ソフィスト【sophist】
ソフィスト 【sophist】
ソフィスト
ソフィスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 15:46 UTC 版)
紀元前5世紀になるとソフィスト達がギリシア文化においてそれまで自明視されてきたことに対して疑問を投げかけはじめた。ケオスのプロディコスは「神とみなされてきたものは人間の生活に有用なものである」と考えたとされる。プロタゴラスは著書の冒頭で「神々に関して言えば、彼らが存在するとも存在しないとも言えない」と述べているという。 メロスのディアゴラス(英語版)(紀元前5世紀)は「最初の無神論者」として知られる。彼はエレウシスの秘儀を公の場で行うことで冒涜し、人々にエレウシスの秘儀に参加する気をなくさせた。それより少し後(紀元前300年頃)に、キュレネ派の哲学者テオドロスは神の存在を否定し、著書『神について』でこの考えを展開したという。 エウヘメロス(紀元前330年頃–紀元前260年頃)は、神はせいぜい過去の神聖視された支配者、征服者、始祖にすぎず、本質的には神を信じる儀式や宗教は消え去った王国、つまり、以前の政治的構造、を継続させようという行為であるという考えを公にした。エウヘメロスは後に「神々を抹殺して世界中の人々に無神論を広めようとし」 たとして批判されたが、彼の世界観は厳密に理論的な意味では無神論ではなかった、というのは彼は原初神に関しては「永劫不滅である」として区別していたからである。ある歴史家の主張によれば、彼はアレクサンドロス3世(大王)のような政治的支配者が神聖視され始めるという状況下で古い宗教を復活させようとしたにすぎないという。エウヘメロスの著作はエンニウスによってラテン語に訳され、おそらくこれに影響されて神話学がスキピオ・アフリカヌスを神格化する道が開かれたとされている。
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ソフィスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:32 UTC 版)
紀元前6世紀から紀元前5世紀にかけてのギリシャは、ポリスがもっとも繁栄した時期であった。 とくにペルシア戦争でアケメネス朝との戦いに勝利をおさめると、その中心となったアテネでは下層市民も政治に参加する古代民主政が完成し、学問や思想の対象も自然(ピュシス、physis)から人為(ノモス、nomos)、すなわち法や社会制度にむけられるという大転換が起こった。 そこでは、市民が政治の担い手として家柄や財産にかかわりなくみずからの力を発揮していく時代を反映し、政治的知識や弁論の能力を身につけることが求められるようになった。 こうした市民の新しい要望に応えてあらわれたのが、職業教師として人びとに弁論術を教えたり、法廷弁論における代作をおこなったりするソフィスト(sophistēs、知恵ある者)と呼ばれた思想家たち(下表)であった。 哲学者思想内容・特色プロタゴラス(BC500?–BC430?) 個々の人間の判断があらゆるものの善悪を決める基準であり、個々の判断こそが真理であって万物をつらぬく普遍的な真理はないとして、「人間は万物の尺度である」と述べた。 ゴルギアス(BC483?–BC376?) 「なにものも存在しない。存在しても知りえない。知りえても伝えることはできない」という「非存在」の論理を唱え、理性的認識を断念する懐疑論の立場に立った。修辞学の発達に貢献。 プロディコス(BC465?–BC415?) 言語学教師でソクラテスとも親しかった。ヒューマニズムに立脚。 ヒッピアス(BC460?–BC400?) 多芸多才であったが自慢家としても有名だった。ホメーロス研究。 プロタゴラスの立場は相対主義あるいは主観主義とよばれるが、これは人間中心の立場に立って、従来の固定した迷信的な思考あるいは言説を打ち破り、社会の諸制度を時代の変化に応じて修正しようという意味合いをもっていた。時あたかもペリクレスによるアテネ民主政治の最も輝いていた時代だったのである。 しかし、個々の事物を超えて存在する普遍的真理の否定は、ポリスの法など、人びとにとって共通の価値を否定することにつながり、その思い思いの行動はポリス的結びつきを破壊する危険があった。また、ゴルギアスが活躍した時代のアテネは、プロタゴラスの時代とは違い、スパルタとの戦い(ペロポネソス戦争)によってアテネがしだいに衰亡しはじめていた時期であったため、このような状況下での相対主義は、真理を追究することよりも弁論に勝つことに専念するような風潮を生み、容易に詭弁や「力の論理」に帰着する怖れがあった。
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