スマートフォン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 15:49 UTC 版)
日本の状況
順位 | 国籍 | メーカー | シェア |
---|---|---|---|
1位 | アメリカ合衆国 | Apple | 51.9% |
2位 | 日本 | シャープ | 10.9% |
3位 | アメリカ合衆国 | 10.7% | |
4位 | 大韓民国 | サムスン | 6.3% |
5位 | 日本 | 京セラ | 5.4% |
5位 | 中国 | レノボ | 5.4% |
2G時代の状況
日本では1990年代以前に東芝「GENIO」や京セラ「DataScope」「DataScope for DoCoMo」、パナソニック「ピノキオ」といった、“PDA的要素を付加した携帯電話/PHS”はいくつか発売されたが普及は進まず、むしろ一般の携帯電話(フィーチャーフォン)の高機能化を受け入れるユーザー層の増加が目立った。
3G時代の状況
3G(第三世代携帯電話)の普及にともなって、日本国外で生まれたカテゴリーであるスマートフォンを日本語化して発売することが可能になり、2004年にはボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)からノキア「Vodafone 702NK」が、2005年にはNTTドコモからモトローラ「FOMA M1000」が発売された。日本国外製の3G対応のスマートフォンを個人輸入するユーザーもいた。また同じく2005年に、シャープとウィルコムがWindows Mobile 5.0 for Pocket PCを搭載した日本独自開発の「W-ZERO3」シリーズを出すなどの動きがあり、このころ日本でも本格的なスマートフォンが普及するきざしが出始めた。
ところが、洗練されたユーザインタフェースを持ったiPhoneの上陸、それを追ってやってきた海外Android勢によって、国内メーカーは窮地に陥った。2008年にソフトバンクにより、初めての日本向けiPhoneとしてiPhone 3Gが発売されると[58]、当初は販売が伸び悩み、競合のKDDI社長(当時)の小野寺正が「iPhoneは一般ユーザーには魅力的でない」と酷評したが[59]、ソフトバンクによる積極的な販売施策により販売が上向く。これ以降、日本においてもスマートフォンが急速に普及していくこととなった。
以降、ビジネスマンやマニア層以外の一般の人々にスマートフォンが徐々に受け入れられるようになり、従来の多機能携帯電話は「ガラパゴスケータイ」と揶揄され一気に陳腐化したほか、従来のスマートフォンも旧式の扱いをうけることになった。
後発のiPhoneに追い抜かれた形となったWindows Mobile陣営は、新たにWindows Phoneプラットフォームを立ち上げ、マルチタッチを生かしたインターフェースを搭載するなど、これに追随する動きを見せた。また、Android陣営もWindows Mobile陣営と同様の動きを見せている。
Blackberryも日本展開を模索、2008年にはPOP・IMAPメールやGmail等Webメールのプッシュ型電子メールに対応した、個人向けサービスBlackBerry Internet Serviceを開始した。2010年にはiモードメールのメールアドレスにも対応させるべくBlackBerry用のspモードが提供されている。
日本でスマホを阻んでいたものとして、2009年以前ではキャリアが提供している携帯電話向けのWebやメールのサービス(iモードやEZweb、Yahoo!ケータイ)との相性が悪いという点があり、“マニア向けなガジェット”に留まっていた。特に携帯電話におけるプッシュ配信型のメールサービスと、既存のPC同様のPOP3やIMAPをベースとしたスマートフォンのメール機能の使い勝手の違いは大きい。これはスマートフォンが、電話付きの超小型PCであり、携帯電話とは似て非なるものであることに原因している(PCから公式サイト (携帯電話)や一部の勝手サイトにアクセスすることは出来ない)。また、ユーザーサイドでもスマートフォンを活用できずに、従来からのフィーチャーフォンに戻ってしまったり、ネットブックとデータ通信の組み合わせに移るユーザーもいた[99]。
2010年の後半からは、spモードなどスマートフォンでのプッシュ型のキャリアメール対応や、FeliCaやワンセグ、赤外線、緊急地震速報のように日本型高機能携帯電話の要素を取り入れたスマートフォンが日本のメーカーから次々と発表された。このような、フィーチャーフォンの機能を持つ機種を「ガラケーのようなスマートフォン」として「ガラスマ」と呼ぶことがある。この場合、対義語としてそのような機能を搭載していない機種をグローバルスマートフォン、「グロスマ」と呼ぶ[100]。
また、操作性の向上やフィーチャーフォン利用者のスマートフォン移行促進を目的として、一部AQUOS PHONE(IS11SH (CDMA SHI11)およびIS14SH (CDMA SHI14)、007SHなど)、およびINFOBAR C01 (CDMA SHX12) などのようにテンキーを備えた「ガラパゴスケータイのような形状をしたスマートフォン」(ソフトバンクでは二つ折りタイプの007SHを「スマートフォン」と「ケータイ」で「スマケー」と呼称)が登場したが、動作の不安定さやフィーチャーフォンで支持されていた電池持ちの良さが損なわれるなどして支持は伸びず短命に終わっている。
2011年上半期には携帯電話新規販売台数の約半数がスマートフォンとなり、2012年にはさらに伸びて約75%を占めるに至る。
多くの通信帯域を利用するスマートフォンの急速な普及により、各通信事業者は、当面は無線LANへのオフロード(携帯電話のデータ通信を無線LANを介して光回線に迂回させる)でしのぎ、LTEやモバイルWiMAXといった、電波効率のよい次世代の通信方式へ移行していった。
LTE時代の状況
インプレスR&Dの調査によると、2012年10月時点で日本のスマートフォン普及率は39.9%で、5ヶ月で10%普及率が上昇していた[101]。
2013 - 2014年には2年連続で出荷台数が減少に転じ、特に14年はフィーチャーフォンが僅かながら7年ぶりの増加を見せた。これはフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が鈍化したことや、スマートフォン利用者の機能・性能に対する満足度が高まり買い替えの頻度が落ちたことなどが原因と見られる。
端末の開発をスマートフォンにシフトした国内メーカーだが、当時の世界シェアはAppleとサムスン電子の二強が半分を占め、残りのシェアを奪い合うこととなり、部品確保に苦戦していた。高い工作精度が必要な部品については日本メーカーの使用率がまだ高かったが、半導体チップは米クアルコムが独占していた。供給は、Appleとサムスン電子が優先されるため[102]、周回遅れで市場参入した日本メーカーは販売台数を搾らざるを得ない状況となっている。各キャリアも、人気のある端末をリリースすることが事業戦略にかかわるため、以前の様に国内メーカーと密な関係を続けられず、人気の高い海外製スマートフォンを主力商品とすることになった。
ソニーは、LTE網が実用的な範囲にまで広まっていったところで、ソニーがそれまでキャリア側(NTT docomo)に渡していた「Xperia」の商標を自社ブランドとして共通化(それまでauはキャリア独自の別商標か「サイバーショットケータイ」、もしくは商標なし、ソフトバンクモバイルは未参入)すると、2014年に国内市場ではOSが同じサムスン電子から一気にシェアを奪ってAppleに次ぐ国内2位に浮上した。これは海外でも当然になった携帯電話搭載デジタルスチルカメラや、顔認証・指紋認証に必要なイメージセンサにおいてソニーが世界市場でリードしていることが背景に上げられる。
2015年、オプテージが日本初の格安仮想移動体通信事業者(MVNO)「mineo」のサービスを開始すると、それまで日本ではキャリアが回線と移動体通信端末を一括にして提供するものであったものが、端末の自由化、所謂SIMフリーの時代に入る。この流れを受けて、それまでキャリア各社を通して端末を販売していたメーカーのうち、ソニー、シャープ、富士通、京セラが続々とSIMフリー・メーカーブランド端末を発売。各社独自性を強く出そうとした。 しかしながら、LTE時代を経て、周回遅れで苦戦していた国産スマートフォンは、多くのメーカーが撤退した。2010年代末までに純国内メーカーはソニーと、ニッチ市場の京セラ(カシオ「G'zOne」の精神的後継機「TORQUE」[103])、FCNT(富士通の事業を継承、高齢者向け「らくらくホン」)まで減り、いずれも世界的なシェアでは下位である。そして国内市場ですらが過半数のシェアを確保した[104]。
5G時代の状況
2020年春に携帯各社が5Gサービスを開始した。当初は各社が大々的に5Gのプロモーションを行う予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でイベントの縮小を余儀なくされた[105]。
2023年5月にはバルミューダと京セラは撤退や事業縮小を余儀なくされる[106]。また、FCNTは民事再生手続きを行い、その後レノボによって買収された。
グーグルは、一時はMNOにおけるスマートフォンの販路がソフトバンクのみとなっていた状況からau、ドコモへと販路を拡大。2023年には月別の国内シェアにて2位となったことが報じられている[107]。
菅政権による通信料値下げ
総務省の2019年度資料によると、以前は各国シェア1位事業者の通信料(データ容量20GB/月)は、以下の通りであった。東京が突出して高額であった。
東京 | 8175円 | |
NY | 7990円 | |
ソウル | 6004円 | |
デュセルドルフ | 4179円 | |
パリ | 3768円 | |
ロンドン | 2700円 |
2020年9月16日に就任した菅総理は、携帯料金の値下げについて意欲を示し、「1割程度(の値下げ)では改革にならない。」と発言。2020年12月3日にはドコモより新料金プランのahamoが発表され、その後もソフトバンクからLINEMO(当時は「SoftBank on LINE」として発表)、KDDIよりpovoが登場した[108]。
ビジネスモデルの問題点
2年縛り、実質0円、高額な料金システム、独自規制をかけた仕様など、日本の通信キャリアに共通する問題点は、日本における携帯電話#ビジネスモデルにおける問題点を参照。
注釈
- ^ 1990年代末ころまでには普及していた
- ^ スマートフォンが登場する前の世界で一般的に使われていた、携帯型パソコンの形態の一つ
- ^ なお画面の大きさに関しては、(やや古い文書だが)ChromeOS の開発関連の文書で、画面のサイズを、タブレット、ノートPC、ラップトップPC、デスクトップPCで比較「タブレットの画面は5 - 10インチ」としていて、それに対してnotebookは「10-12インチ」、ラップトップは「15-17インチ」としていた。ただしその文書ではスマホの画面のサイズは挙げず、スマホとの比較もしていない。[7]。
- ^ スマートフォンの画面が小さかった時代は、スマホとタブレットの中間くらいの大きさのものはファブレットと呼ばれ、5.5インチ以上7インチ未満がファブレットとした時期もあったが、その後 スマホの画面がおしなべて大きくなり、ほぼ全てのスマホが5.5〜5.8インチなど「ファブレット」のサイズになって以降は、「ファブレット」という用語は意味を成さなくなり、死語となった。
- ^ AndroidのGoogle マップなど。
- ^ ZTE Axon Elite、Android 5.0以降のスマートロックなど。
- ^ iOS、Android 6以降など。
- ^ Cyanogen OSなど。
- ^ アメリカのAmazon.comが開発したFire OSや、中国のOPPOが開発したColorOSなど。
出典
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