正の数と負の数 正の数と負の数の概要

正の数と負の数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 10:29 UTC 版)

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定義

数学において負数はマイナス記号を数字の前につけて表されるが、簿記などでは数字を赤くしたり三角形を数字の前に付けることによって表すこともある。

は増減の無い状態であるため、正でも負でもない。負でない数 (non-negative number) とは零より小さくない、つまり零または正の実数である。正でない数 (non-positive number) とは零より大きくない、つまり零または負の実数である。

注意
複素数の体系で考えている場合、そのうち実数についてのみ正負を論じ、虚数は正でも負でもないとされる。例えば「正の数」と言えば、それが実数であることを暗黙のうちに含意するが、明確化のために「正の実数」ということもできる。
一般に順序体において、零元より大きな元を正の元、零元より小さな元を負の元という(後述)。順序体ではない、例えば複素数体、有限体p 進数体においては、四則演算と両立する正負の概念を定義することができない。

負の数

負の整数は、方程式 xy = z がどんな xy に対しても、z に関する方程式として意味をもつように自然数の体系を拡張して得られるものだと考えられる。このような負の整数の捉え方と同様にして、負の有理数や負の実数も得られる。

負数は、温度のように目盛り上で零より低くなる値を記述するのに有用である。簿記においても、負債の表現に使用できる。簿記において、負債はしばしばい数字(赤字)や三角形を前に付けた数字によって表す。

負でない数

負でない数は非負(ひふ)であるといわれる。ゼロに等しいかそれより大きい(すなわち正であるかゼロである)実数を、非負実数(ひふじっすう)という。非負実数は負でない。実数は、負の実数か、非負実数のいずれかである。非負実数のうち整数となるものを非負整数(ひふせいすう)という。

関数

符号関数

定義域が実数であり、正数に対して1を、負数に対して−1を、ゼロに対して0を返す関数 sgn(x) を定義できる。この関数は符号関数と呼ばれることがある。

9 − 5 = 4
(9歳年下の人物と5歳年下の人物は、4歳離れている。)
7 − (−2) = 9
(7歳年下の人物と2歳年上の人物は、9歳離れている。)
−4 + 12 = 8
(\4の負債があって\12の収益を得たら、純資産は\8である)
5 + (−3) = 5 − 3 = 2
(¥5を持っていて¥3を借りたら、純資産は¥2である)
–2 + (−5) = −2 − 5 = −7
(\2の負債があってさらに\5の負債ができたら、負債は合わせて\7になる)

減算と負符号の概念の混乱を避けるため、負符号を上付きで書く場合もある(ただし、会計では負符号を△で表現する)。

2 + 5 = 2 − 5 = 7
△2 + △5 = △2 − 5 = △7

正数をより小さな正数から減ずると、結果は負となる。

4 − 6 = −2
(¥4を持っていて¥6を使ったら、負債¥2が残る)

正数を任意の負数から引くと、結果は負となる。

−3 − 6 = −9
(負債が¥3あってさらに¥6を使ったら、負債は¥9となる)

負数を減ずることは、対応する正数を加えることと等価である。

5 − (−2) = 5 + 2 = 7
(純資産¥5を持っていて負債を¥2減らしたら、新たな純資産は¥7となる)

別の例

−8 − (−3) = −5
(負債が¥8あって負債を¥3減らしたら、まだ¥5の負債が残る)

乗算

負数を掛けることは、正負の方向を逆転させることになる。負数に正数を掛けると、積は負数のままとなる。しかし、負数に負数を掛けると、積は正数となる[1]

(−20) × 3 = −60

(負債¥20を3倍にすれば、負債¥60になる。)

(−40) × (−2) = 80

(後方へ毎時40km進む車は、2時間前には現在地から前方へ80kmの位置にいた。)

これを理解する方法の1つは、正数による乗算を、加算の繰り返しと見なすことである。3 × 2 は各グループが2を含む3つのグループと考える。したがって、3 × 2 = 2 + 2 + 2 = 6 であり、当然 −2 × 3 = (−2) + (−2) + (−2) = −6 である。

負数による乗算も、加算の繰り返しと見なすことができる。例えば、3 × −2は各グループが−2を含む3つのグループと考えられる。

3 × −2 = (−2) + (−2) + (−2) = −6

これは乗算の交換法則を満たすことに注意

3 × −2 = −2 × 3 = −6

「負数による乗算」と同じ解釈を負数に対しても適用すれば、以下のようになる。

−4 × −3  =   − (−4) − (−4) − (−4)
=  4 + 4 + 4
=  12

しかし形式的な視点からは、2つの負数の乗算は、積の和に対する分配法則によって直接得られる。

−1 × −1  =  (−1) × (−1) + (−2) + 2
=  (−1) × (−1) + (−1) × 2 + 2
=  (−1) × (−1 + 2) + 2
=  (−1) × 1 + 2
=  (−1) + 2
=  1

除算

除算も乗算と同じく、負数で割ることは、正負の方向を逆転させることになる。負数を正数で割ると、商は負数のままとなる。しかし、負数を負数で割ると、商は正数となる。

被除数と除数の符号が異なるなら、商は負数となる。

(−90) ÷ 3 = −30

(負債¥90を3人で分けると、負債¥30ずつ継承される。)

24 ÷ (−4) = −6

(東を正数、西を負数とする場合:4時間後に東へ24km地点に進む車は、1時間前には西へ6kmの位置にいる。)

両方の数が同じ符号を持つなら、商は(両方が負数であっても)正数となる。

(−12) ÷ (−3) = 4

累乗

累乗乗算除算と同じく、指数を正数にすると、「n乗」に倍増される。しかし、指数を負数にすると、「1 / n乗」に分割される。つまり、指数 n を正数にすると「n 回乗算を繰り返す」ことになるが、指数 n を負数にすると「n 回除算を繰り返す」ことになる。

33 = 27

(×3 ×3 ×3 = 27)

3−3 = 1/27

(÷3 ÷3 ÷3 = 1/27)

360 × 23 = 2880

(360 ×2 ×2 ×2 = 2880)

36 × 5−1 = 7.2

(36 ÷5 = 7.2)


  1. ^ 『相対論の式を導いてみよう、そして、人に話そう』(小笠英志、ベレ出版、ISBN 978-4860642679)の PP.121-127にマイナス×マイナスがプラスになることの小学生も納得できる説明が書いてある。
  2. ^ Hayashi, Takao (2005), "Indian Mathematics", in Flood, Gavin, The Blackwell Companion to Hinduism, Oxford: Basil Blackwell, 616 pages, pp. 360-375, ISBN 978-1-4051-3251-0.
  3. ^ Colva Roney-Dougal, Lecturer in Pure Mathematics at the University of St Andrews, stated this on the BBC Radio 4 "In Our Time", on Negative Numbers, 9 March 2006.
  4. ^ Knowledge Transfer and Perceptions of the Passage of Time, ICEE-2002 Keynote Address by Colin Adamson-Macedo. [1]
  5. ^ Maseres, Francis, 1731–1824. A dissertation on the use of the negative sign in algebra, 1758.
  6. ^ Alberto A. Martinez, Negative Math: How Mathematical Rules Can Be Positively Bent, Princeton University Press, 2006; おもに1600年代から1900年代前半にかけての、負数に関する論争の歴史。


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