【A-7】(えーなな)
A-7 Corsair II(コルセアツー)
ヴォート社がA-4「スカイホーク」の後継機として開発した、単発単座の亜音速軽艦上攻撃機。
F-8「クルセイダー」艦上戦闘機を基に1962年から開発が開始され、1965年に初飛行した。
超音速性能や核搭載能力は求められていなかったため、ペイロードが大きく、軽量・安価で航続距離も長い。
エンジンは、F-111に搭載されているP&W製TF30ターボファンのA/B非搭載モデルであるTF30-P-6を搭載していたが、B型からはコンプレッサーストールの解消のためにTF30-P-8エンジンに換装されている。
固定武装としてA~C型はコルトMk.12 20mm機関砲を2門、D・E型はM61A1を1門搭載し、通常爆弾・ロケット弾・AGM-45などを携行した。
また、D型はAN/AAS-35「ペイヴ・ペニー」レーザー目標指示器とペイブウェイ誘導爆弾を搭載し、E型はAGM-65やAGM-88の発射能力を持つ。
1965年に初飛行し、1967年には初期型A-7Aがベトナム戦争に投入されている。
また、アメリカ空軍でもF-100の後継機として採用されたが、「海賊」という名が嫌われたせいか、SLUFなる愛称が使用され、コルセアIIの愛称は決して使われなかったという。
1990年頃まではアメリカ海軍の主力艦攻であったが、湾岸戦争を最後にF/A-18などに主力の座を譲り、1991年に退役している。
アメリカ空軍ではA-10やF-16に置き換えられ、1993年に全機退役した。
アメリカ軍以外にタイ、ポルトガル、ギリシャ軍で陸上機として採用されている。
スペックデータ
乗員 | 1名/2名 |
全長 | 14.06m |
全高 | 4.88m |
全幅 | 11.80m |
主翼面積 | 34.8㎡ |
重量 (空虚/運用時) | 9,033kg/13,200kg |
最大離陸重量 | 19,050kg |
エンジン | P&W TF30ターボファン×1基(A-7A) アリソン TF-41-A-2ターボファン(推力64.5 kN)×1基(A-7E) |
速度 (最高/巡航) | マッハ0.9 / 860km/h |
航続距離 | 4,600km(300 USガロン外部燃料タンク×4基搭載時) 2,645nm(フェリー時) |
戦闘行動半径 | 600nm(Hi-Lo-Hi) |
実用上昇限度 | 12,800m |
海面上昇率 | 2,460m/min |
上昇率 | 76m/s |
固定武装 | コルトMk.12 20mm機関砲×1門 M61A1 20mmバルカン砲1門(弾数1,030発) |
兵装 | 翼下及び胴体下部に最大6,804kgまでの兵装を搭載可能。 ・空対空ミサイル:AIM-9「サイドワインダー」 ・対レーダーミサイル:AGM-45「シュライク」・AGM-88「HARM」 ・空対地ミサイル:AGM-62「ウォールアイ」・AGM-65「マーベリック」 ・爆弾・ロケット弾・増槽類:Mk.82・ペイヴウェイ・GBU-15 TV誘導/赤外線誘導爆弾・各種核爆弾 (B28・B57・B61)・ロケット弾ポッド・増槽 |
派生型
- A-7A:
TF30-P-6エンジンを搭載するアメリカ海軍向け初期生産型(199機製造、うち開発原型機3機)。
- A-7B:
A型のエンジンをTF30-P-8に換装し、推力を向上させたアメリカ海軍向け改良生産型(196機製造)。
- A-7C:
B型のアビオニクスを改良しTF30エンジンを搭載した型(67機製造)。
- A-7D:
空軍向け量産型。
エンジンや電子装置の換装、空中給油受油口の装備、機関砲をM61A1に換装するなど変更点が多い(459機製造)。
- A-7E:
アメリカ海軍向け主力量産型。
D型の海軍仕様であるが、エンジンがTF41に換装されている(535機製造)。
- A-7H:
E型のギリシャ向け生産型(60機製造)。
- A-7K
D型の複座練習機型。D型から改造された機体と新造された機体がある。
アメリカ空軍州兵向け(30機製造)。
- A-7P:
ポルトガル向けに、A型をE型相当に改修した機体。
- YA-7H:
ヴォート社がE型をベースに自社開発した複座型(1機)。
- A-7F:
D型の後継機として、P&W F100エンジンへの換装やアビオニクスの改良、夜間攻撃能力の強化を行った機体。
F-16の採用により試作のみ(試作機2機)。
- A-7G:
スイス空軍向け。計画のみ。
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