者ムニエル)、SETAGAYASEN☆RS(SHINKANSEN☆RS:劇団☆新感線の別名)、植物電気(動物電気)、猫のビジネスホテル(猫のホテル)がある。拙者ムニエル以外の劇団から最低一人は出演しているのが確認されている。 借金による夜逃げで駅前公演をキャンセルし、下北サンデーズの駅前進出を可能にした劇団脱皮族は実在の劇団毛皮族が元ネタ。もちろん夜逃げの経験はなく、ドラマ放送期間中は「劇場すごろく」の頂点である本多劇場で公演していた。 Off Offシアターを始め劇場内の場面は新宿区高田馬場のホールなど別の場所で撮られているが、これは撮影期間中の劇場スケジュールが全く空いていなかった事による(テレビ朝日広報部)。そのため、ゆいか役の上戸彩が番宣で出演した『堂本剛の正直しんどい』で「ザ・スズナリ」の内部に入り、「初めて入った」と述べている(その際にジャージ姿になり、舞台上で堂本剛と寸劇を行った)。 サウナで「入れ墨禁止!」の紙を持っていた従業員は、落語家立川志の吉(現:立川晴の輔)が演じており、第五話では落語指導を務めている(蛭子能収演じる建設会社社長が過去に落語家を目指したエピソード)。 オフィスフォルテッシモは、堤幸彦が取締役を務め本ドラマの制作会社でもあるオフィスクレッシェンドが元ネタ。作中でオフィスフォルテッシモ内部の光景が出てくるがオフィスクレッシェンドである(ドラマで写った外観は違うらしい)。 監督の堤幸彦は自身のブログで多忙であったことを告白しており、演出を第3・4話で丸毛典子、第7・8話で木村ひさしに委ねている。また全話の脚本を担当した河原雅彦も自身の劇団の地方公演と重なっており、第3・4・7・8話で三浦有為子、第5話で中都留章仁、第6話で西永貴文との連名になっている(3人とも第9話は脚本スタッフ)。そのため純粋に堤幸彦・河原雅彦コンビでは第1・2・9話のみとなり、各話での趣向や出来上がりに差が出たとの批評が出ている。 たびたび物語の舞台となった格安居酒屋「山菜系居酒屋ちくわ木産」は、実在する海産物居酒屋さくら水産が元ネタ。ドラマに出てくる店舗は実在していない。東京を中心とした居酒屋チェーンであるため全国的には知られていないが、安さでは同業他社に比べ頭抜けている存在として知られる。もちろん演劇人にも馴染みの店である。 ゆいかを始め、サンデーズの女優陣が住んでいる「あーばんはうす」は下北沢に実在するアパート。実際には居住する人はおらず、作中ではそれなりに写っているが、かなり悲惨な状態であったらしい。第4話の部屋を改造する場面は、所有者の許可を得て実際の建物を改造している。 ゆいかの学友として登場する三谷幸三と野田秀夫は、三谷幸喜と野田秀樹が元ネタで、小劇場出身という共通点を持つ。三谷幸三役の眼鏡太郎はKERAことケラリーノ・サンドロヴィッチが主宰するナイロン100℃所属。野田秀夫役の辻修は正岡泰志が主宰する肉体派劇団動物電気所属。こちらも共に下北沢に縁のある生粋の小劇場俳優である。 ゆいかのバイト先のラーメン屋「眠眠亭」は下北沢の名店「珉亭」が元ネタ。THE BLUE HEARTSのボーカル甲本ヒロトがバイトしていた事でも知られる有名店である(店長達のバンド名はそれをもじってザ・イエローハーツ)。店のメニューは全てTHE BLUE HEARTSかTHE HIGH-LOWSの曲名をもじっている。また最終回に登場した新メニューはザ・クロマニヨンズ(THE CRO-MAGNONS)に由来している。作中でザ・イエローハーツが歌っていた曲(地下鉄-地下鉄?)はTHE BLUE HEARTSにとって最初のヒット曲となった『TRAIN-TRAIN』が元ネタ。ザ・クロマニヨンズのメンバーが判明したのはドラマ放映中の7月であるため、第9話の新メニューはそれ以後に考案されたと思われ、1話短縮の中で生き残ったのは堤のネタやギャグに対する執着の強さを物語っている。 高部あい演じる田所双葉は実在の女優、田所二葉がモデルである。堤幸彦作品にたびたび出演しており、第5話で「ぴっちりブルマーコンテスト」のアシスタント役で出演している。 最終回に里中富美男一座が「踊りながらレインボーブリッジを封鎖」したのは、里中富美男役の北村総一朗が湾岸署の神田署長役で出演した『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』にちなんだネタ。ドラマ『踊る大捜査線』シリーズの最初期からのレギュラーであり、スリーアミーゴスのリーダー北村ならではのネタと言える。 第1話の千葉大入学説明会でサンデーズのメンバーが演壇をノコギリで切断する話は原作にはなく、脚本を担当した河原雅彦自身の実体験が基になっている(その時は切断までは至らず、端を切っただけだった)。 ストーリーに絡む「劇場すごろく」には、下北沢に存在する第五の劇場である「劇」小劇場(1997年開場)が登場しない。これは1クールのドラマ化という制約にも関係すると思われるが、「劇場すごろく」自体が1990年代前半には演劇人の間で既に認知されていたことに由来する。また、実際にはすごろくの各マスが下北沢の劇場に限定される事なく、ゴールは本多劇場ではなく紀伊国屋ホールと認識している人も多かった。 この作品は下北沢駅の地下化およびその工事前(当時も工期中ではあった)の様子が残されているある意味貴重な作品でもある。 第2話でゆいかが「劇団員らしくなろう」と決意して古着屋で自ら前髪をバッサリと切る場面があるが、15センチも切ってしまったため上戸彩は「予定以上に切りすぎちゃってヤバイって思いました。」と苦笑いした。新しい髪型は堤幸彦とヘアカタログを見ながら決めたというが、上戸彩は「気分が変わるので、ヘアチェンジは大好きです。でもこんな“変形型”に挑戦するのは初めて。役柄以外のときは外を歩くのが恥ずかしい」と照れ笑いを浮かべていた。
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