辻斬りとは? わかりやすく解説

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つじ‐ぎり【×辻斬り】

読み方:つじぎり

昔、武士刀剣切れ味自分の腕を試すために、往来通行人を斬ったこと。また、それを行う者。特に江戸初期には禁令が出るほど横行した


辻斬り

作者池波正太郎

収載図書剣客商売全集
出版社新潮社
刊行年月1992.5

収載図書完本 池波正太郎大成 第11巻 剣客商売
出版社講談社
刊行年月1998.10


辻斬り

作者藤井邦夫

収載図書辻斬り―知らぬ半兵衛手控帖
出版社双葉社
刊行年月2006.12
シリーズ名双葉文庫


辻斬り

作者鳥羽亮

収載図書豆太鼓―まろほし銀次捕物帳
出版社徳間書店
刊行年月2007.4
シリーズ名徳間文庫


辻斬り

作者梶山季之

収載図書彫辰捕物帖
出版社論創社
刊行年月2008.6


辻斬り

作者城駿一郎

収載図書辻斬り―素浪人江戸日和
出版社広済堂出版
刊行年月2008.6
シリーズ名広済堂文庫


辻斬

(辻斬り から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/07 09:16 UTC 版)

辻斬(つじぎり)は、武士などが街中などで通行人をで斬りつけること。

概要

辻斬という言葉自体は、中世室町時代)から見られる[1]が、特に戦国時代から江戸時代前期にかけて頻発した。江戸幕府が開かれる直前の1602年(慶長7年)、徳川家が辻斬を禁止し、犯人を厳罰に処することにした。『御定書百箇条』では、辻斬は、引回しの上死罪と規定された[2]

辻斬りをする理由としては、刀の切れ味を実証するため(試し斬り)や、単なる憂さ晴らし、金品目的、自分の武芸の腕を試すためなどがある。『八十翁疇昔物語』によれば、番町方の長坂血鑓九郎、須田久右衛門の屋敷と、牛込方の小栗半右衛門、間宮七郎兵衛、都築又右衛門などの屋敷とのあいだは、道幅100余[3]もあり、草の生い茂った淋しい原であったので、毎夜辻斬りがあったという。

事例

時慶記』慶長10年(1605年)6月15日条は、千人斬りの犯人3人が捕らえられ、指をもぎとられたが、それからも辻斬の被害は止まない(他にも辻斬を行う者がいる)ことを伝えている[4]

晩年の徳川光圀に近侍した医師・井上玄桐は、光圀の「御直話」として『玄桐筆記[5]』に以下の逸話を記録している[6]

光圀が屋敷への帰途、夜更けに浅草の堂で休憩したところ、友人が「縁の下に臥せっている非人を引きずり出して試し斬りをしよう」と言ったので、光圀は「どうして罪のない者を斬ることができようか」と断ったものの、友人が「臆したのか」と嘲った。武士として侮られては後に退けなくなった光圀は縁の下に入り、暗中を探ると4、5人の非人がおり、非人は「なんと非情なことなさる」と奥へ逃げたが、光圀は「私もそう思うが、無理を言うので仕方がない。前生の因果とあきらめてくれ」と言って1人を引き出してこれを斬った。光圀はそれ以来その友人との交友を絶ったという。

甲子夜話』第1巻には、「神祖駿府御在城の内、江戸にて御旗本等の若者、頻りに辻切して人民の歎きに及ぶよし聞ゆ。(省略)所々辻切の風聞専ら聞え候、それを召捕候ほどの者なきは、武辺薄く成り行き候事と思召候。いづれも心掛辻切の者召捕へと御諚のよし申伝へしかば、其のまま辻切止みけるとぞ」とある。

内藤鳴雪は自身が子供の頃に辻斬が「実に頻繁に行われた」ことを伝えている(『鳴雪自叙伝[7]』)[8]。田舎出の侍が試し切りや経験を積む目的で夜中人通りの少ないところに待ち構えて人を斬ったという。鳴雪自身も死体を目撃することがあったといい、斬られた死体にはを着せて引き取り人が引き取りに来るまでそこに置いたという。

公認された辻斬

古代ギリシアにおけるスパルタにはクリュプテイア(Krypteia)という制度があり、男は7歳から兵営に入り30歳になるまでの間、危険な隠密行動の訓練として、ヘイロタイと呼ばれる奴隷階級民を殺害することが命じられており、戦場での機敏さを養うため、盗みも奨励されていた[9]。いわば、精鋭兵士を作るために辻斬行為を実践的訓練として支配者層が公認したことになる。

その他

  • 結翁十郎兵衛の三余りの刀である「念仏丸」は、辻斬の際、斬られた相手が走って逃げた際、石につまずき、南無阿弥陀仏と声を立てるや否や身体が二つになったため、名付けられた[10]
  • 1000人の人を斬る(千人斬り)と悪病も治ると言われることもあり、20世紀に入るとこれが転じて1000人の異性と性交することを「千人斬り」と呼ぶようになった。[要出典]

脚注

  1. ^ 14世紀成立の『太平記』12巻に記述が見られる他、15世紀成立の『尺素往来』には、当時のならず者として、「山賊海賊、勾引(ひとかどい)、辻斬、追落(おいおとし)」が記されている。
  2. ^ 氏家 2015, p. 40.
  3. ^ 180mに当たる
  4. ^ 氏家 2015, p. 31.
  5. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年8月8日閲覧。
  6. ^ 氏家 2015, pp. 41–42.
  7. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年8月8日閲覧。
  8. ^ 氏家 2015, pp. 24–25.
  9. ^ 弓削達 『地中海世界-新書西洋史②』 講談社現代新書 (第3刷)1974年 p.57.
  10. ^ 中里介山 『日本武術神妙録』 角川ソフィア文庫 2016年 pp.302 - 303.

参考文献

関連項目

外部リンク


辻斬り(つじぎり)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 14:20 UTC 版)

東亰異聞」の記事における「辻斬り(つじぎり)」の解説

紋付平袴白襷に白鉢巻、刀を腰に携えた居合い抜きの姿をした男。首遣いとともに現れ首を刎ねる

※この「辻斬り(つじぎり)」の解説は、「東亰異聞」の解説の一部です。
「辻斬り(つじぎり)」を含む「東亰異聞」の記事については、「東亰異聞」の概要を参照ください。

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辻斬り

出典:『Wiktionary』 (2021/08/12 12:59 UTC 版)

和語の漢字表記

(つじぎり)

  1. つじぎり 参照

「辻斬り」の例文・使い方・用例・文例

  • 辻斬り
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