SACを標的としたがん治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 10:03 UTC 版)
「紡錘体チェックポイント」の記事における「SACを標的としたがん治療」の解説
この研究分野の進展によって、紡錘体形成の欠陥を標的とした治療法の開発が始まっている。ビンカアルカロイドやタキサンなどの古い治療法は紡錘体形成に加わる微小管を標的とし、微小管のダイナミクスを破壊することでSACによって細胞周期を停止させ、最終的に細胞死を引き起こすものである。パクリタキセルとドセタキセルはどちらも現在でも乳がん、卵巣がんや他の上皮性がんの治療に用いられている。しかし、こうした治療法は多くの場合、副作用や薬剤抵抗性が高いという特徴がある。 SACに影響を与える調節因子ネットワーク内の他の標的の探索も行われており、オーロラキナーゼ(英語版)タンパク質に高い関心が寄せられている。オーロラAは増幅された場合、SACを無効化するがん遺伝子として作用し、正常でない後期の開始と異数性、そしてパクリタキセルに対する抵抗性も示す。オーロラAの低分子阻害剤はin vivoモデルでの抗腫瘍効果が示されており、さらなる臨床開発の良い標的である可能性が示唆される。オーロラBの阻害剤も臨床開発が行われており、異常なキネトコア-微小管間接着をもたらし、同様にチェックポイントを無効化する。サバイビンも複数の経路の主要なノードとして機能するため臨床的な治療法開発の魅力的な分子標的であり、紡錘体形成とチェックポイントの制御もサバイビンが関与する経路の1つである。さらに、KSP(英語版)のような有糸分裂関連モータータンパク質の阻害も検討されている。近年臨床試験が開始されたこれらの阻害剤は、SACによって有糸分裂の停止を引き起こし、アポトーシスを誘導する。
※この「SACを標的としたがん治療」の解説は、「紡錘体チェックポイント」の解説の一部です。
「SACを標的としたがん治療」を含む「紡錘体チェックポイント」の記事については、「紡錘体チェックポイント」の概要を参照ください。
- SACを標的としたがん治療のページへのリンク