三田市 歴史

三田市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 02:45 UTC 版)

歴史

市名の由来

「金心寺の弥勒菩薩坐像の胎内に記された恩田・悲田・敬田の『三福田』に由来する」という説が旧『三田市史』などに掲載されているが、新版『三田市史』(2012年完結)編纂時の調査時には確認できず、現在は地域の伝承として扱われている。

音読みの「サン」に、訓読みの「だ」が接続するのは異例。なお、「三田村」の表記が確認できる最古の記録は、室町時代後期の寛正7年(1477年)の古文書[10]

古代

三田盆地は旧石器時代から、人々が暮らした痕跡がある。2万5千年前の遺跡である広野地区の溝口遺跡からはナイフ形石器、石鏃などが発掘されている。ニュータウン開発で発見されたけやき台の有鼻遺跡や平方遺跡は弥生時代中期の遺跡で、ここからは畿内最古の鉄剣や鉄斧などの鉄器類や竪穴建物跡などが発掘されている。古墳時代には武庫川と青野川が合流する流域は須恵器の産地となっていたようで、本庄地区の東仲古墳 、沢山1号墳など石室を持った古墳とともに須恵器の窯跡が発掘されており、「末(すえ)」という地名は今も残っている。これは三田市の北西に隣接する丹波篠山市今田地区で生産されている立杭焼(丹波焼)の起源の一つと考えられている。また、青野川とともに青野ダムを形成する黒川沿いの小野地区にある伊勢貝遺跡は、縄文時代から平安時代にかけての集落の遺構が発掘される複合遺跡である。

中世

現在の市街地エリアに町が形成されたのは7・8世紀頃からと考えられる。三田地区・三輪地区一帯は7世紀以前から日本最古の神社と言われる大和国一ノ宮である大神神社の荘園となっており、大和国城上郡松山氏荘官として管理し通称「松山の庄」と呼ばれていた。また、金心寺が建立されると武庫川より南西部に門前町が形成された。

北東部の三輪地区はその後も大神神社の荘園であったが、14世紀の松山彈正が荘官の時、荘園制度が崩れ武装の必要性が生じ、有馬郡の三輪明神信仰の聖地となっていた丸山に城を築くと同時に三輪神社の社殿を奉納する。これにより三輪地区でも門前町を形成していき、武庫川を挟んで金心寺と三輪神社の門前町が融合する形で有馬郡の中心地へと発展していく。

平安時代から鎌倉時代にかけて市域の各地には多くの荘園が作られ、地頭である豪族が桑原城、貴志城、大原城などの小さな山城を築いて統治していた。

三田藩

室町時代に播磨国守護だった赤松則村(円心)の四男・赤松氏範が有馬郡を領有し三田城(車瀬城)を築城する。その後も赤松氏を出自とする摂津有馬氏が領有していたが、戦国時代に織田信長の家臣だった荒木村重が摂津国を平定すると丹波国攻略のために三田を城下町として整備する。荒木村重が謀反を起こし織田信長に討たれると(有岡城の戦い)、信長の家臣・山崎片家が近江国から2万3千石で入封したことで三田藩が成立する。江戸時代には志摩国鳥羽藩から九鬼久隆が3万6千石で入封し、廃藩置県までの約240年間、九鬼氏が三田藩を統治した。

なお、北部の高平地区は多田源氏の所領として多田荘に属し、江戸時代は現在の大阪府豊中市に本拠を置いていた麻田藩青木氏1万2千石の所領で、1896年(明治29年)に有馬郡に移管されるまで川辺郡に属していた。

近代

有馬郡時代の三田周辺地図「有馬郡全図」 出典:有馬郡誌

現代

1974年度現在の三田市街地
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  • 1956年(昭和31年)12月7日 現在の市章である町章を制定する[2][11][12][13]
  • 1958年(昭和33年)7月1日 単独市制を実施、三田市が誕生する(兵庫県下20番目の市)[14]
  • 1965年(昭和40年)9月30日 福祉都市宣言を制定する[15]
  • 1967年(昭和42年) 三田学園高等学校選抜高等学校野球大会初出場を決める。
  • 1968年(昭和43年) 北摂ニュータウン・青野ダム開発計画発表。
  • 1968年(昭和43年) 市花・市木を制定する[2]
  • 1968年(昭和43年)6月29日 市旗を制定する[16]
  • 1973年(昭和48年) 北摂ニュータウン起工。
  • 1974年(昭和49年) 中央公民館落成。
  • 1975年(昭和50年) 市立全校園で完全給食化。
  • 1978年(昭和53年) 第1回・三田まつり開催。
  • 1981年(昭和56年) 北摂ニュータウン(南地区)入居開始。
  • 1982年(昭和57年) 北摂ニュータウン(翌年、北摂三田ニュータウンに改称)街開き。
  • 1985年(昭和60年) マスコットを決める[2]
  • 1986年(昭和61年) 国鉄(現・JR西日本)福知山線全線電化。宝塚〜新三田間複線化。新三田駅が開業。 兵庫県立北摂三田高等学校開校式(ニュータウン初の県立高校)。
  • 1987年(昭和62年) 北摂三田テクノパーク操業開始。
  • 1988年(昭和63年) 近畿自動車道舞鶴線(現・舞鶴若狭自動車道三田西IC中国自動車道 神戸三田ICが開通。高速バス(福知山高速線)運転開始。
  • 1989年(平成元年) 福知山線に快速電車が設定。
  • 1990年(平成2年) 六甲北有料道路が開通。三田市立図書館開館。
  • 1991年(平成3年) 神戸電鉄公園都市線 横山 - フラワータウン間開通。
  • 1992年(平成4年) 兵庫県立人と自然の博物館が開館。
  • 1993年(平成5年) 兵庫県立三田西陵高等学校開校式。人口増加率が県下で10年連続1位(全国では6年連続1位)
  • 1994年(平成6年) 高平ふるさと交流センター開館。三田幹線が全線開通。
  • 1995年(平成7年) 関西学院大学神戸三田キャンパス開設(西宮市のキャンパスとは別途新設)。 三田市民病院(新庁舎)開院。フラワータウン市民センター開館。
  • 1996年(平成8年) 神戸電鉄公園都市線 フラワータウン - ウッディタウン中央間開通。人口10万人突破。広野市民センター開館。
  • 1997年(平成9年) JR西日本福知山線 新三田〜篠山口間複線化。人口増加率10年連続日本一。
  • 1998年(平成10年) トライやる・ウィークを初めて実施。福知山高速線廃止。
  • 1999年(平成11年) 新三田駅前立体駐輪・駐車場が供用開始。
  • 2000年(平成12年) 藍市民センター開館。センチュリーパーク(三田ウッディタウンサティなど)が営業開始。
  • 2001年(平成13年) 市街地循環バスの試験運行開始(神姫バスが運行受託)
  • 2002年(平成14年) 兵庫県立三田祥雲館高等学校開校式。
  • 2003年(平成15年) Honey FM(ハニーエフエム)が本放送開始。放送局は弥生が丘のフローラ88。
  • 2004年(平成16年)3月 三田市ツーリズム振興指針を策定する[17]
  • 2004年(平成16年)4月1日 湊川女子高等学校が男女共学化し、三田松聖高等学校に名称変更。
  • 2005年(平成17年)3月6日 三田ツーリズムを開催する[17][18]
  • 2005年(平成17年)9月15日 三田駅前一番館「キッピーモール」開業。
  • 2005年(平成17年) ウッディタウン市民センター開館。
  • 2005年(平成17年) 全国育樹祭が兵庫県で開催。皇太子徳仁親王が市内訪問。
  • 2006年(平成18年) 行革断行プラン公表。のじぎく兵庫国体開催(ハンドボール女子、軟式野球)
  • 2007年(平成19年) 三田市総合文化センター(愛称:郷の音ホール)開館。同時に三田市民会館閉館。
  • 2008年(平成20年)7月1日 三田市制50周年。
  • 2012年(平成24年)3月 三田まちづくり憲章を制定する[7]
  • 2015年(平成27年)1月13日 市役所新庁舎が供用開始。

行政区画の変遷

  • 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、有馬郡三田・三田屋敷町・三田村・寺村および下深田村の飛地の区域をもって三田町が発足。
  • 1943年(昭和18年)12月20日 - 有馬郡貴志村の一部(下深田・上深田・池尻・貴志)を編入。
  • 1956年(昭和31年)9月30日 - 有馬郡三輪町広野村小野村高平村と合併し、改めて三田町が発足。
  • 1957年(昭和32年)7月18日 - 有馬郡相野町を編入。
  • 1958年(昭和33年)7月1日 - 市制施行して三田市となる。

注釈

  1. ^ 同様の例は東京都町田市も同じで、同市は地形の問題(市域全体が神奈川県側に大きく突出しており、都内の隣接自治体である多摩市八王子市とは同じ南多摩地域にありながら丘陵で隔てられているなど。)から神奈川県の相模ブロックに編入され、路線バスのほとんどが神奈川中央交通となっている。

出典

  1. ^ a b c 平成23年版三田市統計書”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 三田市の概要”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  3. ^ 兵庫 難読 p145
  4. ^ a b c d 三田市の状況を知る”. 三田市. 2013年4月28日閲覧。
  5. ^ 人口 2012年5月末現在”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  6. ^ 昭和33年〜平成20年 三田市の歴史”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  7. ^ a b c d e f ポケット統計三田”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  8. ^ 平年値(年・月ごとの値)”. 気象庁. 2024年3月16日閲覧。
  9. ^ 観測史上1~10位の値(年間を通じての値)”. 気象庁. 2024年3月16日閲覧。
  10. ^ 三田市生涯学習支援課市史編さん担当「三田 -地名の由来-」『三田市史だより』、三田市、2012年5月15日、2020年7月11日閲覧 
  11. ^ 図典 日本の市町村章 p160
  12. ^ 都章道章府章県章市章のすべて p425
  13. ^ 都市の旗と紋章 p46
  14. ^ 町を市とする処分”. 三田市例規集. 2012年6月10日閲覧。
  15. ^ 福祉都市宣言”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  16. ^ 三田市旗を制定”. 三田市例規集. 2012年6月10日閲覧。
  17. ^ a b 三田ツーリズム宣言 PDF”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  18. ^ 三田ツーリズム宣言”. 三田市. 2012年6月10日閲覧。
  19. ^ 市長のプロフィール 三田市 2023年8月9日閲覧
  20. ^ 兵庫県議会/選挙期日と議員任期の「ずれ」の解消に伴う次期県議会議員の任期について
  21. ^ 三田市区・自治会連合会について”. 三田市. 2023年7月9日閲覧。
  22. ^ トキトレーディング公式サイト
  23. ^ a b c d e IPROS製造業
  24. ^ パティシエ エス コヤマ公式サイト
  25. ^ 日乃本食産公式サイト
  26. ^ 三田屋本店 やすらぎの郷
  27. ^ 戎産業公式サイト
  28. ^ リュウビシステム公式サイト
  29. ^ 公立小・中学校通学区域三田市
  30. ^ a b c d e 三田から羽ばたく”. 三田市. 2015年10月21日閲覧。
  31. ^ 歳脇将幸のプロフィール、受賞歴、全作品リストなど | まんがseek(漫画データベース)






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