十干
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 00:22 UTC 版)
概要
古代中国で考えられ、日本に伝えられた。十二支と合わせて干支(かんし、えと)といい、暦の表示などに用いられる。五行に当てはめて、2つずつを木(もく、き)・火(か、ひ)・土(と、つち)・金(こん、か)・水(すい、みず)にそれぞれ当て、さらに陰陽を割り当てている。日本では陽を兄、陰を弟として、例えば「甲」を「木の兄」(きのえ)、「乙」を「木の弟」(きのと)などと呼ぶようになった。「干支」を「えと」と読むのは、この「兄弟」(えと)に由来する。
種類
十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類からなる。十干の本義は、古代研究に便利な漢の釈名や、史記の歴書によっても、実は生命消長の循環過程を分説したものであって、実際の木、火、鼠、牛といった存在に直接関係のあることではない[2]。
十干表
各言語による読み方
十干 | 日本語 | 中国語 | 広東語 | 台湾語 | 朝鮮語 | ベトナム語 | 本義[3] | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音読み | 訓読み | 意味 | 占い読み/五行読み | |||||||
甲 | コウ | きのえ | 木の兄 | こうぼく | jiǎ | gaap3 | kah | 갑 (gap) | giáp | 草木の芽生え、鱗芽のかいわれの象意 |
乙 | オツ | きのと | 木の弟 | おつぼく | yǐ | jyut3 | it | 을 (eul) | ất | “軋”に通じ、陽気のまだ伸びない、かがまっているところ |
丙 | ヘイ | ひのえ | 火の兄 | へいか | bǐng | bing2 | piáⁿ | 병 (byeong) | bính | “炳”に通じ、陽気の発揚 |
丁 | テイ | ひのと | 火の弟 | ていか | dīng | ding1 | teng | 정 (jeong) | đinh | 陽気の充溢 |
戊 | ボ | つちのえ | 土の兄 | ぼど | wù | mou6 | bō͘ | 무 (mu) | mậu | “茂”に通じ、陽気による分化繁栄 |
己 | キ | つちのと | 土の弟 | きど | jǐ | gei2 | kí | 기 (gi) | kỷ | “紀”に通じ、分散を防ぐ統制作用 |
庚 | コウ | かのえ | 金の兄 | こうきん | gēng | gang1 | keⁿ/kiⁿ | 경 (gyeong) | canh | 結実、形成、陰化の段階 |
辛 | シン | かのと | 金の弟 | しんきん | xīn | san1 | sin | 신 (sin) | tân | 陰による統制の強化 |
壬 | ジン | みずのえ | 水の兄 | じんすい | rén | jam4 | jîm | 임 (im) | nhâm | “妊”に通じ、陽気を下に姙む意 |
癸 | キ | みずのと | 水の弟 | きすい | guǐ | gwai3 | kùi | 계 (gye) | quý | “揆”に同じく生命のない残物を清算して 地ならしを行い、新たな生長を行う待機の状態 |
各要素との関連
西暦の 下1桁 (年の十干) |
修正ユリウス日の 下1桁 (日の十干) |
十干 | 陰陽 | (二十四方)五方 | (五行思想)五星 |
---|---|---|---|---|---|
0 | 6 | 庚 | 陽 | (255°)西 | (金)金星 |
1 | 7 | 辛 | 陰 | (285°)西 | |
2 | 8 | 壬 | 陽 | (345°)北 | (水)水星 |
3 | 9 | 癸 | 陰 | (15°)北 | |
4 | 0 | 甲 | 陽 | (75°)東 | (木)木星 |
5 | 1 | 乙 | 陰 | (105°)東 | |
6 | 2 | 丙 | 陽 | (165°)南 | (火)火星 |
7 | 3 | 丁 | 陰 | (195°)南 | |
8 | 4 | 戊 | 陽 | 中央 | (土)土星 |
9 | 5 | 己 | 陰 |
十日
殷では、10個の太陽が存在してそれが毎日交代で上り、10日で一巡りすると考えられており、十干はそれぞれの太陽につけられた名前と言われている。この太陽が10日で一巡りすることを「旬」と呼ぶ。上旬、中旬、下旬と言う呼び名もこれに由来する。中国には、堯帝の時代に10個の太陽が一度に出、草木が燃えるほど暑くなってしまったので堯帝が弓の巧みな羿という者に命じて9つの太陽を撃ち落とした、という神話があり、この説を裏付けている。
なお、古代エジプト暦でも、10日が1週間で、1ヶ月=30日=3週間であった。フランス革命暦でも1ヶ月を10日ずつの3つのデカード(週)に分けた。
- ^ 縦書きの場合は上に干がくる。
- ^ 参考文献:『易学入門』(著:安岡正篤 版:明徳出版社)
- ^ 参考文献:『中国的実在観の研究』(著:木村英一)、『中国上代陰陽五行思想の研究』(著:小林信明)、『宋代易学の研究』(著:今井宇三郎)
- ^ 大庭脩『秦漢法制史研究』、創文社、1982年、16頁。
- ^ “筑西市の住所表示はこのようになります”. 筑西市. 2021年6月8日閲覧。
- ^ “合併に伴う行政サービスのご案内 新・下妻市 くらしのガイド”. 下妻市・千代川村合併協議会 (2005年12月). 2021年6月8日閲覧。
- ^ a b c d 鷹觜信 著「新里の甲乙丙丁について」、宇都宮市制100周年記念国本地区地域イベント実行委員会 編 編『国本地区のむかしといま』宇都宮市制100周年記念国本地区地域イベント実行委員会、1997年3月30日、36-38頁。
- ^ a b c OFFICE-SANGA (2013年7月2日). “石川県の七不思議? 住所に「イロハ」「甲乙丙」「子丑寅」など謎の地名が”. マイナビ. 2021年6月8日閲覧。
- ^ “総務部長 菊池雅裕のブログ”. 部課長ブログ. 筑西市総務課 (2018年1月19日). 2021年6月8日閲覧。
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