デスクトップ環境 X Window System におけるデスクトップ環境

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デスクトップ環境

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 13:40 UTC 版)

X Window System におけるデスクトップ環境

X Window Systemを使用するシステムでは、デスクトップ環境はより柔軟である。これはXが「ポリシーではなく機構を提供する。特にユーザインタフェースについては」という原則に基づいて設計されているため、デスクトップ環境の構成要素がウィンドウシステムとは全く別に提供されているためである。

CDEGNOMEKDEといったXのデスクトップ環境は、ユーティリティライブラリXtGLib等)、GUIライブラリ(ウィジェット・ツールキット、XawやMotifGTKQt等)といったインフラとなるライブラリ、ウィンドウマネージャtwmやmwmやMetacityKWin等)などのシステムユーティリティ、ファイルマネージャファイルKonquerorDolphin等)や管理ツールなどの基本的なアプリケーション、スキン、などから構成される。これら個々のモジュールは個別に変更したり設定したりすることができ、ユニークな組合せを作ることができるが、多くのデスクトップ環境ではデフォルトの設定があるので、それを使うことができる。

またそういったフルスタックのデスクトップ環境とは別に、IceWMFluxboxWindow Makerといったウィンドウマネージャは単純なデスクトップ環境と言える機能を備えている。evilwmやwmiiなどのように、そういった機能のないウィンドウマネージャもある。

X上の初期のデスクトップ環境としてCDEがあるが、これはプロプライエタリな製品であったため、コストやライセンスの問題があってLinuxなどのUnix系OSには普及しなかった。1996年にはKDE1997年にはGNOMEが登場。1997年に始まったXfceはそれらより小さいプロジェクトであり、性能とモジュール性向上に集中したもので、2006年に始まったLXDEも同様である。2012年現在、GNOMEとKDEが主流であり、Linuxディストリビューションの多くがデフォルトでどちらかをインストールする。これらには次のような特徴がある。

2000年代初め、KDE[14] とGNOMEが円熟期に達した。その後もそれぞれが新たな向上のためのプロジェクトを推進した(KDEはAppeal、GNOMEはToPaZ)。どちらも目標は似たようなものだが、採用した人間工学的手法は異なる。KDEはアプリケーションの連携と相互運用の強化を推進しており、賢明なデフォルトを設定しようと試みつつ、高度にカスタマイズ可能で非常に複雑な機能を多く含んでいる。一方GNOMEはより規範的で、必須なタスクの細かい詳細に集中し、全体としては単純化しようとしている。結果としてそれぞれが異なるユーザー層と開発コミュニティをひきつけている。努力の重複を減らすため、非公式な協力ゾーンとしてfreedesktop.orgが生まれた。

GNOMEとKDEは高性能なコンピュータを主な対象としているため、低性能な古いシステム向けには別のデスクトップ環境が使われる。そのような軽量デスクトップ環境としてLXDEXfceがある。どちらもGNOMEと同じGTKツールキットを採用している。KDEと同じQtテクノロジーをベースにした軽量デスクトップ環境としてはLXQtのほかBSD向けに開発されたLuminaなどがある。

Unix系のデスクトップ環境の比較

Unix系での主要な7種類のデスクトップ環境のデフォルト構成の比較表を以下に示す:

GNOME KDE Cinnamon MATE Xfce LXDE LXQt
ウィジェット・ツールキット GTK3 Qt GTK3 GTK+2 GTK+2 Qt
X Window System
ディスプレイマネージャ
GDM KDM MDM LXDM sddm
ウィンドウマネージャ Mutter (GNOME 3)
Metacity (GNOME 2)
KWin Muffin Marco xfwm4 Openbox
ファイルマネージャ ファイル Dolphin Nemo Caja Thunar PCMan File Manager PCMan File ManagerQT
アーカイバ アーカイブマネージャー Ark Squeez Engrampa Xarchiver Xarchiver Xarchiver
端末エミュレータ GNOME 端末 Konsole MATE Terminal Terminal LXTerminal qterminal
テキストエディタ gedit Kate Pluma Mousepad leafpad notepadqq
メディアプレーヤー ビデオ Kaffeine totem Parole SMPlayer
ジュークボックス
オーディオプレーヤー
Rhythmbox Amarok
CDバーナー Brasero K3b Xfburn
CDリッパー Sound Juicer KAudioCreator
イメージビューアー Eye of GNOME Gwenview Eye of MATE Ristretto GPicView lximage-qt
オフィススイート GNOME Office KOffice
ウェブブラウザ Web Konqueror Midori Falkon

注釈

  1. ^ ウィンドウアイコンメニューポインターをまとめてWIMPと称する。

出典

  1. ^ Desktop Metaphor” (英語). Csdl.tamu.edu. 2017年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月5日閲覧。
  2. ^ Window managers and desktop environments” (英語). Linux 101. 2012年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月27日閲覧。
  3. ^ Operating System Market Share” (英語). Marketshare.hitslink.com. 2019年5月27日閲覧。
  4. ^ KDE Localization” (英語). L10n.kde.org. 2012年8月3日閲覧。
  5. ^ RafaelFontenelle: “TranslationProject - GNOME Wiki!” (英語). wiki.gnome.org. 2019年5月27日閲覧。
  6. ^ Link 27 Dec Personalized Golf Ball Sign» (2011年12月27日). “Where life imitates art” (英語). KDE-Artists. 2012年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月4日閲覧。
  7. ^ ChPe: “Personalization - GNOME Wiki!” (英語). wiki.gnome.org. 2019年5月27日閲覧。
  8. ^ Open Usability” (英語). 2012年8月3日閲覧。
  9. ^ The GNOME Project: “GNOME Human Interface Guidelines - GNOME Developer Center” (英語). developer.gnome.org. 2019年5月27日閲覧。
  10. ^ The GNOME Project: “GNOME Human Interface Guidelines (GNOME 2) - GNOME Developer Center” (英語). developer.gnome.org. 2019年5月27日閲覧。
  11. ^ KDE: “KDE Human Interface Guidelines — Human Interface Guidelines documentation” (英語). hig.kde.org. 2019年5月27日閲覧。
  12. ^ Jan Holesovsky: “OpenOffice.org - KDE Integration Project” (英語). kde.openoffice.org. KDE (2005年8月26日). 2011年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月27日閲覧。
  13. ^ GNOME Foundation: “Gnome/OpenOffice.org” (英語). Gnome.org. GNOME. 2008年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月27日閲覧。
  14. ^ Linux Usability Report v1.01” (PDF) (英語). KDE. 2013年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月3日閲覧。
  15. ^ Chris Haynes. “Scalos - The Amiga Desktop Replacement” (英語). scalos.noname.fr. 2012年8月3日閲覧。


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