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枢軸時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/06 21:40 UTC 版)
枢軸時代(すうじくじだい、ドイツ語: Achsenzeit)とは、ドイツの哲学者で精神科医でもあったカール・ヤスパース(1883年–1969年)[注釈 1]が唱えた紀元前500年頃に(広く年代幅をとれば紀元前800年頃から紀元前200年にかけて[注釈 2])おこった世界史的、文明史的な一大エポックのことである。枢軸時代の他に「軸の時代[1]」という訳語があてられることもある。
- ^ 当初、精神医学に現象学的手法を導入して注目を集めたが、『世界観の心理学』(1919)を転機に哲学の道に進んだ。
- ^ ヤスパースは「枢軸時代の輪郭」を提唱にするに先だって以下のように述べている。
人間存在の形成は、特定の信仰内容にかかわりなく、西洋でもアジアでもあらゆる人間にとっても、経験的に必然的で理解可能なな認識とはならないが、それでも経験的理解に基づいて納得しうるような様式で行われたものであろう。この世界史の軸は、はっきりいって紀元前500年頃、800年から200年の間に発生した精神的過程にあると思われる。そこに最も深い歴史の切れ目がある。われわれが今日に至るまで、そのような人間として生きたところのその人間が発生したのである。この時代が要するに<枢軸時代>と呼ばれるべきものである。
— ヤスパース「歴史の起原と目標」, 重田訳『世界の大思想 40』,p.16
- ^ ドイツ語のAchseは「車輪」を原義とし、軸(axis)と要点(pivot)の2つの意味を含んでいる。
- ^ ヤスパースは、「世界史の概観がわれわれ自身の時代を決定的に意識するための条件である」と述べ、いまわれわれが生きている現代がどのような時代であるかを理解するためには世界史全体のこれまでの動きをとらえ、そのなかで現代がどのような場所を占めているかを知らなくてはならないと唱えた。『歴史の起原と目標』の執筆には、歴史の全体のなかでの現代の意義を確認しようというねらいがあった。
- ^ 前漢末の図書目録によれば189家にのぼる。「子」とは先生、「家」とは学派を意味する。貝塚(1961)
- ^ 儒学ではこれを、「修身斉家治国平天下」と称している。
- ^ 原義は「知識」。『リグ・ヴェーダ』など4種がある。
- ^ サンスクリットで記された200を越す一連の書物で、ヴェーダの深い意味を哲学的に解明しようとしたもの。一般には「奥義書」と訳される。
- ^ ヤージュニャヴァルキヤはヴィデーハ国のジャナカ王の宮廷に招かれた公開討論会で、並み居る論敵を圧倒、最大の論争相手ヴィダグダ・シャカーリアを論破して千頭の牛を獲得したとの逸話をもっている。
- ^ ブッダ(ゴータマ・シッダールタ)自身もシャカ族の王子でクシャトリヤ出身であった。なお、ブッダとは本来は「覚者(真理に目覚めた者)」をさす一般名詞であり、仏教がめざす理想である。
- ^ ジャイナ教はきびしい苦行で知られる。その理想はジナ(「勝者(苦行に打ち勝った者」)である。ジャイナ教の名はこの「ジナ」に由来する。
- ^ ヴァルダマーナは、仏典では「ニガンタ・ナータプッタ」と称される。
- ^ 『ジャイナ教教典』には、「あなたが殺そうと思う相手の者は、実はあなたにほかならない」として、殺してはならない、虐待してはならない、害してはならない、苦しめてはならない、悩ませてはならない、の5つの戒律を説いている。
- ^ 「アビダルマ仏教」ともいう。戒律を守り自己の修行の実践を重んじる立場。小乗とは「小さい乗り物」の意味であり、大乗仏教側からの蔑称である。
- ^ 慈悲の精神を重んずる立場。「一切衆生悉有仏性」を唱える。
- ^ ゼロの概念もインド起源といわれる。
- ^ 妹尾河童『河童が覗いたインド』(1985)に妹尾筆の詳細なイラストレーションがある。ゾロアスター教では、死体を不浄のものとみなすことから風葬の習慣が生じたといわれる。
- ^ 景教(ネストリウス派キリスト教)、マニ教と合わせ、「唐代三異教」と呼ぶことがある。
- ^ 1916年にシカゴ大学のエジプト学者であったジェームズ・ヘンリー・ブレステッドが、その著『古代』で唱えた歴史地理的概念。ペルシャ湾からメソポタミア、シリアを経てパレスティナ、エジプトへと到る地図上で半円形をなす地域。「豊かなる半月弧」などとも呼称される。
- ^ リディア王国、メディア王国、新バビロニア王国、エジプト王国の4王国。
- ^ 世界で初めて鋳造貨幣を導入したことで知られる。
- ^ アケメネス朝ペルシアの王は、その強大な武力によって「諸王の王」の称号で呼ばれた。宮崎『文明ネットワークの世界史』(2003)
- ^ ペルシアの駅伝制がエジプトを経由し、のちにエジプトを征服したローマにも伝わって採用されたため、後世「すべての道はローマに通じる」の格言が生まれたという。
- ^ エゼキエルとならんでユダヤ教最大の預言者といわれる。他の預言者としてハバクク、ダニエルがおり、ヤスパース引用のヴィクトール・フォン・シュトラウス『老子注解』(1870)にはかれらの名がみえる。
- ^ イスラームの立場からは、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教を信仰する人びとは「啓典の民」と総称される。
- ^ ギリシャ人たちは、植民市の住民も含んでギリシャ神話に登場するヘレネーにちなんで自身をヘレネスと称し、他者をバルバロイ(意味の分からない言葉を話す者)と呼んで区別した。
- ^ 教父哲学の「スコラ」の語源、さらには英語のschool (学校)の語源となった。
- ^ theory(理論)の語の由来。「観想」と訳される。
- ^ 宇宙(秩序立った宇宙)のことをコスモス(cosmos )と呼ぶようになったのも、ピュタゴラスに由来するという。
- ^ エレア派に含めるときでそうでないときがある。哲学者というよりは詩人だが影響力は大きかった。岩崎武雄『西洋哲学史』(1952)、p.92
- ^ 知恵(ソフィア、sophia)を愛求する(フィロ、philo)ところから命名された合成語。「哲学」の訳語は幕末から明治にかけての啓蒙家西周によるとされる。
- ^ このうち「ヘレニズム・ローマ時代の哲学」の特色として「個人の安心立命を求め、倫理的・宗教的傾向を示す」ことを掲げている。岩崎武雄『西洋哲学史』(1952)、p.1
- ^ 具体的には偶然、闘争、死、負い目(原罪)を指す。ヤスパース哲学の基本的な概念。いかなる人間の力でも科学の力でも克服できない壁のこと。
- ^ 「破開」は重田英世による訳語。ドイツ語のDurchbruch は、英語ではbreakthrough に相当する。「突き抜ける」「飛び出る」の意。
- ^ R.N.ベラーのいう「古代宗教」である。
- ^ ただし、『戦国策』には悲劇的要素がみられるなど、ヤスパースの見解が厳密な意味での反証となっているかについては、なお検討を要する。
- ^ 神武庸四郎は、経済史の立場から、「科学-技術の時代」とはヨーロッパに端を発した資本主義文明の時代、より狭義には産業革命の時代ととらえる見解を提示している。神武『経済史入門』(2006)
- ^ 現在では、2001年にフランス人研究者がチャドで発見したトゥーマイ猿人が人類最古の化石だといわれており、年代的には700万年前にさかのぼるといわれている。
- ^ ヤスパースは、飼育動物における脳容量の減少の法則に対し人間では逆に脳重量の増加がみられること、人間の性的成熟過程の遅延性、一定の交尾期の消失、人間の無毛性などを例に掲げている。ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.46
- ^ ヤスパース自身はイスラーム、あるいはアラブ人についてはほとんど無視している。
- ^ オーストラリアの考古学者ゴードン・チャイルドが提唱した「食料生産革命」説にもとづく。「肥沃なる三日月地帯」にはじまる定着農耕と動物の飼育の開始、およびそれにともなう社会全般の変革を指す。中近東にやや遅れて中南米でもトウモロコシ・カボチャ・マメなどによる定着農耕が開始した。
- ^ ゴードン・チャイルドの提唱による。メソポタミア、エジプト、インダスなどの諸社会には余剰農産物に支えられた王・神官・従者がおり、専門的な職人を数多くかかえて、神殿や宮殿を中心とする非農業的な集落(都市)がともなうが、これは、灌漑技術の開発の要にせまられたために生まれた権力であるという仮説である。社会学者カール・ウィットフォーゲルも黄河流域における王制の成立を「水利社会」の概念によって説明しており、水利施設や灌漑施設を都市や文明の原因としている。なお、この見解に対しては岩村忍らによる批判がある。
- ^ 村上は、"kinship"を正確には「親族関係」と訳すべきことをことわっている。村上(1998)
- ^ 村上によれば、記紀神話は典型的な位階化神話の試みであるとしている。村上(1998)
- ^ 樺山は、他の観点として「一体化」や「同時化」がきわだって目立たないような時代にあっても、個々の文化圏や地域のあいだでは相互にそれぞれ独自な交流がなされていたこと、およびI.ウォーラーステインなどによる世界システム論とのかかわりについて提示している。樺山(1998)
- ^ バナールの見解に対しては、ウェルズレー大学のメアリー・レフコヴィッツからの強い批判がある。
- ^ 湯浅赳男『面白いほどよくわかる現代思想のすべて』、日本文芸社、平成15年1月27日、p93
- ^ a b c d ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.18
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.16-17
- ^ a b c d e ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.17
- ^ a b c ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.22-23
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.13-15,p.63-66
- ^ 岡田英弘『倭国』(1977)など。
- ^ a b c d e ここで「水」や「火」といわれているものは、万物の根源となる一なるものを大胆に表現したものであり、「生きてみずから動くもの」の表象であって、われわれが今日とらえる意味での、物質としての「水」や「火」ではない。
- ^ 岩崎武雄『西洋哲学史』(1952)、p.92
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.16
- ^ a b c d ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.20
- ^ a b c d e ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.21
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.22
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.22-24
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.23
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.24
- ^ a b c ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.25
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.26
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.27
- ^ a b c ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.28
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.29
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.30
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.31
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.31-34
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.32
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.33
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.36
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.36-37
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.58
- ^ a b c ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.58-62
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.183-186
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.192-198
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.164-201
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.38-39
- ^ a b ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.51-52
- ^ a b c d e f ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.52-58
- ^ ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.60-70
- ^ a b c d ヤスパース「歴史の起原と目標」重田訳『世界の大思想 40』,p.71-74
- ^ オスヴァルト・シュペングラー『西洋の没落』など。
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- ^ 国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国際連合大学、道徳科学研究センター、京都フォーラム主催の国際シンポジウム「文化多様性への新しい賭け―対話を通して通底の価値を探る―」(2007年11月開催)レジュメより
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- ^ 枢軸時代と世界史(やすいゆたか)
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