マグニチュード マグニチュードの概要

マグニチュード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/09 16:36 UTC 版)

この最初に考案されたマグニチュードはローカル・マグニチュード (ML) と呼ばれており、リヒターの名からリヒター・スケール (Richter scale) とも呼称される[注 1]。マグニチュードは地震のエネルギーを1000の平方根を底とした対数で表した数値で、マグニチュードが 1 増えると地震のエネルギーは約31.6倍になり、マグニチュードが 2 増えると地震のエネルギーは1000倍になる。

地震学ではモーメント・マグニチュード (Mw) が広く使われている。日本では気象庁マグニチュード (Mj) が広く使われるが、長周期の波が観測できるような規模の地震(Mj5.0以上)[5]ではモーメント・マグニチュードも解析・公表されている。

一般的にマグニチュードは

1900年以降の日本周辺での地震 (マグニチュード5.5以上)

M5未満では被害が生じることは稀で[注 3]、M2程度の地震では、陸上でも人に感じられないことが多い。M0クラスになると、日本の地震計観測網でも捉えられない場合がある。なお、理論上マグニチュードにはマイナスの値が存在するが、この規模の地震になると精密地震計でも捉えられない場合が多く[注 4]、また常時微動やノイズとの区別も難しくなってくる。

大きな地震のマグニチュードを求めることは、地震の規模や被害の推定に有用である。一方マグニチュードが小さく被害をもたらさないような地震も、地震や火山・プレートテクトニクスのメカニズムを解明するのに役立つため観測が行われている。

大地震の内、特にM8以上の地震を巨大地震、巨大地震の内、Mw9以上の地震を超巨大地震と区分けすることがある[29]

マグニチュードの大小の目安

マグニチュード(以下M)のエネルギーの規模の比較と代表的な地震を下表に示す。歴史地震のマグニチュードは正確に決定することが困難であり諸説あるため、表に掲載する地震は主に近代以降の観測記録のある地震とする。

M 区分 エネルギー (J) TNT換算 備考
−2.0 極微小地震 6.3 × 101 15 mg 60 J:30W蛍光灯の2秒間点灯時の消費電力
−1.5 3.5 × 102 83 mg
−1.0 2.0 × 103 480 mg
−0.5 1.1 × 104 2.6 g
0 6.3 × 104 15 g Mj0.2:2002年1月22日7時22分(日本時間)に伊豆大島近海で発生した最も小さな有感地震(最大震度は1)[30]
0.5 3.5 × 105 84 g
1.0 微小地震 2.0 × 106 480 g
1.5 1.1 × 107 2.6 kg M1.5:2007年ペルーの隕石落下時に発生した地震(en:ニュース
2.0 6.3 × 107 15 kg M2.1:2013年4月のテキサス州肥料工場爆発事故で放出されたエネルギー
2.5 3.5 × 108 84 kg
3.0 小地震 2.0 × 109 480 kg
3.5 1.1 × 1010 2.6 t
4.0 6.3 × 1010 15 t 小型核爆弾が放出するエネルギー
M4.0:北朝鮮の核実験(2006年)で観測された地震 (CTBTO)
4.5 3.5 × 1011 84 t
5.0 中地震 2.0 × 1012 480 t ツングースカ隕石の衝突(1908年)で発生した地震(推定)[31]
Mj5.2:長岡地震(1961年)(1900年以降に日本で発生し死者を生じた最小の地震[32][33]
Mb5.25:史上最大の核兵器実験による人工地震[注 5][34][35]
5.5 1.1 × 1013 2,600 t M5.5:バリンジャー・クレーターが形成された時に発生した地震(推定)
55-63 TJ:広島の原爆が放出した全エネルギー[注 5]
6.0 6.3 × 1013 1.5万 t 一般におおよそこれより規模の大きな地震では津波を発生させることがある。
Mj6.1:長野地震(1941年)、大阪府北部地震(2018年)
Mj6.4:宮城県北部地震(2003年)
6.5 3.5 × 1014 8.4万 t Mj6.7 (Mw6.6):北海道胆振東部地震(2018年)
Mj6.8 (Mw6.6):三河地震(1945年)、新潟県中越地震(2004年)、新潟県中越沖地震(2007年)
Mj6.9 (Mw6.7):能登半島地震(2007年)
7.0 大地震 2.0 × 1015 48万 t M7.0:史上最大の地下核実験による人工地震[注 5][36]
Mj7.0 (Mw6.7):福岡県西方沖地震(2005年)
Mw7.0:ハイチ地震(2010年)
Mj7.1 (Mw6.8-6.9):福井地震(1948年)
Mj7.2 (Mw7.0):鳥取地震(1943年)
Mj7.3 (Mw6.9):兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)(1995年)
Mj7.3 (Mw7.0):熊本地震(2016年)
Mj7.4 (Mw7.5):宮城県沖地震(1978年)
7.5 1.1 × 1016 260万 t Mj7.5 (Mw7.6):新潟地震(1964年)
Mj7.6 (Mw7.5):能登半島地震(2024年)
Mw7.6:唐山地震(1976年)
Mw7.6 (Ms7.3):台湾921大地震(1999年)
Mj7.8 (Mw7.7):北海道南西沖地震(1993年)
8.0 巨大地震 6.3 × 1016 1500万 t M8.0 (Mw7.5):濃尾地震(1891年)
Ms8.0 (Mw7.9):四川大地震(2008年)
Mw8.1:喜界島地震(1911年)
Mw7.9-8.2 (Mj7.9):関東地震関東大震災)(1923年)
Mw8.1-8.2 (Mj7.9):昭和東南海地震(1944年)
Mw8.2 (Mj7.9):十勝沖地震(1968年)
Mw8.2:イキケ地震(2014年)
Mw8.3:根室半島沖地震(1894年)
Mw8.3 (Mj8.0):十勝沖地震(2003年)
Mw8.3 (Mj8.2):北海道東方沖地震(1994年)
210 PJ:史上最大の核兵器が放出した全エネルギー[注 5][35]
Mw8.1-8.4 (Mj8.0):昭和南海地震(1946年)
Mw8.4 (Mj8.1):昭和三陸地震(1933年)
8.5 3.5 × 1017 8400万 t M8.2-8.5:明治三陸地震(1896年)
Mw8.8:チリ地震(2010年)
9.0 超巨大地震 2.0 × 1018 4.8億 t Mw9.0:カムチャツカ地震(1952年)
Mw9.0-9.1 (Mj8.4):東北地方太平洋沖地震東日本大震災)(2011年)[37]
Mw9.2:アラスカ地震(1964年)
Mw9.1-9.3:スマトラ島沖地震(2004年)
9.5 1.1 × 1019 26億 t Mw9.5:チリ地震(1960年)
これ以上の規模の地震は実測でも地質調査でも発見されていない。
10.0 6.3 × 1019 150億 t M10.0:地球上で起こり得る最大の地震。ナスカプレート南アメリカプレートのプレート境界が一度に破壊した場合[38]。または、千島海溝日本海溝、合計3000キロメートルが連動して60メートルずれた場合[注 6][39][40][41]
10.5 (参考) 3.2 × 1020 840億 t
11.0 2.0 × 1021 4800億 t M11.3:チクシュルーブ隕石の地球衝突のエネルギー。恐竜絶滅の最も有力な一因とされる[42]。値は推定。断層のずれで発生すると仮定した場合、その総延長は2万キロメートル以上になるもので、考慮は不要である(東北大学教授の松澤暢による推論)[39]
11.5 1.1 × 1022 2.6兆 t 15 ZJ:地球が太陽から受ける総エネルギー1日分
M11.8:フレデフォート隕石の衝突エネルギー。現在地球上で確認された最大の隕石孔で、値は推定。
12.0 6.3 × 1022 15兆 t M12:長さ1万キロメートルの断層が動いたと仮定した場合に想定される地震[注 7][43]
  • 月面で観測される地震を月震という。M1 - M4 程度が観測されている。
  • 恒星の振動を星震 (Starquake) といい、時に爆発現象を伴う。観測は恒星の内部構造を調べるのに利用される。2004年にSGR 1806-20で観測された星震では、M23.1 という値が算出されている。

頻度の目安

エネルギー(横軸下)とマグニチュード M(横軸上)の対応関係と、その規模の地震が発生する頻度 n(毎年、縦軸)。このグラフの傾きが b 値。

地震の発生頻度は以下のグーテンベルグ・リヒターの関係式により表される。

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