アンチコモンズの悲劇
(Tragedy of the anticommons から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/13 19:07 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動アンチコモンズの悲劇(アンチコモンズのひげき、英語: tragedy of the anticommons)とは、共有されるべき財産が細分化されて私有され、社会にとって有用な資源の活用が妨げられることを指す。コモンズの悲劇から派生した言葉。
コモンズの悲劇では資源の過大利用が問題になるのに対し、アンチコモンズの悲劇では、資源の過少利用が社会に不利益をもたらすということで問題となる。
知的財産権
基本的には、研究成果などは国際会議などでの発表、論文誌への投稿などで知識を公共財とし、以って当該研究分野の重複研究の抑止や公共化された研究成果に基づいて、他者の研究の促進となる。一方で、研究成果を知的財産権、典型的には特許によって私有化すると、公共化された研究成果に基づく新たな研究は先の研究成果に紐づく知的財産権の侵害を招く恐れがあり、それによって研究成果や技術の利用が制限される懸念が生じる。ゆえに社会は有用な研究成果とその利用(特に知的財産権の観点で)のバランスを常に考慮する必要がある。たとえば、研究成果を纏めた論文は他者の研究成果などに基づいた新たな知見の公表となるのが通常であり、他人の論文の剽窃などは問題外だが、通常の引用の要件に基づく限り問題になることはない[1]。
知的財産権については権利関係が複雑であることが一般で、それを使用するために必要な交渉を行なえば、交渉コストが高くつき、効率性は最悪になる。これを解消する一手法としてパテントプールを設立し、交渉コストの削減・無用な特許侵害訴訟を回避することも考えられる[2]。
事業者は競争相手やパテント・トロールの保有する既存特許への抵触を恐れて、未踏分野における事業開拓を躊躇する。一方で事業者間の知財紛争の際にクロス・ライセンシングの材料とするべく、利用予定のない特許を大量に取得し死蔵し、これらの膨大な特許の存在がまた別の事業者の活動を阻害することになる。
著作物においても、一つの著作物に対し複数の著作者・実演家が関与する場合に権利関係が複雑化することが多く、著作物の利用が困難になるケースがある。それに対し、音楽業界における原盤権のように、著作権とは別の権利を擬制することで権利処理の実務を容易にする例や、日本の著作権法における「映画の著作物」のように、著作権の帰属や著作隣接権の適用などについて立法で権利関係を簡略化する例も見られる。
脚注
- ^ 意図しない剽窃を避けるには? 論文著者が覚えておきたいポイント ワイリー・サイエンスカフェ 2014年12月19日
- ^ 「アンチコモンズの悲劇」に関する諸問題の分析 平成17年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書
文献
Heller, M.A.,The Tragedy of the Anticommons, Harverd Law Review, 111:621-688
関連項目
「Tragedy of the anticommons」の例文・使い方・用例・文例
- Microsoftがβ版をランチするのは「NetShow streaming server」で動画や音声をオンデマンドで提供する。
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- 篏入的 r 音 《英音の India office /ndiərfɪs/の /r/の音》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- は of の誤植です.
- を off と誤植する.
- あいまい母音 《about, sofa などの /ə/》.
- 副詞的小詞 《on, in, out, over, off など》.
- 迂言的属格 《語尾変化によらず前置詞によって示す属格; たとえば Caesar's の代わりの of Caesar など》.
- çon of garlic [humor]. それにはガーリック[ユーモア]がちょっぴり必要だ.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Speaker of the House of Commons 下院議長.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Committee of Ways and Means 歳入委員会.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- (違法罪―a sin of commission―に対する)怠惰罪
- 『each』、『every』、『either』、『neither』、『none』が分配的、つまり集団の中の1つのものを指すのに対し、『which of the men』の『which』は分離的である
- 『hot off the press(最新情報)』は『hot(最新の)』の拡張感覚を示している
- 『Each made a list of the books that had influenced him』における制限節は、リストに載った本を制限節で定義された特定の本だけに制限する
- 臨床的鬱病を治療するのに用いられる三環系抗鬱薬(商品名ImavateとTofranil)
- 『sunshine-roof』は『sunroof(サンルーフ)』に対する英国の用語である
- Tragedy of the anticommonsのページへのリンク