モースの硬度計とは? わかりやすく解説

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モース‐の‐こうどけい〔‐カウドケイ〕【モースの硬度計】

読み方:もーすのこうどけい

ドイツ鉱物学者モース(F.Mohs[1773〜1839])が、鉱物硬度モース硬さ)を示すために選んだ10種の標準鉱物。これで試料鉱物表面順次ひっかき硬度決める。

[補説] 硬度標準鉱物次の通り数字大きいほど硬い
1 滑石
2 石膏
3 方解石
4 蛍石
5 燐灰石
6 正長石
7 石英
8 黄玉トパーズ
9 鋼玉コランダム
10 金剛石ダイヤモンド


モース硬度

(モースの硬度計 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 16:00 UTC 版)

モース硬度計。硬度1から10までの標準鉱物が箱の中に入っている。

モース硬度(モースこうど)、モース硬さ(モースかたさ、英語: Mohs hardness[1])またはモース硬さスケール(モースかたさスケール、: Mohs' scale of hardness[2])は、主に鉱物に対する硬度の尺度の1つ。10種類の標準鉱物とそれぞれに対応する1から10までの整数値を定め、どの標準鉱物で引っかいた時に傷がつくかでモース硬度を定める。

例えば、蛍石(硬度4)で引っかくと傷がつかず、燐灰石(硬度5)で引っかくと傷がつく鉱物は4と5の中間の値であるモース硬度4.5とする。

モース硬度が定めるのは「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ(引っかき硬度)」であり、「たたいて壊れるかどうか(靱性)」といった性質とは異なる。実際、モース硬度が最高のダイヤモンドは衝撃には弱く、ハンマーなどである一定の方向からたたくことで容易に砕ける。

またモース硬度は単に標準鉱物との関係を表す尺度であり、もしある2つの鉱物がモース硬度4.5であったとしても、それらの引っかき硬度が同一であるとは限らず、一方がもう一方より硬い(一方でもう一方を引っかくと傷がつく)ことがありうる。

また、数値間の引っかき硬度の変化は比例せず、硬度1と2の間の差が小さく、9と10の間の硬度の差が大きい。

上記のようにモース硬度は引っかき硬度の尺度としては非常に荒いものである。しかし、簡便かつ安価に用いることができ、野外で鉱物を同定するために用いられる。

モース硬度の「モース(Mohs)」は、この尺度を考案したドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースに由来している。

「滑石方(かっせきほう)にして蛍燐(けいりん)長く、石黄鋼(いしおうこう)にして金色なり」という語呂合わせの覚え方がある。

標準鉱物

標準鉱物のモース硬度
モース硬度 標準鉱物 化学式 絶対硬度[要説明] 画像 解説
1 滑石 Mg3(Si4O10)(OH)2 1 最も軟らかい鉱物で、つるつるした手触り。爪でたやすく傷をつけられる。
2 石膏 CaSO4·H2O 3 指ので何とか傷をつけることができる。
3 方解石 CaCO3 9 硬貨でこするとなんとか傷をつけることができる。
4 蛍石 CaF2 21 ナイフの刃で簡単に傷をつけることができる。
5 燐灰石 Ca5(PO4)3(F,OH) 48 ナイフでなんとか傷をつけることができる。
6 正長石 KAlSi3O8 72 ナイフで傷をつけることができず、刃が傷む。
7 石英 SiO2 100 ガラス鋼鉄などに傷をつけることができる。
8 トパーズ
(黄玉)
Al2SiO4(F,OH) 200 石英に傷をつけることができる。
9 コランダム
(鋼玉)
Al2O3 400 石英にもトパーズにも傷をつけることができる。
10 ダイヤモンド
(金剛石)
C 1600 地球上の鉱物の中で最も硬く、コランダムにも傷をつけることができる。
出典: 「モース硬度」・「標準鉱物」・「化学式」: [3]

標準鉱物と試料物質をこすり、ひっかき傷の有無で硬さを測定する[3]。現実に存在する化学物質(人工物、天然物)の中で、モース硬度として最も硬いものはダイヤモンドである。

身近な物の硬度(目安)

身近な物の硬度(目安)
モース硬度 物質
2.5 人間の爪[3]象牙琥珀
3.5 銅製硬貨
4.5 木工用)
5 ガラス
5.5 ナイフの刃
6 永久歯のエナメル質
7.5 鋼鉄のやすり

修正モース硬度

研磨剤などの硬さの指標として、工業分野でよく利用される物質を追加して15段階に修正された修正モース硬度が使われる場合がある。

修正モース硬度 旧モース硬度 鉱物 ヌープ硬度
1 1 滑石
2 2 石膏
3 3 方解石
4 4 蛍石
5 5 燐灰石
6 6 正長石
7 溶融石英
8 7 水晶(石英)
9 8 黄玉(トパーズ)
10 柘榴石
11 溶融ジルコニア
12 9 溶融アルミナ 2100
13 炭化ケイ素 2500
14 炭化ホウ素 2750
15 10 ダイヤモンド 9000

脚注

  1. ^ 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4 
  2. ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2 
  3. ^ a b c 黒澤 2011, p. 101.

参考文献

  • 黒澤正紀 著「鉱物・岩石」、上野健一; 久田健一郎 編『地球学調査・解析の基礎』古今書院〈地球学シリーズ〉、2011年、99-143頁。ISBN 978-4-7722-5254-6 

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