アフリカの言語 言語学的特徴

アフリカの言語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 20:06 UTC 版)

言語学的特徴

アフリカで話される言語の特徴の中には、アフリカの中で特に一般的な特徴もある一方、それほどは一般的ではないものもある。こうした共通の特徴は、おそらくはすべてのアフリカの言語が同じ起源を持つために存在するのではなく、言語接触とそれによる借用によるものであったり、特定のイディオムや言い回しが共通しているのは文化的背景が類似しているためであったりする可能性がある。

音韻

アフリカで広く見られる音韻的特徴には以下のようなものがある。

  • ある種の子音、たとえば入破音 (/ɓa/), 放出音 (/kʼa/), 唇歯はじき音、さらに南アフリカでは吸着音 (/ǂa/, /ᵑǃa/). 真の入破音はアフリカ以外では稀であり、はじき音や吸着音はほとんど知られていない。
  • 二重に発音される両唇軟口蓋閉鎖音、たとえば /k͡pa/, /ɡ͡ba/ がサハラ以南の広い地域で見られる。
  • 前鼻母音化した子音、たとえば /mpa/, /ŋɡa/ のようなものはアフリカでは広く見られるが、アフリカ以外ではあまりみられない。
  • 語頭での閉鎖音と摩擦音の連続、例えば /fsa/, /pta/, /dt͡sk͡xʼa/ などがアフリカ全体にわたって顕著である。
  • 鼻母音と共起している場合にのみ生じる鼻閉鎖音、例えば [ba] に対して [mã], (一方 [pa][pã] は両方存在する)が特に西アフリカで見られる。
  • 前方舌根性を区別する母音。
  • 文法的な意味を持つ、単純な声調システム。

口蓋垂音二重母音前舌円唇母音などはアフリカの言語では比較的稀である。 声調言語は世界中に分布しているが、とくにアフリカでその数が多い。ナイル・サハラ語族とコイサン諸語はいずれもすべて声調言語であり、ニジェール・コンゴ語族の大多数もそうである。ほかにもアフロ・アジア語族のオモ語派、チャド諸語、南部および東部クシ語派などは声調言語を含む。最も一般的な声調システムでは高低ふたつを区別する。曲線声調も起こり、2つ以上の声調がひとつの音節で連続したものと解釈できることが多い。声調メロディーは重要な役割を演じており、これは声調の並び(“メロディー”)を、それを担う分節音と切り離して考えることで高度な一般化が可能であることを意味している。種々の連続変調もアフリカの言語では一般的である。

統語

統語形容名詞がよく使われること、「〜にまさる・をしのぐ」 ('to surpass') という動詞を用いて比較を表現することなどが、統語構造について広く見られる。ニジェール・コンゴ語族の言語は、動詞その他の単語と一致を起こす非常に多数の文法的性(名詞クラス)を持つことで有名である。時制その他の文法範疇は、声調によってのみ区別されることもある。

意味論

動物と肉を表すのに同じ単語を用いることがかなり多く、 とくにnama ないし nyama という単語は、それ以外の単語についてはかなり多様なアフリカの言語のなかで広い範囲で見られる。




  1. ^ Heine, Bernd; Heine, Bernd, eds (2000). African Languages: an Introduction. Cambridge University Press 
  2. ^ Epstein, Edmund L.; Kole, Robert, eds (1998). The Language of African Literature. Africa World Press. p. ix. ISBN 0-86543-534-0. http://books.google.com/books?id=XkkrDH27jmIC&lpg=PP1&pg=PR9 2011年6月23日閲覧. "Africa is incredibly rich in language—over 3,000 indigenous languages by some counts, and many creoles, pidgins, and lingua francas." 
  3. ^ HUMAN DEVELOPMENT REPORT 2004”. United Nations Development Programme (2004年). 2013年4月17日閲覧。
  4. ^ Ethnologue report for Nigeria”. Ethnologue Languages of the World. 2013年4月17日閲覧。
  5. ^ African Union Summit 2006 Khartoum, Sudan. SARPN.
  6. ^ Jean-Marie Hombert & Gérard Philippson. 2009. "The linguistic importance of language isolates: the African case." In Peter K. Austin, Oliver Bond, Monik Charette, David Nathan & Peter Sells (eds). Proceedings of Conference on Language Documentation and Linguistic Theory 2. London: SOAS.
  7. ^ According to article 7 of The Transitional Federal Charter of the Somali Republic: “The official languages of the Somali Republic shall be Somali (Maay and Maxaatiri) and Arabic. The second languages of the Transitional Federal Government shall be English and Italian.”
  8. ^ CIA – The World Factbook.
  9. ^ www.southafrica.info/about/people/language.htm.
  10. ^ African languages for Africa's development ACALAN (French & English).


「アフリカの言語」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アフリカの言語」の関連用語

アフリカの言語のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アフリカの言語のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアフリカの言語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS