SF作品中のアイデア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 05:33 UTC 版)
反重力やそれに類する技術理論はSFにおいては物語世界を成立させる基礎技術であるが、それそのものが必ずしも主題になるわけではない。 力学の面から考えると、重力とは天体上の物体に働く様々な力の合力である。これを要素に分けると、物体と天体の間に働く万有引力が最も大きいことが多く、結果としてその合力は物体が天体に引きつけられる力と見なされる。 万有引力は離れた二つの物質の間に働く力であるから、物体の間において何らかの方法を用いてその伝達をさえぎってやれば、その影響を脱することができる、という方法も考案された。一例としてH・G・ウェルズは1901年に出版されたSF小説『月世界最初の人間』の中でケーバライト(ケイバーリット)なる重力遮断物質を考案し、これを地球側に敷けば、地球からの引力が働かなくなり、その代わりに宇宙からの引力が働くから、そのまま地球を離れ宇宙へ飛び立つことができるとした。 万有引力は質量の存在によって生じるから、その物質の質量に何らかの形で介入することができれば、引力が調整できる、という方法も考案された。この場合、質量を増やすことによって重力を増やすこともできる。質量をゼロにすることで慣性の法則による制約を破るという余禄もある。「レンズマンシリーズ」には無慣性航法が登場するが、これもその考えに近いと思われる。 アイザック・アシモフのSF小説『ネメシス』では、質量点間の引力は相対速度が光速に近づくに従い小さくなり、超光速航法においては逆に斥力(反重力)として働くというアイデアが示されている。 重力波そのものを作り出す、という方法も考案された(デイヴィッド・ブリンの『ガイア』)。任意の方向に発生させた重力波で既存の重力の作用を打ち消す、というものである。 ドラえもんでは「のび太と鉄人兵団」に登場するザンダクロスの操縦室などが反重力を利用しているとされ、設定上ではタケコプターも反重力を利用しているとされている。 アメリカのSFドラマ『スタートレック』のエピソードでは反重力を用いて惑星アーダナの雲の上に都市が建設されている他、重量の大きな物体を持ち運ぶ際に反重力ユニットと呼ばれる装置が使用されていた。 レースゲーム『F-ZERO』シリーズでは、「G-ディフューザーシステム」と呼ばれる反重力発生装置により地面から浮いたマシン同士でレースを行う。 PCゲーム『蒼の彼方のフォーリズム』では、反重力を発生させるシューズを履くことにより、人が自由に空を飛べる世界線で行われている(架空の)新興スカイスポーツ「フライングサーカス」を題材にしている。
※この「SF作品中のアイデア」の解説は、「反重力」の解説の一部です。
「SF作品中のアイデア」を含む「反重力」の記事については、「反重力」の概要を参照ください。
- SF作品中のアイデアのページへのリンク