タイタン
名称:タイタン(タイタンI、タイタンII、タイタンIII、タイタンIIIA、タイタンIIIC、タイタンIV)/Titan(TitanI, TitanII, TitanIII, TitanIIIA, TitanIIC, TitanIV)
打ち上げ国名・機関:アメリカ空軍(USAF)/アメリカ航空宇宙局(NASA)
運用機関・会社:アメリカ空軍(USAF)/マーティン社(ロケット・エンジンはエアロジェット社)
運用開始年:1951年(I型、1段実験)/1962年(II型)
タイタン・ロケットは、アトラス・ロケットと同じく、アメリカとソ連が核兵器の配備をたがいに進めていた1950年代の末、長距離に核爆弾を運ぶためのミサイル−大陸間弾道弾(ICBM)として使うために、空軍によって開発がはじめられました。タイタンI型は、ミサイルとは別に、スペースシャトルの原型となったダイナソア計画に使われる予定でしたが、重量が予定をこえそうなため、タイタンIIIC型に変更、さらにはダイナソア計画そのものが中止されてしまいました。ミサイルとしても使われたタイタンII型は2段式で、ジェミニ計画に使用されました。
140基以上も作られたタイタンIIミサイルは、1987年に核戦争にそなえた配備をとかれ、一部は改造を加えられた上で、1988年から、衛星の打上げに再利用されています。
タイタンIII型には、2段式のII型に専用の第3段(トランステージ)をとりつけたIIIA、IIIB型、さらに推力増加用の固体ロケットを第1段のまわりにつけたC型、C型からトランステージをのぞいたIIID型、第3段にセントール・ロケットを使ったIIIE型、スペースシャトル・チャレンジャーの事故ののち、空軍が大型衛星の打ち上げ用に開発したIV型など、たくさんのバリエーションがあり、アメリカでの大型の衛星や探査機の打ち上げには欠かせない存在となっています。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
タイタンIIIC(1965年6月〜1982年3月)。3段式。全重量610t、推力10,801t(固体ロケット596t×2、1段239t、2段46t、3段7.2t)。全長34.75m(1段22.28m、2段7.90m、3段4.75m)、本体直径3.05m。
タイタンIII4D(1982年9月〜1992年9月、商用タイタンIIIの名で民間利用を予定)。全重量706t。3段式(固体式3段または2段で使用)。推力1150t(固体ロケット635t×2、1段246t、2段46t、3段19t)。全長41.48m(1段24m、2段86m、3段33m)、本体直径305m。打ち上げ能力、14.5t(185km低軌道)、5t(静止トランスファ軌道)。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
III4D型の場合、1段と固体ロケットに点火、固体ロケットは114秒間の噴射ののち、1段ロケットは250秒の噴射ののち分離、2段ロケットは230秒間、3段は、タイプによってことなりますが、2分あるいは2分間噴射して、先端に積んだ衛星や探査機を低軌道や静止トランスファ軌道、地球脱出軌道にのせます。
3.どんなものを打ち上げたの?
ジェミニ宇宙船(II型)、太陽探査機ヘリオス、バイキング、ボイジャー(III型)など多数。多くは空軍の大型偵察衛星(スパイ衛星)。
4.どのくらい成功しているの?
1999年12月末現在で193機が打ち上げられ、173回成功しています。成功率は90%です
5.この他に、同じシリーズでどんな機種があるの?
タイタンI、タイタンII、タイタンIII、タイタンIIIA、タイタンIIIC、タイタンIVがあります。
タイタン (ロケット)
(タイタンIII から転送)
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タイタン (Titan) は、アメリカ合衆国の大陸間弾道ミサイル (ICBM)、および人工衛星打ち上げロケットである。ICBMとして退役後も衛星打ち上げ用として改良が続けられ、アメリカ空軍の軍事衛星や、大型衛星の打ち上げ用として1959年から2005年まで運用された。計368機が打ち上げられ、その中には1960年代半ばのジェミニ有人宇宙船の打ち上げも含まれる。タイタンは1980年代末のアメリカの大陸間弾道ミサイルの削減まで一翼を担うだけでなく、軍用の衛星と同様に民間の衛星の打ち上げにも使用された。タイタンは同様に高い成功率で火星・木星・土星・天王星・海王星への探査機を打ち上げた。
- ^ David K. Stumpf. Titan II: A History of a Cold War Missile Program. University of Arkansas Press, 2000. ISBN 1-55728-601-9 (cloth). Pages 63-67.
- ^ Ray, Justin (2003年10月18日). “U.S. weather satellite finally escapes grasp of hard luck”. spaceflightnow.com. 2009年10月18日閲覧。
- ^ Paul O. Larson. "Titan III Inertial Guidance System," page 4.
- ^ A.C. Liang and D.L. Kleinbub. "Navigation of the Titan IIIC space launch vehicle using the Carousel VB IMU." AIAA Guidance and Control Conference, Key Biscayne, FL, 20–22 August 1973. AIAA Paper No. 73-905.
- ^ 「死者53人に 米ミサイル基地の爆発」『日本経済新聞』昭和40年8月11日.15面
- ^ “Escape Route Blocked in Silo Disaster”. Associated Press. Ellensburg Daily Record. (1965年8月13日). p. 1. オリジナルの2013年4月15日時点におけるアーカイブ。 2009年10月18日閲覧。
- ^ “1 killed, 6 injured when fuel line breaks at Kansas Titan missile site”. United Press International. St. Petersburg Times. (1978年8月25日). p. 4 2009年10月18日閲覧。
- ^ “Thunderhead Of Lethal Vapor Kills Airman At Missile Silo”. Associated Press. The Ledger. (1978年8月25日). p. 7 2009年10月18日閲覧。
- ^ "Light on the Road to Damascus" Time magazine, September 29, 1980. Retrieved 2006-09-12
- 1 タイタン (ロケット)とは
- 2 タイタン (ロケット)の概要
- 3 タイタン IV
- 4 ロケットの燃料
- 5 タイタンの現在の状態
- 6 外部リンク
タイタンIII
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「タイタン (ロケット)」の記事における「タイタンIII」の解説
タイタンIIIはタイタンIIシリーズの拡張型であり、固体燃料補助ロケットなどの追加を行い、衛星の軌道投入能力を向上させたものである。アメリカ空軍によってアメリカの大型軍用衛星やVela Hotel核実験監視衛星のほか、観測・偵察衛星(情報収集用)や防衛用通信衛星の打ち上げに使用することを目的として開発された。商用利用もなされている。 当初のタイタンIIIの誘導装置はタイタンIIからのAC Spark Plug社が生産した慣性誘導装置とIBMのASC-15誘導コンピュータだった。タイタンIIIのASC-15のコンピュータのドラム式記憶装置は使用できるトラックが20追加された事により記憶容量が35%増えた。より先進的なタイタンIIIはデルコ製のCarousel VI IMUとMagic 352誘導コンピュータが使用された。 タイタンIIIA タイタンIIに3段目 (トランステージ,Transtage) を追加した3段式ロケット。試作機であり、1964年から1965年にかけて4回の打ち上げがヴァンデンバーグ空軍基地において行なわれた。 タイタンIIIB タイタンIIIBは4つの異なる形式があり(23B,24B,33B,34B)、タイタンIIに3段目(アジェナ)を追加した3段式ロケットである。この組み合わせはKH-8 GAMBIT 3シリーズの情報収集衛星の打ち上げに使用された。全てヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げられ極軌道に投入された。ペイロードの最大重量は約7,500 lb (3,000 kg)である。1966年から1987年にかけて70回の打ち上げが行なわれている。 タイタンIIIC タイタンIIIAの両側に2本の大型補助固体ロケットブースタ(SRB)を追加することにより打ち上げ時の推力が大幅に増えペイロードの重量が増えた。タイタンIIICの為に開発された固体燃料補助ロケットは従来の固体燃料ロケットと比較してただ単に大型で推力が大きいだけでなく、推力偏向装置を備える等、先進的な技術が盛り込まれていた。1965年から1982年にかけて36回の打ち上げがケープカナベラル空軍基地より行なわれた。 タイタンIIID タイタンIIICの上段のトランステージを持たない2段式構成。主にNROによる低軌道へのキーホール9偵察衛星の打ち上げに使用された。1971年から1982年にかけて、ヴァンデンバーグ空軍基地において22回の打ち上げが行なわれた。 タイタンIIIE タイタンIIに高比推力の3段目(セントール)およびSRBを追加した3段式ロケット。アメリカ航空宇宙局 (NASA) のボイジャー1号、2号の打ち上げやヴァイキング火星探査機等の探査機の打ち上げで重用された。ケープカナベラル空軍基地より7回の打ち上げが行われている。 1975年 バイキング計画 バイキング1号および2号 1977年 ボイジャー計画 ボイジャー1号および2号 タイタン 34D(III4D) およびコマーシャル・タイタンIII 3段目・4段目にIUS (Interim Upper Stage) を用いた4段式。SRB使用。軍用及び商用として1982年から1992年まで運用。 1990年、Skynet4AとともにJCSAT2号を打上げ。
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タイタンIII
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「ケープカナベラル空軍基地第41発射施設」の記事における「タイタンIII」の解説
CCAFSのタイタンIII打ち上げ施設は、打ち上げ速度の向上を目的とした、「組み立て-移動-打ち上げアプローチ」の一環として建てられた。タイタンは発射台の外で組み立てられてペイロードと結合され、レールで2つの発射台のうちの1つに移動される。タイタンIIIの施設には、LC-40及びLC-41、Vertical Integration Buildingなどの組み立て棟、そしてCCAFSで最初の線路がある。施設は1964年に完成し、4機のペイロードを運ぶタイタンIIIC(英語版)のLC-41からの最初の打ち上げが1965年12月21日に行われた。
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