WLR-1H
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1979年、ST社とアルゴ社(ARGOSystems)に対して、AN/WLR-1の改良計画が発注された。これに応じてアルゴ社が開発したのが、全面的な改設計型であるAN/WLR-1Hであった(なおST社はAN/WLR-1Gの信号識別インターフェースの改良を行った)。これは本質的に、WLR-1シリーズの後継として配備されていたAN/WLR-8に匹敵するレベルまで性能を向上させるものであり、実際、1983年9月には、AN/WLR-1Hの低コストが評価されて、AN/WLR-8(V)4の開発計画が中止されている(AN/WLR-1GからAN/WLR-1Hへのアップグレードにかかる費用は90万ドルであった)。1993年末までに、アルゴ社は100機以上のAN/WLR-1Hを生産していた。 AN/WLR-1Hでは、レーダー周波数の趨勢変化に対応して、周波数の区分を6つに変更するとともに、550MHz以下の帯域を切り捨てるかわりに10-20GHz級の高周波数帯にも対応するようになった。また解析速度が大幅に迅速化された(100マイクロ秒)ほか、同時に複数周波数帯を電子的に走査できるようになった。対応可能な信号特性は下記の通りである。 パルス幅:1 - 50,000マイクロ秒 PRF:20Hz - 2MHz バンド幅:20 MHz 本機は同時に300の発信源を追尾することができた。また、従来機と同様に個々の信号を手動で識別できるほか、内蔵のライブラリと照合しての分析支援能力も付与された。ライブラリには1500のレーダー動作モード、300のレーダー、150のプラットフォーム、80の脅威を登録できた。 (V)3では方向探知用として固定式のワイド・オープン型アンテナが導入され、これを含めて4つのアンテナが用いられていたが、(V)5ではアンテナが1つに統合されるとともに、水平線超え(OTH)での探知・測的能力が付与された。 またNAVSEAは、1998年度計画よりシステムの商用オフザシェルフ(COTS)化などの改良計画に着手した。これによって開発されたのが(V)7で、1999年6月より「アイゼンハワー」で洋上試験に入り、良好な成績を残したことから、2000年より航空母艦および沿岸警備隊のカッター向けの調達が開始された。これは0.5-18GHzの電波をリアルタイムで探知して、処理・方向探知・評定を行うことが出来る。空中線部としてはAN/AS-4122Aが用いられている。これは回転式のDFアンテナと3バンドの無指向性アンテナから構成されている。
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